第19話 ラブコメの波動
昼食が終わり、修也たちはジェットコースターに乗っていた。
「うわぁぁぁぁぁ!」
「きゃぁぁぁぁぁ!」
猛スピードでジェットコースターが走って行く。
坂で下っていく迫力がすごく、叫ぶことしかできない。
やがて、ジェットコースターがスタート地点に戻ってきた。
「楽しかったね!」
「スピード速すぎるだろ……」
「次は何乗る?」
「コーヒーカップでも行くか?」
「賛成!」
楽しそうに話す裕樹と美紀を修也と夕香が眺める。
「二人が喋ってるのを見るのは新鮮だな。夕香は付き合っているの知ってたか?」
「ちょっと前に知った」
「二人って仲良かったんだな」
「そうみたいね」
「なぁ~二人共!次はコーヒーカップでいいか?」
「うん」
「俺もいいぞ」
「じゃあ行こう!」
修也たちはコーヒーカップに乗り込む。
「おい裕樹!回しすぎだろ!」
「こんなの回さないと損じゃないか!」
「お前ハンドル握ると人格変わるタイプだろ!」
コーヒーカップが凄いスピードで回っていく。
「ちょっ裕樹!止めろ!このままじゃ酔っちゃうって!」
「まだまだ!」
裕樹は終わるまで回し続けていた。
「ごめんごめん!さすがにやりすぎた!」
修也がしんどそうにベンチに座り、裕樹を睨む。
夕香が心配そうに頭を撫でる。
「修也大丈夫?」
「夕香~!」
修也が夕香に抱きつく。
「よしよし」
美紀が微笑ましそうに二人を見つめる。
「何?」
「いや本当に夕香って六皇子君好きなんだなって」
「……悪い?」
夕香が恥ずかしそうに修也を抱きしめる。
(あの夕香が恥ずかしそうに……尊い♡)
美紀が夕香を見てドキドキしている。
何かを察した裕樹が美紀を連れてどこかに向かう。
「とりあえずここからは別々に行動しよう!またな!」
「裕樹!絶対許さないからな!」
修也が叫んだ時には裕樹と美紀の姿は見えなくなっていた。
「ったく……」
「修也」
「なんだ?」
「……やっと二人になれた」
「?」
夕香が修也の頬にキスをする。
「!!!!!」
「ずっと我慢してたから……やっとできた」
拝啓。お父さん、お母さん。幸せすぎて天国に行きそうです。
「ちょっと裕樹!何するのよ!」
「あれ以上あそこにいたら暴走するだろ。それを阻止した俺に感謝しろ」
「えぇ~。六皇子君と夕香のイチャイチャ見たかったのに……」
「今は二人きりにさせてやろうよ」
「そう言って六皇子君から離れたかったからじゃないの?」
「それもある」
裕樹と美紀は気がつくとさっきのレストランのエリアに戻ってきていた。
「戻ってきちゃったな。少し休むか」
「クレープ食べたい!」
「買ってきてやるから待ってろ」
裕樹がクレープを買って持ってくる。
「美味しい!」
「美紀」
「何?」
「美紀はさ……俺のどこが好きになったんだ?」
「裕樹からラブコメの波動を感じてさ~」
「なんだよそれ」
「噓だよ。何だったかな~……」
美紀は出来事を思い出しながら語り始めた。
中学生の頃、美紀は図書室で本を読んでいた。
特に理由はない。ただ学校に登校し、授業を受けて家に帰る。
そして勉強する。そんな人生に退屈していた。
その退屈を埋めてくれるのが本なだけだ。
別に友達がいないわけじゃない。友達とも仲が良い。
でも何かが足りない。そう感じていた。
(誰か私を満足させてくれないかな……)
美紀が読み終わった本を元の場所に戻す。
「司書さん。おすすめの本ない?」
「あそこの本とかどう?最近、女子たちが休み時間に話しているシリーズ本だよ?」
「へぇ~!どんな本なの?ミステリー?」
「ラブコメだよ」
「ラブコメ?」
読んだことがないジャンルだ。
ラブコメがどんな話か分からないが、多分恋愛の話なのだろう。
美紀は早速読み始める。
最初は普通に読んでいたが、読み進めると胸がドキドキし始める。
気づけば読み終わっていた。
(ラブコメってこんな話なんだ……)
美紀は自然と笑顔になっている自分に気づく。
(こんなに夢中になったの初めてかも……)
美紀は中学卒業まで図書室に通い続けた。読む本はもちろんラブコメだ。
(私も高校に進学したらこんな恋愛してみたい!)
美紀の目の前には三年間通うことになる高校『光星学園』がある。
(絶対彼氏作るぞ!)
美紀は校門に向かって足を進めた。




