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エイリアンズゲーミング  作者: 春木千明
2 スクリム編

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第27話【50-50】

 作戦というほどのものではない。ただの意識改革のようなものだ。


 ラッシュは成功しているのにキルが成功しないこと。タイミング悪くデスをしてしまうこと。

 これまでの戦いを振り返ってみて、ウォーカーはメイの悪癖を見つけていた。


(なんとなくわかってきたけど、メイは突っ込み癖がある)


 誰よりも早くキルを取ろうとする。チャンスがあれば徹底的に食らいつく。

 その結果チームとの連携が取れずに孤立してしまう。

 その特性はおそらく、彼女の出身ゲームである『バーテックス』の戦い方に基づくものなのだろう。


 そのゲームはキルスピードがやや遅めのゲームであり、自身がアイテムを使うことで回復をすることができる。そのため、回復を仕切る前に勝負を仕掛けて決着をつけることが、敵を壊滅するのに適した戦法であることが多いゲームシステムになっている。


 だが『ベータリンクス』はロールが分かれており、()()()()()()()()()()()()()()という戦法が取れるのが特徴だ。

 傷つきながらも体力有利を得たなら勝負を仕掛けることが得とされるゲームとの差が、ここで出ているのだろうとウォーカーは考えた。


 ならばどうするか。ウォーカーは選択肢を狭めることが良いと思った。


 このゲームにおいて有利を取るには、自分の強みを相手に押し付けることが最善だ。

 ここで言うメイの強みとは、元プロとしての安定したエイム力。欠点は引き際の判断がつかないこと。

 ならば弱点を晒さず、強みを押し込むために前線から少し遠ざけるてみてはどうだろうか。


(もともとガンマンは中距離から撃ってダメージを稼いで、キルチャンスを作るのが得意なキャラだ。リッカーさんは敵の隙をつくのが上手くて、前線近くで射線を作ってダメージを出すことができる。でもメイにそこまでさせるのは難しいし、今回はラッシュの戦い方をするから、前に出るタイミングだけ合わせれば問題は無いはず……)


 その予想は的中した。

 数戦回していく毎にメイのスタッツが上昇していき、チームファイトの勝率と安定感も上がってきた。大事なタイミングで勝負をして負けることはあっても、その手前でミスが起こることは明らかに減っていた。


 だが実行してみてわかった、一つ大きな欠点を抱えていた。


「い、忙しすぎるぅううううううううう!!!!」

「止まるなウォーカー。名前にウソつくんじゃねえぞ」

「はいいいい!」

「トリガー瀕死(ワン)! トリガートリガートリガー!」

「やったやった! トリガーやった!」


 前線を下げることでメイの頓死の割合が減った。

 その分一緒に前で戦う火力が一つ減ったことにより、ウォーカーの敵から受ける射線の本数、シビアな駆け引き、リッカーの火力補助などが爆増したのだ。


(そうか……! 今まではメイが前線に参加してたからその分撃たれる回数が減ってたけど、今はリッカーさんと俺の二人で最大五本を捌かなきゃいけないんだ……! チームのダメージは安定したけど、これ、俺が死んだら戦犯になるやつだ……!)


 以前までは攻撃五〇-防御五〇のバランスが取れた状態だったが、攻撃三〇-防御七〇くらいの体感だ。ウォーカーは使用キャラをガンマンから機動力のあるトリガーや逃げスキルのあるブギーマンに変更したことである程度は生存能力が確保できたのだが、逃げるだけでは戦況を変えることはできない。

 以前のようにチーム全体の攻撃を上げるため、差の二〇を埋めなくてはいけない。以前よりも積極的に攻撃に参加しなければいけなくなったのだ。


 完全にオーバーワークだ。少なくとも今のウォーカーの実力で、やり遂げようとする段階のものではない。


(ーーーーでも、やるんだ! そうすれば、メイの強みを生かせるはずだ……!)


 ウォーカーが思うメイの課題は、駆け引きの基準が確立されていないことだ。

 それは単純に試行回数によるものだ。戦闘回数とゲームの理解度によるものだと思っていい。

 

 しかし別タイトルとは言え、メイも元プロゲーマーだ。

 費やした時間と努力は、その腕に残っていた。

 彼女のエイムは本物だ。


「ヤバ私今日めっちゃ調子いいかも! 見て見てウォーカー! 一八キルできてる!」


 選択肢が限られたメイはエイムに集中することができるようになり、継続ダメージを出すという目的を果たせるようになっていた。

 ウォーカーのようにヘッドショットが多く出ているわけではないが、一発を確実に当てに行くという丁寧な射撃をしていた。

 言うなればウォーカーの射撃は致命傷(クリティカル)の多い射撃でキルを狙っていくのに対して、メイは射撃を命中(ヒット)させ続けることでキルにつながるチャンスを作っていた。


「や、やりますね……」

「ウォーカーもめっちゃガンバってたよォ。ソロキルもできてたし、隣でよく見てたよォ」

「ありがとうございます……」


 その結果、敵の体力が少ない状態で前線組と当たる回数が増えてウォーカーとリッカーのキルが発生しやすくなった。


 作戦を変更してから連続で五勝することができたものの、ウォーカーの脳みそは完全にオーバーヒートを迎え、どっと疲れが出てきた。

 他メンバーも疲れが出てきたのか、ネコプライドに関しては欠伸が多くなっていた。


「じゃあ今日はこのへんで終わりにしよう。ネコもそろそろ寝る時間だ」

「うん。ちょっと眠いかも~」

「というわけで解散です。みんなありがとうね」


 それぞれが返事を終えるとポロンポロンとチームチャットから出ていく。

 新入りのウォーカーは我先に出ていくのはなんだか居心地が悪いと思って、最後の方に出ていくことを決めていた。ネコプライド、メイ、リッカーの順でいなくなった瞬間に「じゃあ自分も」と抜けていった。

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