第44話【侵略開始10】
トリガーのウルト『魔人召喚』の残り時間は五秒。
スタンバレッドの効果時間中、エイリアンズ側のホークアイは占領地近くの柱まで移動を完了させると、ジンからの射線を切ることに成功していた。
魔人召喚で現れるジンは自動照準で射撃をするが、その範囲には限りがある。
まず第一にこれは設置型のものであり、ジン自体が自立して移動する機能はない。二つ目にジンが射撃する対象についてだが、足元に展開された魔法陣内にいる敵に対してのみだ。現在効果範囲内にいる対象はおらず、ジンの攻撃は虚空に消えていく。
エイリアンズはトリガーのウルトをいなすことに成功した。
だが、前衛の崩壊は始まっていた。
ホークアイのウルトで強化されたリッカーのアームズが反撃を開始しようとしたその時、ホークアイの『スタンバレッド』の着弾していたのだった。ハレモノのサポート一番を務める犬飼ドッゴによるものだった。
「スタンスタンスタン! アームズスタンした!」
(うわっ、なんか当たった!)
前衛同士の密集した交戦の中、それらの脇や盾の間隙を縫って届いた一矢。一番驚いていたのはドッゴ自身で、狙って撃ったものではない。もう一度本番で同じことが出来るかと聞かれれば「無理っす!」と間違いなく答えただろう。
スタンバレットの効果時間は五秒。ブーストバレッドは約七秒。貴重なウルトでの強化時間を、二秒しか展開させないという特大ファインプレーである。
突然の出来事で上擦った声のコール。
たとえまぐれの一矢であろうと、マッコイは逃さなかった。
「速度上昇速度上昇! ついてきて!」
フロッガーの移動速度バフがチームに届き、音が全員の足を後押しさせる。
今ここで叩くべき敵は、
「ニンジャからやるよ! フォーカス合わせて!」
タンクであるリッカーではなかった。
(ここでリッカーをもしも倒せなかったら、キル交換しながら負けるかもしれない……! だったら、俺は、弱い奴から先に倒して、残った全部でリッカーを倒す!! たとえ一人じゃできない化け物退治も、チームで戦えば勝てることは、先週のスクリムで証明してきた!!)
狭い通路を潜り抜け、ようやく占領地の建物が見えてきた。




