表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PANDoRA  作者: ソルテ
4/9

食堂

 ユウのリクエストで俺達は食堂に集まっていた。

 この食堂はWPPのホテルの2階にあり、定食が豪華なことで有名である。

 俺達は食堂の長テーブルに腰かけ、修学(おさまなぶ)会長の到着を待っていた。

 そんな緊迫した空気の中、一人だけ、右手にスプーン、左手にフォークという、いかにもな体勢で飯を食い散らかすアホがいた。

 当然ユウである。

 ユウは口の周りにケチャップやらマヨネーズやらミートソースやらをつけており、ちょっとした遊園地のお化け屋敷にいても、そこらのお化けよりよっぽどホラーな顔に変身していた。

 そんな俺の視線に気付いたのか、ユウは急に食事を中断し、満面の笑みを見せつけてきた。


 怖っ!!!顔どうにかしろよ!!!!


 そんな俺の願いは届かず、ユウはまた食事を再開した。

 ヤツの胃袋はブラックホールにでも繋がっているのだろうか?宇宙飛行士とかが呑みこまれてしまうのだろうか?

 そんなくだらないことを考えていると、修学会長がやってきた。

「待たせたな、皆」

 会長が言ったのと同時に、ユウは素早く自分の顔をナプキンで拭いていた。なんという手際のよさ。

「あー……、話してもいいかね、菊龍院君」

「す、すいません会長!」

 頭を勢いよく下げるユウ。一昔前に流行したフラワーロックを思い出した。

「それで、今日は何の話なんですか?」

 なぜか訊いたのは、有希だった。会長は怪訝そうな顔をしたが、すぐに話し始めた。

「そうだな……まず、質問だ。君たちはパンドラーがどれだけいるか、知っているかね?」

 パンドラーの人数?えっと、確か――

「全世界で一億人ほど、ではないでしょうか会長」

 真っ先に咲耶さんが答えてくれた。さすが咲耶さん。すると突然、ユウが俺に耳打ちしてきた。

「オレ、一万人くらいだと思ってた」

 ……菊龍院祐一。コイツやはりバカだ。

「正解だ佐倉君。では、日本には何人いるかわかるか?」

「日本、ですか?十五人ですよね?」

 当たり前だ。それぐらい俺だって知っている。

「オレ、わかんなかったぜ。ウヘヘ」

 黙れユウ。

「そう、十五人――のはずだったのだ」

 はず、だった?

「会長。どういうことですか?」

 俺の問いかけに会長は答えた。

「皆知っての通り――日本のパンドラーは十五人。そのうちの十一人がこのホテルに在住している。残  りの四人は地方のWPP支部にいる。それで全員のはずだったのだが――」

「会長。十六人です。詩織を含めて」

 俺はたまらず会長の話を遮ってしまった。でも、詩織だって俺達の仲間だ。仲間はずれにするのは俺が許さない。

「ああ、そうだったね。話を戻そうか」

 全く気にせず、会長は続ける。

「先日、群馬県のWPP支部にて、十七人目のパンドラーが発見された」

 その言葉に、皆目の色を変えた。あのユウでさえも。

 そうだ、それほどまでに衝撃的なことだ。つい最近十六人目の詩織が発見されたばかりなのに、また新たなパンドラーが見つかるなんて――。

「ほ、本当ですか!?」

 あのいつも冷静な咲耶さんが動揺している。

 本来、パンドラーとは“十年に一人の天災”と呼ばれている存在だ。もちろん十年というのはただの比喩であり、見つかる時期と見つからない時期があるだけだ。俺達はその見つかる時期だったわけだ。

「ああ、だがそれだけではない。岩手県支部でも一人発見された」

 全員、押し黙った。

「群馬県支部も一人、富山県支部と沖縄県支部では二人ずつ発見されている」

 ……こんなの、見つかる時期とかだけじゃない。確実に“何か”が動いている――。

「そして、ここWPP本部は、四人のパンドラーを発見した」

「まさか…」

「そう、君たちにはパンドラーの調査に向かってもらう」

次回、調査開始!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ