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第12話 犯人は誰だ?

 取調室。

 新たに容疑者として呼ばれたスヴェンはトモヤとアダムの聴取を受けていた。


「私はやっていません」


 お決まりの文言から始まった。


「そうは言ってますけれどね、ブレディさん。あなたの家の倉庫に血まみれのショベルがあったんですよ?」

「検査の結果、あの血は殺されたシンディのものと一致した」


 トモヤが静かに検査結果を机に置く。


「現場に行った捜査官から、君が彼女に敵意を持っていたと聞いている」


「そんな女が弟の子供を妊娠してどう思ったんだろうな。血筋が穢れるとでも思ったかい」


「はぁ!?ちょ、ちょっと待ってください。妊娠!?」


 スヴェンは目を白黒させた。


「彼女は妊娠していたというのですか!?」


スヴェンはがくりと肩を落とす。


「そんな………」


「妊娠は知らなかったのか?赤ん坊まで死なせちまって、罪の意識が芽生えたのか?」


「ち、違う。そういうのじゃありません。それに勘違いしていますが私は別に血筋がどうかとかこだわっていない。ただ、弟にもダンスをしている彼女たちにももっと現実を見て、この国の未来の為にどう人生を送るか考えて欲しいと思ったんだ。だからちょっと乱暴な言葉を使ってしまった」


「実に素晴らしいご高説だ。それで、あんたは彼女に思い知らせたのか?学生の身で母親になるなんてそんなことは……」


「待ってくれ!」


 スヴェンはアダム言葉を慌てて遮った。


「もし彼女が妊娠していることを知っていたら、私は弟に責任を取るよう言ったはずだ!たとえどんな形であれ、自分の子供を無視するような人間にはさせない」


「言っていることは本当に立派だ。だがブレディさん、あなたは先ほどから自身の人生観を語っているだけでそれは自分が殺していないという説明に全くもってなっていないんだが……」


 トモヤの問いかけにスヴェンはうなずく。


「失礼。色々と思いもよらぬことがあって取り乱してしまった。まずあのショベルは私のものじゃありません。見たことがない」


「だがあの家でショベルを使うのはあなただけだ」


「確かに庭の手入れは自分でやることが多い。でも忙しい時は業者に任せてるんです。造園業者にね」


「造園業者?」


 トモヤとアダムは怪訝な表情をした。


「そうです。最近も仕事を頼みました。1週間くらい前です。私はその時、隣の州で物件の調査をしに行ってたんです。近々新しい支店を出す予定だったんです。本当ですよ。調べてください」


 すると、トモヤの携帯端末がピコッと音を立てた。



 トモヤは連絡を受け分析中のエマを訪ねた。

 エマが仕事をしている指紋分析室には無数のクリスタルが浮いておりそこに渦状の指紋が浮き出ていた。


「いい報告と悪い報告があります」


「そうだな……いい報告から聞きたい」


「ショベルにははっきりとした指紋がべったりついてました」


「それはいい。悪い報告というのは」


 エマは赤く光る二つのクリスタルを指さした。


「スヴェン・ブレディの指紋とは一致しませんでした。同じく弟のものとも不一致です。また、倉庫には別のショベルが。これにはスヴェンの指紋が付いていましたが犯罪に使われてないですね」


 トモヤは唸った。


「実は取り調べ中、スヴェンがアリバイを出してきた。だが、彼は造園業者にバラの手入れを頼んでいたらしい」


「造園業者……それならその業者の従業員のサンプルが必要で……」


 そこまで言いかけた時、突然クリスタルのひとつが緑色に光った。


「サンプル2番?」


 エマが首をかしげる。


「どうしたんだ?」


「ブレディ兄弟の指紋と照合したけどダメだったので他のデータベースなどを使っていたのですが、どうも捜査の過程で採取した別の指紋が一致したみたいです」


「何だと!?いったい誰の?」


エマは指紋シートを取り出しトモヤに見せる。


「え!?」


トモヤは目を見開く。


「こいつだと!?」


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