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エイリアンズゲーミング  作者: 春木千明
2 スクリム編

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33/73

第33話【おもしれえ新入り】

 オルガはそのまま続けて話す。

「……お前DPSキャラも選択肢多いだろ? だったらお前が死なないように動いてIGLすればいいじゃんか」


 傲慢と思われるかもしれないが、DPSはチームをキャリーするものだとウォーカーは思っていた。


 タンクは前線を張ること、サポートは味方を殺させないことが役割であるのに対して、DPSの役割はこの上なくシンプルだ。敵を殺すこと。その一言に尽きる。

 敵を殺してチームを勝利に導くという、そんな単純なことを実現できずにいた。


 試合を重ねる中で何度も思った。「リッカーさんがDPSなら、きっと勝てた」と。

 だがそれはルール上できない。自分が代わりとして、頑張らなくてはいけないのだ。

 そして、オルガの一言でふと思ってしまった。


 自分じゃなくてもいいんじゃないか? と。

 

(うっ……なんだこの人。アカリさん以上にめっちゃ刺してきやがる。まぁ事実なんだけどね? だって俺はリッカーさんみたいにキャリーできる感じのプレイヤーじゃないし。自分からワンピック取るよりも、全体にプレッシャーかけるのが得意な方だし、火力不足なのは重々理解してますけどね……)


「……今からでもロールを変えた方が良いんじゃない? まだ時間はあるし、色々試してみる方がいいと思うけど」


 万が一ロールを変更されたとしても大丈夫。一応ゲームの理解度に関してはそこそこあるつもりだ。やるとすればなんのキャラならできるかなぁ、と思考を逡巡させていた所だった。

 アカリは合理的な考え方をする人物だと何となく理解しているからだ。

 ウォーカー自身もそうだ。特に意固地になったりはしない。

 勝つために手段を変えるのはよくあることだから。

(まぁ別にサポートが全くできないわけじゃないし、あと一周間あれば何とか、できるかな……)


 ただ、憧れたリッカーと同じ役割で勝ちたかった、と心残りがないわけではなかった。


「大丈夫。ロールはこのままで変えないっすよ」

 アカリはまっすぐな声でそう宣言した。

「オルさんもクーさんも、ウォーカーくんがぶっ倒しますよ。ちょっと待っててくださいって」


 それは明らかな宣戦布告だった。

 相手は別タイトルとはいえ、プロゲーマーだ。一介の高校生ゲーマーがなんとかしようなんて思えるような気軽い存在ではない。断じてない。

 そんな相手に選手ですらないこの男は、気軽にケンカを吹っ掛けたのだ。

 プロに向かって一般人をぶつけるので十分です、とそう宣言したといっても過言ではない。


「……なるほどね? まあ色々考えてるんならそれで頑張って」そう言うとオルガはボイスチャットから抜けていった。


「……な、なにやってるんですかアカリさん!!! 俺、そんな、なんで煽るような風に言うですか!」

「言ってやったゼ✰」

「言ってやったゼ✰ じゃないですよ。もう終わりだ! 完全に目ぇ付けられる。ついこの間配信本格的に始めようと決意したばっかりなのに、俺、もう詰んだこれ!」

「大丈夫。エイリアンズは意外と炎上が多い。メイ先生に上手な燃え方を教えてもらってきな」

「まずはツブヤイターがおススメよ。何か投稿したらアンチがリプしておススメやトピックスに上がりやすくなると、拡散して配信を見に来る人が増えることもあるわ。DMは閉じておきなさい。厄介ファンから殺害予告とかくるから」

「もう俺健全な配信者として生きてけないじゃないですか!」

「だいじょうぶだよウォーカー! なんかあればハワイに逃げるといいよ。ふしょうじ? でハワイに住む日本人いっぱいだよ」

「俺まだ高校生なんですけど!」



 ともあれ、幸いだったのはオルガ側もエイリアンズメンバーも配信はすでに閉じていたことだ。拡散の心配性はなさそうだが、一方でオルカがツブヤイター上で「エイリアンズの新入りさん。ぶっ潰す」と発信していたことに冷や汗が止まらない夜を過ごしたウォーカーだった。

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