僕の嫌いな出会いの季節
僕が小学校に入学したばかりの頃、僕は自分のことを“神様”と名乗る一人の少女に出会った。
今でもその時のことは、鮮明に覚えている―――――――
「はぁっ、はぁっ、、また母ちゃんに怒られちゃうよおっ」
入ったばかりの小学校に浮かれていた僕は、友達と暗くなるまで遊んでいた。
こないだ母ちゃんに、遅くなって帰ってきて怒られたばかりだというのに。
歩道の各所に明るい街灯が灯り始め、家に向かって走る僕を照らし出す。
もう母ちゃんに怒られるのは分かっているけれど、それでも走るのは、僕は夜が怖いから。
いくら明るい街灯が付いていても、夜の「暗さ」は消えはしない。
昼間に遊んでいた世界とは違う世界に居るみたいで、すれ違う人たちが化け物に見えて、僕を明るく照らす街灯が僕を監視してるみたいで。
そんな7歳の考える妄想が、僕が夜を怖がる理由。
今考えてみれば、馬鹿馬鹿しくて笑えるが、当時の僕には笑う余裕など微塵も無かったのだ。
そして、息を切らして走り続ける僕はとうとう自分の家にたどり着いた。
玄関のドアを開ける前に後ろを振り向き、化け物が僕の後をついてきてないか確認する。
後ろだけじゃなく、周りもついでに確認する。
母ちゃんが、夜は化け物がたくさんいるから気を付けるのよ。と冗談を言われたのを、この時の僕は真に受けてしまっていた。