第58 話【VSペロリスト8 その一瞬を掴み取るために】
『ロンドン第二チェックポイントにクルマが運ばれていきます。S字に曲がった道は高い建物の壁が聳え立つ。狭い道路には逃げ場がありません』
『エイリアンズの復帰が完了しましたね。おっと、キャラを変えてきた?』
ロンドン第二チェックポイントはS字に曲がった通路を経由しながら、工場へ車を護送する。
その際にいくつか防衛側が抑えておくべき箇所がある。
第一チェックポイントの最初の関門に小さな門。通路の都合上、ここを攻撃側は必ず通過しなくてはならない。そのため、防衛側は相手を一方的に撃てる場所だ。
当然、アカリはそれを理解している。
エイリアンズの全員も理解している。
なぜならこの大会が始まる前、スクリム期間中の反省会で元プロであるリッカーの意見を交えながら、作戦会議や座学を行っていたからだ。
『門の前に布陣を引くのはアームズとブギーマンとフロッガー。近接火力の高いタンクとDPSを範囲ヒールしながら、近づく敵を足止めする作戦のようです』
前衛三枚対五枚。人数差がありながらも前衛が崩壊しないのは、継続戦闘がしやすい構成によるものだ。
盾が割られればタンクはただのデカい的に変わる。その点、ダメージをカットするスキルを持つアームズはシールドではなく、体力で味方の被弾を減らすという戦い方が選択できる。
ブギーマンはパッシブスキルで敵に与えたダメージの一部を回復する能力がある。ブギーマンが近接火力の高いショットガンでパラディンのシールドにダメージを蓄積させていく。
そしてフロッガーが前述した二人に範囲ヒールを回し続けることでタンクのシールドが回復するまでのリキャスト時間を繋ぐだけの継続戦闘能力がある。
だがそれも時間の問題だ。
『時間稼ぎとしてはいいかもしれませんが、そろそろウルトも上がりますよ』
エリアの狭い箇所では交戦が激しくなる。
交戦が激しくなれば、ダメージとヒールのサイクルが促され、それに応じてウルトのチャージが加速していく。
一番最初にウルトチャージが完了したのは、もちなのパラディンだった。
「こんの……っヒーラー邪魔くせぇ! チョロチョロチョロチョロ動き回るし、盾の上から撃ってくるし! 本っっっっ当にめんどくさいんだけど!! やっちゃう? ウルト上がったしやっちゃうかこれ? もうやっちゃわないですかこれ?」
「落ち着けって。もう少しでアツシもウルト溜まるからそれで勝負しよう」
「あーウルト? いま九〇パーだからあと少しで上がる!」
「じゃあパラディンウルトのあとボマーウルトで前衛殺して前に出るぞ! タンク優先な? タンク優先で殺せ」
「今回もコレ勝てそうじゃない? 結構上手くいってるから今日俺調子いいと思うんだけどバジリーどう思う?」
「うるっせえ! こっちが作戦話してんだからまず先に返事せえや!」
「あ、作戦ね! はいはいはい大丈夫。大丈夫なんだけど一応もう一回聞いといてもいい?」
「合図したらウルトしろ!」
「りょーかいりょーかい」
そしてボマーのウルトが一〇〇パーセントに達した。
同タイミングで、アームズのシールドがリキャストに入った。ここがチャンスだとバジリコは一瞬で思考した。
「行けもちな!」
バジリコのコールで部隊が攻めの準備に入る。が、それを阻止しようとフロッガーが入れ替わりで攻撃を仕掛けてこようとする。
「知るか! ジャマ! 死ね!!!」
【壊れろ!!!!】
ウルト『パワースタンプ』の発声を轟かせると、パラディンがメイン武装の巨大なハンマー『レムナント』を大きく振りかざして地面に叩きつけた。正面二五メートルに衝撃波が走る。
その効果はスタン付与。
三秒間の行動不能を与える前衛崩しの強力なウルト。
だが、そこにエイリアンズの姿は存在しなかった。
正確には、視界の範囲に捉えることが出来なかった。
なぜなら、予定していた箇所よりも遠くにエイリアンズがいたからだ。
それはなぜか? パラディンが吹き飛ばされたからだ。
『おぉおおおおおおおお! それはデカい!』
『フロッガーのバーンアウトでパラディンを吹き飛ばしてウルトを外させたましたね!』
「あぁあああもうキモすぎるんだけど本当に!!!」
ウルトの空振りで仕掛けが失敗した。一度体制を立て直して、また機会を狙おうと作戦を変更することにバジリコは思考を切り替える。リードは第一で十分に稼いでる。まだ焦る時間ではないからだ。
(一度ウルトチャージをし直すか……)
「アツシ!」
【WATCH OUT!】
「バカ! ウルト使うなって言おうとしたんや!」
「え、そうなの?」




