第32話【お前がやればよかったのに】
『GG』
『お疲れ様でしたー』
『おつでーす』
など、ゲーム内のグループチャットで挨拶が飛び交う。第一週三回目のスクリムが終了した。
本日もエイリアンズは負け越していた。
「今日もボロ負けですね……」
「私達これで何勝したっけ……?」
「ゼロだよ。ちゃんと現実見てね」
ウォーカーとメイは疲労困憊といった具合だった。
試合と配信を終了すると脱力しきってような声になっていた。そこにアカリが喝をいれようとしていた所だった。
「まぁ今日はファイトいっぱいできたし。楽しかったよ!」
こんな中でもポジティブでいたのはネコプライドだった。
マイペースという方が正しいのか、今日の試合のことを振り返りながら話してた。
いつもの流れなら軽く反省会をしてから解散という運びになる予定なのだが、それは思わぬ客人の登場で時間を取られることになった。
ポロンッと軽い電子音が全員の耳に届く。誰かがグループボイスチャットに参加したようだ。
「……どうも。お疲れ様っす」
聞きなれない声。少なくともエイリアンズのメンバーでないことはウォーカーにも理解できた。
表示されるIDには『Olga』と書かれており、それを見てようやくフリークダンスチームのオルカであることに気づいた。
「おォ~お疲れさまァ~」
「オルガじゃん。おひさー」
と、エイリアンズのメンバーは返事を返していた。漏れの無いように遅れてウォーカーも「お疲れ様です」と言葉を添えておいた。
「あーオルさんお疲れ様です。どうしたんですかチームチャット入ってきて。向こうは終わったんですか?」
「……あのさ。本番大丈夫? このままで」
オルガのその一言で場が凍り付く。
「……このままだと本当にボコされるだけになるんけど。キャラ構成変えるとか、ロール変えてみた方がいいんじゃない? 特にDPS。俺達の時もそうだけど、ペロリストとやってる時とか射線意識薄いんよ」
「「うっ」」
ウォーカーとメイの二人が貫かれた。
「……というかなんで初心者組をDPSとサポートにそれぞれ分けないんよ」
「そりゃあこの突中にサポートなんてできるわけないだろ。エイムしか取り柄がないんだから」
「ちょっと! そこはカバーしなさいよ! 一応チームメイトでしょうが!」
それはオルガも理解していた。なんだかんだ同じバーテックスの競技プレイヤーであるメイのことは、戦力を分析するために配信を何度か見ていたからだ。その強みも、弱さも理解している。
他のエイリアンズのメンバーについてだって、リッカーが元プロであることも知っているし、ネコプライドはランクこそ低いが長年このタイトルをやっていることもあり動きが理論的であることも理解している。
ならばこそ、腑に落ちないことがある。
「……じゃあ、なんでDPS専をわざわざ連れてきたんよ。アカリがやればよかったじゃんか」




