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エイリアンズゲーミング  作者: 春木千明
フリークダンス杯編

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第63話【VSペロリスト13 エゴイズム】

 羨んでいてもしょうがない。

 なりたい姿にはなれなかった。それでも今となっては満足している。


 OTPになってからストレスがかなり減った。

 OTPになってから勝率が上がった。

 OTPになってから負けてもしょうがないと思える試合が増えた。

 OTPになって、面白い仲間と出会うことが出来た。

 その仲間が今ピンチを迎えていた。


「デジー! ヘルプー!」

「無理! そのまま死ね」

「デジぃいいいいいいいいいいいい!?」


 反射のようなものだった。身体はその言葉を聞き届ける前に行動を始めていた。

 機動力のあるニンジャとフロッガーのダイブ攻撃。ピョンピョンと跳ね回り連撃を与える二人を捌くには、パルカの回復力では遅すぎるとデジ男は判断した。


(……しょうがねえアレは捨てよう。そもそもこっちの構成は回復量も回復する速度も他のサポート達と比べると弱い。今からヒール回しても助けられるかどうかわかんねえし……)


 ならば、潔く諦めよう。


「もちな! 死んでもいい。ヤレるやつ()ってリグループするぞ!」

(どの道このウェーブは負けが濃厚。ならとっとと死んで再集合(リグループ)。できるだけ攻撃してウルトチャージを進めながら、一キル取れたらラッキー!)


 考え方を変えよう。


 そもそもこのゲームの勝利条件は相手を()()()()()()()()()()

 このルールは制限時間内にチェックポイントを三つ超えて、ゴールを目指すこと。

 その過程でキルが発生するだけだ。


 今が不利でも、次勝てばいい。


「え、いいのっ!?」

「え、できねえの?」

「できらぁ! おらぁああああああああああ!」


 人数不利の戦いは継続するほどに差が生じる。


 キルされると復活(リスポーン)するのに一二秒かかる。その間、四対五での勝負を継続するとキルされる可能性が増え、キルされるとそのプレイヤーの復活にまた一二秒かかる。

 攻撃と回復、チームの体力循環が追いつかなくなり、常に勝てない状況が続くということだ。


 だから一度、全員で負ける。

 そして、全員集まってもう一度、勝負を仕掛けなおす。

 要は、最終的に勝てばいいのだ。


 この時、エイリアンズはペロリストの後衛への攻撃にDPSとサポートの二枚。タンク同士の鍔迫り合いで一枚。そこに火力援護をするためにDPSが一枚。後衛で回復をし続けるサポートが一枚という陣形だ。

 その中でもちなが勝負を仕掛けたのはエイリアンズ後衛だった。

 特に理由はない。死んでも良いから攻撃しろと言われたからだ。


「『突撃(チャージ)』来るよォ!」

 リッカーのコールでメイとネコプライドが身構えた。リッカーはさらりと無駄のない動きで回避し、それに続くようにメイもその直線的な攻撃から逃れる。ただ一人、ネコプライドはギリギリまで引き寄せてから『スタンバレット』を直撃させた。


「うん。大きいから狙いやすい。メイ、リッカー、来て!」


 ネコプライドはメイとリカーを呼びつけると、スタンしたパラディンの前に集まった。

「いつでもできるよォ」

「合わせるわよ!」


 スタンバレッドは直撃した相手に対し、五秒間の行動不能を与える。しかし攻撃を喰らった場合は、再度行動可能になる。だからこそスタンした敵は可能であれば複数人で一気に体力を削り取る。ホークアイの基本戦法の一つだ。


『ももちもちな決死の突撃も、スタンバレッドが直撃! リッカーとメイがフォーカスのために寄って来てます』

 しかし、後衛に飛びかかってきたのはもちなだけではなかった。


「パルカも来てる!」

「いいよこのまま! 先にタンクやろォ!」


 パラディンは体力が七〇〇あり、タンクの中でもトップの体力量を誇る。

 リッカーのアームズは基礎攻撃がすべて必中で秒間一二〇ダメージ。ホークアイの基礎攻撃が一撃七〇ダメージ。ブギーマンの基礎攻撃のペレットがすべて必中で一〇八ダメージ。

 と、数字で見ると二撃以上は必要になる。


 相手がHP二五〇までのサポートやDPSであれば二人以上で取り掛かれば余裕だ。だが、さすがはタンク。体力の多さは侮れない。ましてや相手はシールド耐久が一六〇〇あるため、シールドを含めた相手の耐久力を数字で表すなら二三〇〇。ここにサポートのヒールが加わればなおさら崩すのが難しくなってしまう。


 そこで『ヒールグレネード』が役に立つ。

 チームに当たると九〇の即時回復と三秒間の被回復量五〇%増加効果を与えるが、敵に当たると七五ダメージと三秒間の回復阻害効果を与える。

 確実に仕留め切るためのコンボだ。


Ready(いくよー)? スリー、トゥー、ワン!」


 三人の集中攻撃をもろに浴びてパラディンのHPバーは瞬時に削り取られた。

 そこで、デジ男はネコプライドに対して勝負を仕掛けた。

 それはただの偶然で、ヒールグレネードまで使うかは想定していなかった。

 迎撃手段と即時回復のスキルを吐いたホークアイ。ダイブをしているため、戻るまでに時間と距離のある相方サポートのフロッガー。とても細いが、チャンスだと思った。


 通常攻撃の『ブラッディレフト』と同時にスキルの『アノマリーボール』を発動させた。シールド以外の全ての防御をすり抜け、直接相手のHPを吸収するパルカの攻撃がネコプライドを襲う。そうはさせまいと、リッカーとメイが振り払おうとするが一瞬だけ不可視化と無敵状態になる『ゴーストステップ』で潜り抜ける。


 タンクやDPSに興味はない。

 ただ、サポートに粘着することしか考えていなかった。


 スキルにはリキャスト時間がある。

 上手く躱しながら戦うにしても、体力にだって限界がある。

 だが、できる限りは。

 数回とはいえ、粘って、粘って、粘って……。




「デジぃ! さっきのはしょうがないとはいえそのまま死ねはひどくないか!?」

「いいじゃないすか別に。要は最後に勝てばいいんだよ。それに粘着してホークアイ落とせたから俺は気持ち良かった。それでいいんだよ」

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