#0 異世界転生
鈍い机を叩く音がした。
「いい加減分かったらどうだ?」
その声は憎しみ、嫉妬等の憎悪の感情が入り混じった声だ。
俺の目の前にはカンカンに怒ったヘレン侯爵、その横にはアウデリン侯爵、さらにその斜め前にドライ侯爵
なぜここまでヘレン侯爵が起こっているかというと理由は明確だ。
俺の一族で代々保管しているドラゴンの核が欲しいからである。そのドラゴンの核はレッドドラゴンという太古の時代に絶滅したドラゴンである。
それとこれとはなんの関係があるのかと思うかもしれないが、ヘレン侯爵はずっとそれを狙ってきていた。なぜなら、ヘレン侯爵は最強の魔術師を育成すると言い出し、そのためにレッドドラゴンの核が欲しいと言い出した。
確かに、これを使って体の憶測に眠っているマナを呼び起こし、吸収することで並大抵の魔法使いじゃ太刀打ちできなくなるくらいの魔術師になるだろう
しかしこれは貴重な物でもあり、我がレルムンズ家の家宝である。
そんなもの断れば済む話?そんなことはもうやっている。このデブ(ヘンリー侯爵)はそんな物で諦めるほど潔くない。
「我が家の魔術師育成にはレッドドラゴンの核が必須です
アウデリン侯爵、ドライ侯爵お分かりになられますよね?」
なんと嫌な言い方だろう。しかもこの二人もこのデブとグルではないか。
「ヘンリー侯爵、毎度言ってますよね?
レッドドラゴンの核は我がレルムンズ家で代々家宝として大切に保管してきている物です。しかも我が家の魔法教育にも使用しているため、お渡しすることができません。」
そういうと、デブは顔を真っ赤にして怒鳴りつけてきた。
「所詮おまえらの家系は魔法がちょっと使えただけで、実際は何もできやしないじゃないか」
デブは嫌味のように続ける。
その後も貴族がどうたら、俺に渡せば金をやるなど言ってきたがもちろん断った。
アウデリン侯爵とドライ侯爵はデブの言いなりになっていた。洗脳魔法でもかけられているのだろうか。
そうして、約3時間ほど時間を無駄にしてなんの進歩も得られずにこの会議…と言っていいかわからないものが終了した…
◇◇◇
「はぁ〜」
ヘンリー侯爵らが出て行った俺は大きなため息をついていた。
にしても最後のは少し引っかかるな… そう考えながらめんどくさい雑務をこなしていた。
俺は貴族とかそういうのが嫌いだ。元々俺の家系は貴族ではなかった。あのデブが俺たちのことを目の敵にして粘着してくるのもわからなくはないが…
そうこうしているうちに、日はすっかり暮れ、空には星が並んで出ていた。
そろそろ切り上げて、今日は寝るとするか…
そんなこと考えながら黙々と、雑務をこなしていた。
◇◇◇
「久しぶりにこんな夜中に屋敷の中を歩くが、こんなに静かなには初めてだな〜」
そう呟きながら自分の寝室に向かっている時だった。
カサカサと何かが擦れるような音がした。俺はその音がした方にゆっくりと歩んで行った。
次の瞬間。俺の顔を目掛けて、ナイフが飛んできた。領域魔法のおかげで顔を突き刺すことはなかったが、耳を少し掠めた。
俺はナイフが飛んできた場所に上位魔法のブラストバーンを打ち込んだ。
ブラストバーンが壁に当たり、屋敷がドンと揺れる。
敵は隠密魔法が使えるのだろうか。俺の領域魔法におかげで、マナの残滓はわかるが、敵の居場所まではよくわからない。
「おい!そろそろ出てきたらどうだ!」
そう叫んでみたが返信はない。
またナイフが飛んできた。今度こそとは思いギリギリでかわして、ナイフの飛んできた方向に全力で向かった。
その時であった。
どこかしらから出てきたもう一人の仲間が俺の背後でナイフを突き刺してきた。
口から血が出て、足の力が抜ける。
「おまえらの目的はなんだ…」
かろうじてそう言うがまた返信はない。
それどころか何かの呪文を暗唱している。上位魔法なのは間違いない。若しくは…
その時仲間のもう一人が近づいてきた。
俺はそいつにもう一度問う。
「おまえらの目的はなんだ…」
「俺らの目的はお前を殺し、レッドドラゴンの核を手に入れること。
そう命令されているのだからそれに従う。」
誰に命令されているのだろうか。ヘンリー侯爵だろうか。はたまたあの二人の取り巻きだろうか。ましてやその3人でもない誰かが…
そう考えていると、暗唱が終わった。その後領域魔法のようで領域魔法じゃない…まるで何かを制限するような魔法が展開された。
その時、俺の体の痛みをなくす魔法が突如遮断された。
「おい、お前… それは禁忌魔法か?」
暗唱をしていたやつがニヤリと笑う。
「レッドドラゴンの核はどこだ?」
そうニヤニヤしながら俺に問う。もちろん俺は教えない。いや、俺も教えることができない…
「教えるかよ、バーカ」
そういうと俺の体を蹴って、罵詈雑言を浴びせてきた。
「もう殺そうぜこいつ。」
そう言われて、から数秒後俺の体にはぽっかりと穴が空いていた。
多分禁忌魔法だろう。
そして俺は遠のく意識の中で今までの人生を振り返っていた。
俺の頭の中は死への恐怖と何もできなかった自分の悔しさがあった。幼い頃から自分を守るため、大切な人を守るために訓練されてきたが結局俺は何もできなかった。
最後はこんな形で死ぬとは思っていなかった。
流石に今はまだ死にたくない。でももう自分が長くないことは自分でも感じていた。
もう一度やり直せる機会さえあれば…
今度こそ…絶対に……
そうして俺の意識は途絶えた。
◇◇◇
あれ、俺死んでなかったっけ?
え?死んでたよね?俺
とりあえず起きあがろう。
体に力が入らない…いや入れているのに体が持ち上がらない。
とりあえずまず誰か呼ぼう。
「あ、あう〜」
どう言うことだ?まるでこれは赤ん坊みたいではないか。
『赤ん坊みたい』…
もしかして俺って本当に異世界転生した?
ガチャ、ち扉の開く音がした。誰かの声が聞こえる。
「レイ〜ミルクの時間だわよ」
レイ?レイって俺のことか?俺、レイ・レルムンズのことか?
そうこうしていると俺の目の前に茶髪のお姉さんが現れた。
え?この人は誰?
そう思いながら俺は死ぬ間際のことを思い出す。
俺は強く、自分の人生を後悔した。そして、もしできればもう一度新たな人生を歩みたいと願っていた。
もしかしたら…本当に……
「いえあいえんえいいーあー!?(異世界転生したー!?)」
初投稿です!
今後もちょくちょく投稿するのでよろしくお願いします。




