兆し
章・4
彼は中学生になっていた
中学生の彼は
母の想い虚しく
世間一般にいう不良と呼ばれるようになっていた
窃盗、恐喝、傷害、器物破損、暴走、
様々な犯罪行為に手を出していた
母に対しても暴言を吐き
言う事は一切聞く事はなかった
この頃の母は彼の為に色々な所に
頭を下げる日々
それでも母は彼を見捨てる事はなく
彼に向き合った
彼も又素行は悪くも家庭では暴れたり
母に手をあげたり
家の金などを取る事は一切なかった
だからと言って彼の外での素行が正当化される訳もない
それ程彼の外での素行は悪かった
近隣の不良に目を付けられ毎日絡まれ傷害騒ぎ
先輩などにはわざと目を付けられるようにしていた
警察には見つけられると何もしてなくても補導され
学校に行くと教師に追い返された
見て分かるとうり
彼は常に一人だった
彼にも仲間や友達は居たが
彼の中ではそうではなかった
そんな彼にも唯一集中して取り組めるものがあった
補導され社会貢献の一環として行かされた
工事現場の職人としての仕事
最初はイヤイヤ行っていたものの
手先が昔から器用だった事
モノづくりが好きな事もあり
貢献期間を過ぎても
自分から行っていた
彼からすれば毎日学校や外では
疎まれ監視されていたが
ここでは必要とされ怒られ褒められ
それが新鮮だった
なにより少ないながらも給料がもらえる
学校に行くよりここでは金が稼げる
彼の中では妙に頭の中で何かがハマった
それと同時に彼の中で何かズレテイタ