第50話【フリークダンス杯 開幕式3】
公式放送に合わせてウォーカーこと木原進も自身のチャンネンルで配信を始めた。
スクリムが始まった頃から同接数が伸びていき、本日二〇〇人を集めることが出来た。
おそらく参加メンバーの中で一番人数が少ないだろうことは理解していたのだが、今までコソコソと一人でやっていた時は同接〇人だったためかなり頑張っていると言えるだろう。
ところで配信者達のコメント欄には色があるとウォーカーは考えている。
実際に赤とか白とかが付いているという意味ではない。視聴者達の層というか、雰囲気がそれぞれのチャンネルに出てくるのだ。
例えばリッカー。
日本語を流暢に話せることと、陽気なキャラクターのためかさまざまな人のコメントがある。
だが主軸となるコンテンツはプレイイングの上手さであり、驚きや賞賛といったものが多く見受けられ、視聴者達からは尊敬の念を感じられる。
次にネコプライド。
こちらは英語ばかりが飛び交い、ほとんど何が書いてあるのかはわからない。だが光ったり動くスタンプが多く連投されており、間違いなく視聴者が楽しんでいることはわかった。
言葉の壁を越える賑わいを感じた。
そしてウォーカーはというと、コメント達から謎の圧を感じていた。
【オルガさんに目つけられてた人見に来ました】
【すみません。この人知らない人なんですけどなんかの選手とかですか?】
【いえーい新人くん! 見てる~?】
「あのー……リッカーさん。なんか俺の放送が日に日にコメント欄怖くなってるんすけどどうしてでしょうか?」
「あっはっは! ケイオスだねェ!」
「どれー? うーむ……日本語ばかりでわかんないなぁ。何かタイヘンなの?」
「何円でトロールしてくれますか? とか書いてある。パンツソムリエさんだってェ」
「ぷふっ! マジか。めっちゃおもしろいね!」
「まァ賑わってるからいんじゃない?」
「話してみたらトモダチになれるかもよ~? いっぱいしゃべてみよう?」
海外組は気にならないようだ。
賑やかなことは確かにいいことなのだろうが、ウォーカーはまだまだ駆け出しの配信者だ。ちょっとでもネガティブなコメントが流れていると気になってしょうがない。
ならばここで助言を受けるべきは日本組だろう。
「あのーアカリさん? なんかこう、コメント欄の雰囲気が最近殺伐としているというか怖いんですけど……なんか配信上手くやるコツとかありますか?」
配信者ではないのに三〇〇人近くが見に来るエイリアンズ動画編集者。
ウォーカーはその秘密を調査しようと思った。
「うん? コツ……コツなぁ……? 言うて俺は参考にならないですよ。ちょっと見てみて」
試しに覗いてみると日本語、英語、韓国語の三つが流れていて何が書いてあるのかさっぱりわからなかった。
「うわっ! なんすかこれ」
「俺もよくわからん。ちょっとしか理解できないけど、なんとなくでやってる」
「確かに参考にならないですね……」
「そういうのはメイが一番得意だからあっちに聞いてくれ。あと配信中に自分のところのコメントが怖いとか言うもんじゃない。失礼だぞ」
「あ、そうですね。すいません……」
(考えてみたらそうだ。このメンバーの中で一番配信慣れしてて、統率が取れているといえばメイがいるじゃん。日本人も多いし、参考になるじゃないか)
質問をしようと思ったところ、メイはマイクを消音していた。
せっかくなので配信を直接に見に行くことにした。ついでにコメント欄の様子も見ることができるからだ。
「ナイスパセンキュ~! なになに、今日はちょっと厚着してるのなんで~って? なんと、今日は負けた試合の数だけ一枚ずつ脱いでいくチャレンジをしてるところ! 赤スパしてくれたパンツソムリエさんからの企画でーす」
何も聞かずに配信をそっと閉じた。




