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エイリアンズゲーミング  作者: 春木千明
2 スクリム編

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36/73

第36話【侵略開始2】

(おいおいおいどうなってるんだよ……!)


 五年前のアジアリージョン予選のことだった。

 初めての大会に参加したマッコイはDPSを担当していた。


 当時はまだ、日本国内でプロゲーマーという存在は社会的に認められていなかった。

 ゲームはオタクの遊び。

 社会の役に立たないもの。

 そういう白い目で見られることが多い時代だった。


 それでもマッコイは自身のことを卑下することはなかった。

 それはゲームが好きだったからだ。


 最初はただ友人と遊ぶRPG系のゲームをやっていたのだが、ある日対人ゲームと出会うことになる。

 幸運なことにマッコイには適性があった。

 つまずくことなく、楽しくゲームを続けながらいつの間にかそのゲームの最高ランクに到達することができたのだ。


 才能がある、と確信した。


 現実の世界でやっていた野球やサッカーとは全く違う。少なくとも自分は、このゲームとルールを完全に理解をしているのだと自負していた。


 ある時、友人からの伝手でゲーミングチームというものに加入することになった。

 そして、国内大会を順調に勝ち進みトップで通過すると、気づけばアジア大会の舞台に立っていた。


「なぁゼン! このままだったら俺たち世界大会に出ることができるかもな!」

「あぁ……まぁ、ワンチャンあったらいいな」

「なんだよもっとポジティブに行こうぜ? 勝ったら晩飯何食うか考えてようぜ!」


 初めての国外での大会。

 チーム全体が不安を感じることはしょうがないことだと思っていた。

 だが、自分たちは挑戦者だ。

 もしこの大会に負けてしまったとしても、次を頑張ればいいだろう。

 スポーツの大会だって一緒だ。


 誰もが優勝をするわけではない。勝つ者の裏には負ける者もいる。

 だが、大切なのは自分のベストを尽くすこと。


 そのあとで足りなかったものを足していけばいいのだと信じている。

 それが努力をするということだと、信じている。

 そしていつか頂の景色を見ることができるのだと、信じている。




 そう、信じていた。




 理解していなかったわけではない。韓国はゲームの強豪国であることは事実で、それは他のゲームのタイトルでの戦績を見ても明らかなものだった。

 事前に調査をしていなかったわけではない。

 だが、足りなかった。

 実感が足りなかったのだ。


 それは後からついてくる。

 日本代表を背負ったチーム。

 相手と同じ最高ランクの到達者。

 同じく国の代表を背負っているチーム。

 ゲームは全員が同じルールや性能の中で戦っているから、人種、国籍、性別、身長、体重など、そういった要因で有利不利が生まれることはない。


 この上なく平等なスポーツだと言えるはずなのに、まるで大人にあやされている赤子のように『遊ばれて』いた。


 その時、敵のDPSはリッカーが担当していた。

 型にはまらない積極的な攻めるプレイング。

 中距離からの圧倒的な射撃能力でピックを狙い、隙を見せるとタンクに張り付きシールドを勝ち割ろうとしてくる傲慢さ。


 その必殺の間合いに入った瞬間、瞬く間に溶かされていく。


 ラッシュは成功しない。構成を変えてアンチピックをしても通じない。唯一残された射撃能力(エイム)でさえも格付けをされてしまう。


 何かをしよう、行動を起こそうとするたびに突き付けられる無力感。

 決死のコールもいつの間にか音圧を失い、自分の声すら聞こえなくなってしまっていた。



 試合後、二三歳のマッコイはプロゲーマーの道を諦めた。

 自分は何も特別ではなかった、と涙を堪えながらインタビューに答えた。

この作品の他、前日譚として作った文庫本1冊分の作品『サラシナデイズ』も公開中です。

お時間があれば、作者ページから是非ご覧ください。

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