嘘つきの遺書
懺悔します。
私は嘘をついてきました。
私が吐いた言葉の半分以上が嘘だったように思います。きっと本音より嘘の方が多かった。
この世界だって嘘で塗り固められているんだもの。かまわないでしょう?
いいえ、これも嘘です。
もう自分の本心が分からないのです。もしかしたら生まれた瞬間から嘘つきだったのかもしれません。母の腹の中でも嘘をついてついてつきまくったから鼻が伸びて伸びすぎて折れてしまったのです。
だから私の鼻は醜く低い。
果たして私は私に正直に行動したことがあったでしょうか。そもそも私の本心や意思なんてあったのでしょうか。
あるならどこに?見せておくれよさあ早く
これを遺書のつもりで書いています。疲れてしまった。
死ぬるということは真の行為。
どれだけ自分に嘘をついていても、勇気を振り絞って1歩踏み出してしまえば風に任せるだけ。思考は停止されます。あとは血溜まりが出来て死体が残って死んだという事実が生まれる。嘘の付きようがありません。
人は死ぬということを酷く恐れ嫌うけども実はこの行為こそが最も正直で美しいことなのではないかと思うのです。
私も正直になってみたい。
だからお許しください。
もし私の願いを聞いてくれるのなら、人生最初で最期の私の真を万歳三唱して喜んで欲しいのです。
それでは、さようなら。
~追記~
私には愛する人がおりました。
その人への愛だけは嘘でなかったと思いたい。
どうかこれだけは、仮に嘘だったとしても永遠にしたいのです。つき続けた嘘は本当の真より強固になると信じて。
だから私は愛する人への愛を永遠にするためにも死にます。
ですが、あなたがこれを読んでいたとしても気に病むことはありません。私は幸福なのです。
ああ、ごめんなさい
全て嘘です。