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PANDoRA  作者: ソルテ
9/9

そしてフューチャーへ

「ハ・ナ・セ!」

「おとなしくしろ」

 栗畑はユウが呼んだ警官に連行されていった。

 まさか俺達の探していた二人目のパンドラーがあの警官でしかも栗畑と同じ加速の能力者だったとは、さすがの俺様も予想外!

「あの分だと大丈夫だな。帰るか」

 ユウは病院へ向かった。










「たすけてー!たつやー!」

「有希!?」

 なぜだ。今日は眠れないから綺麗な月を見に行こうと屋上に来たら。

「修学会長!?なぜ有希の全身にコブラツイストしていつでも殺せる体勢を作っているんだッ!?」

「この娘がタイプだからだ!」

「なん、だと!?まさか、ロリコンなのか会長!?」

「フン、ロリコンで何が悪いのだ!WPPの会長になる前は私は普通の会社員だった……毎日の激務に追われながれも、それなりに幸せだった!だのに、あの上司!桐生辰雄(たつお)は自分のミスを私に押し付け、私はクビになった!そして妻と娘に逃げられ、今は孤独な独身生活を送っているのだ……」

「桐生、辰雄だと!?俺の死んだ父さんじゃないか!まさか……」

「イグザクトリー。私の炎のパンドラ『NEVURA』が貴様ら桐生の命を奪ったのだよ!!」

「……!あの家事はたつや達だけじゃなくて、私の家族も、近所の友達も……!うわああああああああああああああああああああああ!」

「!有希!」

 おのれ修学!卑劣な手を使いおる!

「修学旅行よ……貴公の命、この桐生辰也が貰い受ける!我が幼馴染を傷つけた罪……その命でしか償えぬ!」

「よかろう桐生!『NEVURA』の力、とくと味わえ!」

 修学は有希を捨て我の元へ接近。だがもう遅いのだ。

「すでにそこは!我の範弩羅(パンドラ)の射程圏内だ!」

「ぬおっ!」

「今宵は闇夜。――月光より降り注ぎし聖なる力よ。宇宙にあまねく数多の星の力よ。今こそその力を現出し、わが身に宿れ!――――装着!『RAIGA―雷牙―』!」

「うおおおおおお!」

 感じる。宇宙から照らされた光がわが身を包み込む。それはやがて、鎧めいた形へ変化していく―――!

「これが我の力!RAIGA!」

「くッ……RAIGA。その能力は惑星に宿るエネルギーを身にまとうこと。そして天候によってその姿を変える。お前は月夜の力を得たのか!」

「無論だ。この姿は貴様にも見せたことは無かったな」

「……だが、そんなピカピカ光っているからといって最高700度の火焔を誇るNEVURAが負けるはずは無い!くらえ!灼天感塵殺しゃくてんかんじんさつ!」

 燃え盛る炎が屋上を包んだ。有希を巻き込むとは…。

「貴様には救いがない!ここで殺る!」

「ウダウダ言ってねえで私の炎をくらえッーーーーーーーーーーーーー!」

「たつや!」

 700度の火焔が獲物を追い詰める蛇が如く這いよる。だが。

「無意味ィーーーーーーーーー!!」

「なにィ!光が私の炎を消しとばした!」

「RAIGAは地球の力!この母なる翠星にいる限り!何者も我を打ち砕くことなどできぬ!」

「桐生きさまァーーー!」

「終焉だ修学旅行!我がRAIGAの最終奥義!」

「こ…こんなことがッ!私のNEVURAは!絶対の絶対に最強なのに!」

「『黒縛冥土の天太陽』!」

「アガウバぁーーーーー」

 修学は塵になった。

「灰はハイに。塵はチリに。――そして修学旅行。永遠(とわ)に我が心に…」

「勝ったのね!たつや!」

「うむ、これで終わりだ…うっ!?」

「たつや!……のパンドラが……消えていく……!?」

「修学が死んだことで、パンドラがなくなったようだな……。どういうことなのかは我にもわからぬ」

「それじゃあ、これから二人で暮らせるのね!嬉しい!……でも、パンドラって何だったのかな?」

「さあな。でもパンドラー達はみな心に『欲』を持っていた。『女が欲しい』、『早く帰りたい』、『遅刻してほしくない』、『アニメが観たい』……パンドラとは、人が一人ひとりかかえる心の闇、その幻影だったのかもな。修学が死んでもまたいつパンドラーが生まれるかわからない。そう、

なぜなら―――」

 パンドラとは我らの心の中にあるのだから。












 こうして、世界中に広がったパンドラは桐生辰也の暗躍によって終わりを告げることとなった。

 パンドラー達は、普通の人間に戻れたことに限りない幸福を感じた。

 彼らは光り輝く未来を手にしたのだ。

 そしてそれぞれのために歩んでゆく。

 ……中には能力を失ったことに不満を感じる者もいたが。

 欲張りというものはいつの世も絶えないのである。





 しかし、今回の一番の被害者はWPPに勤めていた社員達だ。

 一晩にして職を失った彼らの人数は、1000万弱。

 そのことを桐生辰也は知る由もない。

 彼は100%の善意と正義感で勇敢に戦ったのだ。

 誰も彼を咎めることなどできない。

 たとえそのせいで200万以上の元社員が、自ら命を失ったとしても…。



 彼らもまた『社会』という名の荒波(パンドラ)に呑まれ続けた被害者なのかもしれない。






PANDoRA    FIN



To Be Continued……?

 

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