表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/136

――幕間――

本編のどこかで絡んでくるやも……。

 カンカラカラカラカラカラカラカラカラカラ――――――ラララッッッ!


 闇の向こうから聞こえる。


 鋭い金属の塊が地面を引きずられている――そんな音。


 我らは逃げた。


 背を向けて。


 全速力で――。


 屈辱だ。


 常に最強の種族と誇ってきたのだ、我ら種族は。


 なのに、仲間が1体また1体と姿を消していく。


 闇の向こう――火花と閃光が散るたびに、仲間の断末魔が聞こえる。


 また――。


 カンカラカラカラカラカラカラカラカラカラ――――――ラララッッッ!


 聞こえる。


 今にも、ぼうと白い手が伸びてきそうな闇の中から。


 徐々に……徐々に……近づいてくる。


「はぐ!」


 突然、身体が中に浮いた。

 木の根に足を取られたのだ。


 瞬間、巨大な落雷が鼻先に落ちた。


 大気を弾くような轟音が、大地を鳴動させる。


 雷というよりは、もはや光の滝だ。


 ――危なかった……。


 根に足を取られていなければ、雷に撃たれて消滅していた。


 ほっと安堵も束の間、我はあることに気づいた。


「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっっっ!!」


 腹の奥から絞り出すように張り上げる。

 今も、大地を焼き続ける雷の音に負けないほどの大きな声だ。


 次第に、落雷は収束していく。


 昼のように明るかった周囲が、再び闇に埋没していく。


 我は急いで手近にあった木の根の下に隠れる。

 さらに穴を掘り、地中に身を潜めた。


 悲鳴の偽装。

 穴掘り。


 また屈辱だ。

 だが、命には代えられん……。


 カンカラカラカラカラカラカラカラカラカラ――――――ラララッッッ!


 例の音が聞こえる。

 発達した聴覚を駆使し、辺りの音を探ったが、どうやら生き残りは我1人しかいないらしい。


 しばらく探るように音が一帯を周回する。


 我はただじっと事の様子を耳で探った。


 ふと動きが止まる。


 緊張が走る。


 …………。


 しばしの沈黙。


 すると、大きく跳躍する音が聞こえた。

 梢をしならせ、遠ざかっていくのがわかる。


 止めていた息を解放し、大きく肩で息をする。


 地中から這い出て、ふと泥まみれの我の姿を見た。


「屈辱だ……」


 やっと言葉を吐き出した。


 なのに、瞼を閉じると鮮明にあの姿を思い出す。


 魔界の空気よりもなお黒いマント。

 体躯よりも大きな鎌……。

 人間のいう死神の様相に似ている。


 確かにあれは人間ではない。そして神でもない。


『自分は魔法使いだ……』


 そいつは名乗った。


 違う。



 ただの化け物だ!



 己の黒い肌を見ても、そう断じえるほど、それは何か強さの域を超えていた。


短いですが、お楽しみいただけたでしょうか。


本編は18時投稿予定です。

初戦闘です!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新作はじめました。↓↓こちらもよろしくお願いします。
最強勇者となった娘に強化された平凡なおっさんは、伝説の道を歩み始める。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ