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エイリアンズゲーミング  作者: 春木千明
1 エイリアンズ入団編
4/66

第4話【チームギャップ】

 暴言サポートの策略により敵チームは十分にパフォーマンスを発揮できずにいた。

 まさに外道である。


 先にも述べていたようにこのゲームは一人ではゲームを動かすことができず、一人でも欠けると瓦解するチームワークの循環で出来ている。

 

 まさかこんな盤外戦術を行うとは、ウォーカーこと木原進も想像していなかった。


 だが、驚くべきはアカリのサポート力の高さと統率力にあった。


「サポ二さん上手いっすね! めっちゃ戦いやすいっすよ」


「何言ってんすか。タンクさんの詰めとカウンターのおかげですわ」


「俺キル一二でデス一でめっちゃ気持ちいい」


「バレットさんも一緒に走ってくれるからありがてぇ。さっき四連続キルしてましたよね、見ちゃいましたよウルトで取り切ってるところ」


 最初は小さく、乗り気でなさそうなボイスチャットの雰囲気が明るく、そしてコールをするように変わっていった。

 この親しげで、隙のありそうな声色と喋り方がチームを一つにまとめていく。

 負けても楽しかった、と言えておかしくないくらいの空気を作り上げている。


Sup2:nc troll(ナイストロール) tank(タンク)


 ただしテキストチャットを除く。


「第二ラウンドも同じ感じで行きます?」


「そうですね。変わらずこのまま、甘えた奴らを片っ端からシバいてやりましょう!」

「オーケイ」「了解です」「はーい」と全員が応えて、第二ラウンドの幕が下ろされる。



 互いに鼓舞し、協力しあうチームの動きはまるで軍隊のようだとウォーカーは思った。


 マップは変わり摩天楼第二版。

 超巨大高層ビルの屋上をイメージしたここは東と西にスポーン地点となるヘリポート、そこからマップ中央にかけて貯水タンクや排気ダクトが遮蔽物として陳列されている。


 占領エリアは北側にいたしており、第三ヘリポートをイメージして作られたここは、四方をを囲うバリケード状の壁が建てられている。

 また、マップの端は壁がなく、摩天楼マップ外に落ちると落下死の環境キルが起きるため注意が必要である。


 ウォーカー達のチームは第一ラウンドと同じ動きをしていた。


 アカリの『エンジェルビート』により移動バフがかかった全員がエリアの占領に取り掛かる。


 遅れてやってくる相手チームに対してタンクを先頭に、ウォーカーとアカリが通路に蓋をする。


 なんとかエリアへ辿り着こうともがく敵はタンク同士で殴りあったり、バリアを壊そうと撃ち続けるDPSにウォーカーの射撃でダメージトレードを均衡にする。


 隙を見つけたと思ってもアカリの衝撃波で押し戻され、なかなか前線が上がらずにいた。


 痺れを切らした敵のタンクはまた『突撃』で勝負をかけるが、敵陣地のど真ん中へとやってくるその行為に対してただ淡々とフォーカスを合わせて処していく。


 まるでシステマチックな処刑台のようだった。


 タンクの動きは駄々をこねる子供が喚くかのようで、途中から勝利ではなく、アカリに報復することだけが目標のような戦い方へとすり替わる。


 さすがのアカリも隙をつかれる場面があり、三度ほどキルを取られたが、その四倍近く敵のタンクはデスを重ねていた。


 タンク以外もなんとか勝とうと、前線をあげたりDPS同士でファイトをしようと努力する。


 だが、常に四対五の人数不利があり、ましてや最も殴られ強いタンクが自身の役割を果たさないのだから常にダメージトレードが勝てない。


 負けないように立ち回っても、それは勝利には結びつかない。

 ジリジリと常に削られ続け、試合は制限時間に達していた。

 試合は終始ウォーカー達の圧勝だった。


『ナーイスGG! ありがとうございました!』


『GG お疲れ様です』


「ナイスでした。おつでーす」


 最後にチームはメンバー同士で讃え合い、勝利の喜びを噛み締め合っていた。


 進はゲームのロビー画面に戻ると、次のゲームに参加しようとエントリーをしようとする。


 そこに一通のお知らせ通知がくる。


 先の暴言サポーターからのフレンド申請だった。

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