第42話【侵略開始8】
〈ハレモノ〉
タンク:『マッコイ』アームズ・ウルト一〇〇%
DPS一:『鷲宮イグル』トリガー・ウルト一〇〇%
DPS二:『シラカバ』コマンダー・ウルト三〇%
SUP一:『犬飼ドッゴ』ホークアイ・ウルト一〇〇%
SUP二:『牛久保ビーフ』フロッガー・ウルト二〇%
リスポーン地点の狭い通路を突破するのに必ず一つはウルトを使わなければならない、とマッコイは考えていた。
「どうするかこれ。魔神召喚させても、ホークアイのスタンバレットで止められる……」
本心ではフロッガーのウルトでHPを増大させ、無理矢理前線を押し上げたかった。リスポーン地点前で敵に陣取られている場合、集中砲火をくらってしまい、外へ出ていく瞬間に大量のダメージをもらってしまうからだ。
だが、残りの時間内にウルトを上げられるかどうかを考えると、現実的ではないと思っていた。
「俺ウルト吐くからみんなで押そう! 死ぬ気で押そう! ここ勝たなきゃノーチャンスだから頑張ろう! イグルはこっちでヘイト買うから、後衛に向かってウルト打って!」
「おっけーい!」
潔くウルトを使って正面突破することを決断した。
【すべて薙ぎ払う】
アームズはウルトの発声と共に、背中に抱えていた武器を構える。身の丈の三倍ほどある青白い火柱を立てて、進軍を開始した。
アームズのウルト『プラズマバーナー』は触れた対象に延焼効果を付与し、継続ダメージを与える。この密集した距離感において、チーム全体のHPを削るのに適していた。
(向こうはさっきフロッガーウルトを使ったばかりだから、耐えられないはず。大人しく逃げるかそのまま死んでくれ!)
エイリアンズは退くことを選択した。
いくらフロッガーが範囲ヒールをするサポートキャラであろうと、スリップダメージを蓄積させ続けるアームズのウルトの前では、回復量が間に合わないと思ってのことだった。
陣形は直線状で、狙い撃ちをされないように広がらずに帰っていく。
エイリアンズのフロッガーが移動速度バフと回復を交互に切り替えながら全体の撤退を補助していたが、こちらのフロッガーは追い続けるのみ。移動速度と回復の切り替えの際に出来るわずかな時間の差が、チームの距離を近づけていった。
ウルトの展開から四秒が経過した。前線は順調に上がっていき、占領地がようやく見えてきた。登り階段なども使えるほどエリアを広げると、イグルはトリガーのスキルを駆使して高台を取ることに成功した。
そこからの動きはいつもの通りだ。高さを活かした射線で後方にいるサポートや、隙を見せたDPSに弾丸をお見舞いしていく。
撤退するために敵のタンクが展開させたシールドにグレネードを投げつけて、それを撃ち抜き炸裂魔法を発動させ、延焼ダメージでシールドの耐久値をジリジリと削っていくのだ。
マッコイのウルトが尽きるまで残り三秒。プラズマバーナーでシールドを焼き切ってタンクへ攻撃を仕掛けていくその時、エイリアンズは下がることをやめて攻勢に出てきた。
【お前に託そう】
敵サポートのホークアイがウルトの発声をした。




