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エイリアンズゲーミング  作者: 春木千明
2 スクリム編

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40/73

第40話【侵略開始6】

この作品の他、前日譚として作った文庫本1冊分の作品『サラシナデイズ』も公開中です。

お時間があれば、作者ページから是非ご覧ください。

評価、ブックマークなど頂けると励みになります。

 それは撃ち合いという競争の舞台に身を置かず、陰に潜んで一瞬の隙に標的を仕留めにかかる。

 そのキャラの名は『ニンジャ』。

 まさしく忍者だ。


「え、ニンジャ!? なんでニンジャ!」

(さっきの当たり合いの後、ブギーマンからキャラ変えてたのか!)


 ニンジャの方を向き射撃をしようとするが、壁を走って登り戦線離脱していく姿はまるで電光石火。

 瞬く間に消えていき、影の中から虎のような殺気が再びチャンスを狙っていた。

 さすが忍者。汚い。


 見えない敵に警戒を怠ってはいけない。

 だが、見えないものを追い続けてはいけない。


 目を離した途端に別の敵が襲ってくる。

 リッカーが得意とした戦い方だ。


 体力を回復する術を失ったマッコイはリッカーの攻撃に耐えることができずに倒される。

 この場面は勝てないと悟ったマッコイはチームの撤退を選択した。

「ごめんムリだ帰ろう! ビーフさんスピブで戻ってきて」

「ちょっとキツイかもぉ! すっごい追ってくるぅ!」


 牛久保ビーフが使うフロッガーの移動速度バフでチームは後退を開始するも、敵のフロッガーも移動速度バフで追撃をする。


 さらに後方から手裏剣が投げ込まれていた。いつの間にか裏どりをしていたニンジャだ。


「うわぁ! ニンジャ! 後ろにニンジャ!」


 前方からはタンクとサポートライン、後方からはニンジャに包囲されてしまっていた。


 こうなってしまっては迷いの森。

 熱が入った報告は他の誰かの耳に届かず、全員の視点が揃うことはなかった。

 逃げ場を失った敗走兵は抗うことも許されない。

 手裏剣で貴様を驚かせたい。

 エーゲ海の空に風を切る音が響き渡った。




 戦い方を変えて相性問題を解決することはたいして珍しいことではない。

 ハレモノが今回の当たり合いで負けた大きな要因は、相手の構成を確認しなかったことと潜んでいたDPSに対して警戒を怠っていたことだった。


「急にキャラ変えてきたなー」

「そろそろ対策決めてきたっすかね」


 ハレモノはラッシュ構成を主軸としているが、トリガーとコマンダーによるポークも可能であり三竦みのうち二つの対応ができる。

 そのため同じラッシュ構成のエイリアンズに対しても強くでられるようになっていた。


「ニンジャ……なんで、よりにもよってニンジャ……!」

 

 ニンジャは自身のスキルによって壁を上ることができ、高台をとったり敵の裏どりをすることが可能だ。確かにそれならトリガーに対抗することが可能で、地面を走るチームのエリアを広げる手助けができる。


 だがニンジャが採用される可能性については完全にノーマークだった。

 なぜならキャラの性能が弱いからだ。


 メインの火力はガンマンやトリガーに劣る上、弾丸の命中判定が即時行われるヒットスキャンではなく速度と軌道の存在するプロジェクタイル。加えて弾速がかなり遅く攻撃が当てにくい。そのため中距離よりもさらに内側で戦わなければいけない。タンクのアームズとおなじくらい近距離向けのキャラであり、そもそもラッシュ構成に対してダイブは弱いのだ。


 それを採用するくらいなら同じトリガーをピックしてエイム勝負をものだと思っていた。


 ある程度爆発力があるが、ピーキーな性能を十分に扱いきれる者は世界大会にもそういなかった。


 ただ一人、リッカーを除いて。

 警戒を怠っていたのはリッカーがDPSではないことが最も大きかった。

 だからニンジャは選択肢の中に入ってこないものだと思い込んでしまっていた。


 だが違った。高いレベルで使いこなすプレイヤーがエイリアンズにはいた。

 しかもこのファイトの組み立て方は身に覚えがある。


 アジア大会で身をもって理解させられた、リッカーのニンジャのようだった。

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