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エイリアンズゲーミング  作者: 春木千明
フリークダンス杯編

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第68話【VSペロリスト18 ラストスパート】

「クリッピィ~!! 今のはマジでデカかったわ俺。ほんとナイス判断だったと思うわ我ながら」

「ナイスだアツシ! やるやんお前!」

「いいぞアツシ! それをもっと早くやるんだよ!」

「まてまてまて。あんまり褒めすぎるとコイツまた調子に乗るぞ」


 予定外のキルの発生で、エイリアンズに人数不利が生まれた。こういった一方的なキルの場合は、後退して陣形を立て直すべきだが、第二チェックポイントまでの距離が近すぎた。


(どうすっかなー)

 アカリは思考を巡らせた。


 仮にこのまま後退したとするなら、

 →ペロリスト側のプレイするエリアが広がっていきパラディンのウルトが全員に当たってしまう恐れがある。

 →チームキルをされてしまえば、護送車がフリーで走れる時間をおおよそ一〇秒与えてしまうことになる。

 →加えて、デスをしている間は時間経過によるウルトチャージが発生しない&生き残っている間はチャージが発生し続けるため、ウルトの回転数でも有利を取られてしまう&チェックポイントを通過するごとに、タイムリミットは二分追加されていく。さらにリードを広げられてしまうということ。

 →即ち、圧倒的不利(ディスアドバンテージ)。めっちゃキツイ。

 思考終了、一〇〇分の六四秒。


 だからエイリアンズは攻撃を選択した。

「アカリ! これ、ウルティ使って勝負しよォ!」

「お願い! ちょうどやってほしかった!」


【すべて薙ぎ払う】

 リッカーの使用キャラ・アームズのウルトの発声音に対してペロリスト達は警戒を強めた。

 アームズは背負っていた重火器を取り出し両の手で深く握り込み構えた。青白く、バリバリと空気を裂く音を出すそれは、プラズマを吹き出す超高温の巨大バーナー。

 触れたもの全てにスリップダメージを与えるそれをシールドの内側へと擦り付けるように近づいてくる。


「リッカー来たぞ。ソーマ! ウルト!」

「あいよ!」

 

【全ては輪廻の中に還る】

 バジリコのコールに合わせてバジュラのウルト『イノセント』が展開される。

 修行僧のような風体のバジュラを中心に、金色の光が周囲を照らした。

 味方のHPが一〇を下回らない、一時無敵化のウルトの発動。


 もともと回復量の少ないキャラ攻勢をしているペロリスト達は、アームズの継続ダメージを持つウルトに対して相性が悪い。本来はギリギリのタイミングで使用するのが最も効果的だが、失敗をするくらいならとカウンターとして使うことをもともと決めていた。

 そうすれば攻撃に集中できるからだ。


 同時に、バジリコは再度攻撃チャンスを狙った。

 聳え立つロンドン市街の屋根にフックガンを撃ちこむと、牽引する力を利用して、屋根より高く身を投げ出す。


(フロッガーとニンジャはちょろちょろ動いて当てられん。狙うならホークアイ。メインヒーラーから殺す!)

 チャージを完了させたスナイパーライフルのサイトを覗き込むと、ホークアイを視界の端で捉えた。

 身体は空中へと放り出されて、なおもわずかに上昇する。

 正確に撃ち抜くための、僅かな一瞬を待った。

 手に握るマウスに無駄な力を籠めないよう、脱力し、その一瞬のために全神経を集中させた。


 数フレーム後、慣性が消える。

 上昇も落下もしない僅かな時間。

 ズレた照準を修正させるように、マウスを振って対象を狙った。

 マウスのクリックを押し込もうとしたその時、ホワイトウィングの身体は動かなくなっていた。


「はぁ!? これ当ててくるのかよ!」

 滞空した一瞬を狙って、ホークアイのスタンバレッドがホワイトウィングを射抜いた。

 全身に帯電を表すエフェクトがかかり、数秒間の行動阻害を受け、なすすべもなくそのまま地上へと落ちていく。


「ウィングスタン! ここここ!」


 途端、フロッガーが走り出す。壁を伝って、攻撃の間隙を縫うように前へと進んでいく。

 そして寝そべるウィングにバーンアウト、通常攻撃、近接格闘のコンボを叩き込んでキルを発生させた。


 戦地の真ん中にサポートがやってくれば、瞬時に敵の目が集まり、攻撃を仕掛けてくる。

 それを守ろうとエイリアンズのメンバーが動き出す。

 一つの選択が、連鎖的に他の行動を引き起こさせる。

 作戦のように整理され、予定していた行動ではない。ただ一つ、敵を殺すというその意思のみで敵味方が全員動き出す。


 乱戦の始まりだ。

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