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99%断罪確定の悪役令嬢に転生したので、美男騎士だらけの学園でボッチ令嬢を目指します  作者: ハーーナ殿下


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第20話:お花見会

 

 《ファルマの学園の花見会》


 “ファルマの街の花”にも認定されている花が、春になると満開になる。

 その時期に合わせて行われる、学園の恒例行事だ。


 ファルマは大都市でありながらも、緑が豊かな場所。

 元々ここは数百年前までは、森林地帯であったという。


 この地に人類の存亡をかけた大都市計画によって“学園”が建設。

 周囲に計画的に街が、代々増設されていったのだ。


 人類の天敵である妖魔ヨームは、人の手のかかった清潔感を嫌う。

 そのためファルマの街のいたる所には、公共の水場や公園が設置されていた。


 また街の壁の内側にも、今だ未開発な森林部分ある。

 そのためファルマは自然が豊かな街なのだ。


 この街を初めて訪れた、異国の旅人は感動する。

 ファルマが文化と緑が見事に調和した街だと。



 そんなファルマの中でも、お花見ができる最大規模の場所がある。


 それは学園の敷地内にある《花丘フラワー・ヒル》だ。

 広大な敷地内にある丘は、少し小高い場所にあり植物の生息に適していた。


 更には眼下に、ファルマの美しい街を一望できる。

 学園の敷地内にあるために、一般の市民は入ることはできない場所だ。


 そのため学園内の者にとって、“花丘フラワー・ヒル”は最高のお花見会のスポット。


 そんな“花丘フラワー・ヒル”で、今年も年に一度のお花見会が行われようとしていた。


 ◇


「マリアンヌ様、本日のドレスも素敵でございましたわ」


「いえいえ、ヒドリーナ様も素敵ですわ」


 私はヒドリーナ様さんと、いつもの令嬢会話をしながら、馬車に揺られていた。


 馬車の行く先は“花丘フラワー・ヒル”。

 学園の敷地内にある、本日のお花見会のメイン会場だ。


 今日は週に一回の休息日。

 全ての授業や訓練はお休みだ。


 ちなみに今日の私は気合いが入っている。


 朝もいつもよりも少しだけ早く起床。

 髪の毛のセットや、化粧を入念におこなってきた。


 あと事前に選んでおいたドレスも最終確認しておいた。


 むむむ……あれ?

 なんかお腹周りが、少し苦しくなってきたぞ。


 どうして?


 はっ、そうか!


 そういえば昨夜の夕食ディナーが大好きなお肉料理だった。

 それで、ついついお替わりしちゃったんだ。


 仕方がないので気合を入れて、腹を引っ込ませておこう。


 よし、カロリーを消費するために、ヒドリーナさんと、もっとお話をしよう。


「お花見会、楽しみですわね、ヒドリーナ様」


「ですわね! 噂によると会場には、王室御用達の限定紅茶や職人パティシエ特製の焼き菓子、それに生演奏や歌会などあるようですわ」


「まあ、それは素敵!」


 情報通なヒドリーナさんと、馬車の中で雑談タイム。

 今向かっている、お花見会の話を聞く。


 ヒドリーナさんの情報によると、会場には色々と催しがあるらしい。


 学園専属のスタッフによる野外カフェ。

 花々に囲まれた麗しの歌会など、楽しそうなイベントが盛り沢山。


 あっ、ちなみに皆がイメージしているような『お酒を飲んでのお花見会』とはちょっと違う。


 何しろ私たちは貴族であり令嬢。

 ビールや日本酒をガバガバ飲んで、酔っ払って騒ぐなんて出来ない。


 あくまで貴族らしく優雅に、花を愛でる会なのだ。


「あと、マリアンヌ様。やはり一番の見どころは“ファルマの花”の美しさでございます! 大陸でも有数の美しい花……という話です」


「それは楽しみでございますわ」


 “ファルマの花”と言うのは、この街の特有の品種の花らしいだ。

 何でも先人たちが苗を入手して、品種改良と植樹を繰り返してきた美しい花だという。


(“ファルマの花”かー)


 あっ、別に花に興味がない訳じゃないよ。

 私は花も大好きだし。


 でもさー、この世界に転生してから、なんか心がパッとしないんだよね、何となく。


 それにお花見の“花”に関しては、私はちょっとうるさい。

 これは前世の記憶が原因かもしれない。


 私の前世の生まれ育った街は、地方の城下町で日本有数の花見の名所であった。

 江戸時代から現存する城内には、二千本を超える花が植樹され、春になると純白の薫る花が街を覆い尽くすの。


 ああ……アレは本当に感動的な光景だったなー。


 でも、こうして別の世界に来て、あの花を二度と見られない。


 これが原因かな?

 ウキウキなはずの春になったけど、私の心のどこかにポッカりと穴が空いている感じなのは。


「お嬢さま、もうすぐ“花丘フラワー・ヒル”に着きます」


 馬車の御者席にいる、若執事ハンスの声が聞こえる。

 どうやらお花見の会場に、たどり着いたようだ。


「窓を開けてみましょう、マリアンヌ様」


「ええ、“ファルマの花”とはどんなお花なのか、楽しみですわ」


 馬車の両側にある小窓を開けて、外の光景を確認する。


 うーん。外の心地よい風が、入り込み気持ちがいい。


 そして風に乗り、ぎ覚えのある香り。

 一片の花びらが、馬車の私の手元に流れてきた。


 あれ、この香りは?

 それにこの花弁の形と色は?


(そんな……まさか……“ファルマの花”って……)


 目に入ってきた、予想外の純白の光景に、思わず声が出そうになる


 学園の“花丘フラワー・ヒル”には、見事な雑木林は立ち並んでいた。


 西欧なこの世界で、その光景はどこか異質であった。


 ――――でも日本人である私にとっては懐かしく、見覚えのある光景だった。


染井吉野ソメイヨシノの花……だ)


 異世界“ファルマの花”……それはなんとサクラの花であったのだ。


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