疼き
章・3
彼は小学生になっていた
この頃の彼は、母思い溢れる少年
ただ少し母に頼り過ぎる甘ったれな所がある少年
小学生の彼は小さな頃に比べると
少し大人しく
どちらかといえば引っ込み思案だった
毎日学校から帰ってくれば
母にくっつき母のやる事を一緒にやっていた
遊ぶといえば同い年の男の子達と外で遊ぶ訳ではなく
母や姉
もしくは近くに住む同い年の女の子
彼は友達が少なかった
だからと言って学校に彼の友達がいない訳ではなく
学校では楽しく過ごして居た
勉強はごく普通
運動は少し苦手
休日は必ず家族で
近くの祖母の家に泊まりに行っていた
それが彼の中では当たり前
恒例の行事になっていた
その為友達と休日に遊ぶ事はなかった
それが彼の友達が少なくする要因になっていたのかも
しれない
母は彼に対して厳しくも優しい
そうあろうと頑張っていた
一人で立派に育てるその思い一つだったのかもしれない
姉もこの頃就職して母を助けていた
姉も又彼に対して深い愛情を注いでいた
彼はこの頃
幼いながらも自分が頑張らねば
母は自分が守ると誓っていた
それは父が居ないからである
父が居ない事に関しては彼は理解していた
死んでいる事も
ただ悲しい事はなかった
それは時間が解決した訳ではなく
父との思いでが記憶に全くなかった
父顔も写真で認識する程度
彼からすれば写真に写っているのが父
母から聞いた話が思い出だった
父に関して覚えている事ほぼなかったが
一つ覚えている事は
父が死んだあと
母に対する大人達の対応
父が死んだあと諸々手続きなど終わったあと
母は色々な所から責められていた
警察、保険会社、近隣、父方の祖母、父の弟
警察と保険会社は保険金がかかっていた事から保険金殺人ではないかと母を疑い
近隣は警察が来ている事を面白がり
ありも無い噂をたたせ
父方の祖母、弟は、父が死んだのは母のせいだと罵った
彼は大人がキライだった
母は色々言われる中耐えながら彼と姉を育てた
父が死んだ直後は放心状態が2ヶ月ほど続き親戚などが助けながら少しづつ回復していった
幸い生活費などは、保険金と仕事中というのが認められ労災保険の遺族年金と父が残したマンションなどあり
生活に困る事はなかった
だがこの事が周りの大人達の鼻についたのかもしれない
だからといって彼はこの事を理解出来る訳もなく
理解出来たからといって
彼は大人がキライだった