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エイリアンズゲーミング  作者: 春木千明
2 スクリム編

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24/73

第24話【地雷系元プロゲーマー5】

 翌日のことだ。

 また全員で集まって数戦ランクをやるところだった。


「今日も練習して行こうと思うけど。その前にちょっとすり合わせというか、ちょっと勉強会やります」


 そう言うとアカリは全体のグループチャットで画面共有機能を使う。

 そこに映っていたのはPCのホーム画面だ。

 ゲームと検索エンジン、ゴミ箱、ファイルのショートカットが画面左端に八個ほどが並んでいて、壁紙は初期画面の真っ青なもの。

 シンプルで質素な感じというか、特に何か趣のあるようなものが存在しないスッキリとした無機質さを感じた。


 ウォーカーは好きなゲームのポスターやガチャガチャなどを壁に堂々と飾る派だ。

 きっとこういう人種はそういったものを部屋の中に置いとく習慣もないのだろう。

 偏見だが、アカリらしい人格だと思った。


 映し出されたのは資料作成ソフトだった。

 なんと二〇ページ弱。

 画面の中に映し出されたわずかな情報から、すでに嫌な予感をウォーカーは感じていた。


「つっても基本的なゲームのシステムと作戦の振り返りだから、そこまで時間をとるつもりはないよ。ネコとメイはまだそんなにこのゲームやり込んでないし、ウォーカーくんは入ったばっかでまだちゃんと言葉で説明してなかったから改めてって感じだね」

 

 そう言いながらマウスホイールを回して、ページをめくった。


「まずこのゲームのキャラにはそれぞれ相性があります。じゃんけんみたいに相性の良い敵と悪い敵が存在しているのでそれに合わせてキャラや戦い方を変えると勝ちやすいです」


 まずは戦術とチーム構成の話だ。


「距離をとってチクチクと削っていくのが『POKE(ポーク)』。敵に飛び込んで陣形を壊しながらピックを狙うのが『DIVE(ダイブ)』。チーム全員で固まって殴り込みをするのが『RUSH(ラッシュ)』。基本的にはこの三種類に分けられるんだ。ラッシュは全員で近づいてキルして行く動きだから、初めから距離を取って戦うポークには相性が悪い。ポークは距離取って戦うキャラが主軸になっているからDPSとサポート達がチームメイトのタンクから距離が離れやすくなってる。だから前衛(フロント)後衛(バック)を分断してくるダイブには相性が悪い。ダイブはタンクかDPSが敵に突っ込んでピック取って帰ってくるっていうのがベースの戦い方だけど、ラッシュはみんなが固まって動くチームだからそんな中に突っ込んできても人数差で負けるから相性が悪いんだ」


 要するラッシュはポークに、ポークはダイブに、ダイブはラッシュに相性が悪い。

 チームでの戦い方によって三竦みのような関係になっているのだ。


「それで、今度の試合ではラッシュをメインにやっていく予定です。全員が一緒になって戦うやり方だね。ファイトのリズムはリッカーが中心になってるから、リッカーが死ぬまでは俺たちは死ねないし、リッカーが死ぬ前に全力ファイトをしなくちゃいけない」


「でも、それだと相手がポーク? の構成で来た時は負けちゃうってことじゃん」

 メイは純粋に疑問に思った。

 その説明で行くと自分たちの苦手な構成が存在し、そこに対しては不利を受けてしまう欠点の重要性を理解していたからだ。


 メイがプロをやっていたバーテックスでもキャラ特性が存在し、カウンターとなるキャラ同士の相性問題を抱えたことがあったからだ。

 特にメイがプロをやっていた時期は構成の主流が一種類しかなかったこともあった。

 それは、それ以外の構成は無意味だった。それ以外のキャラを使うことは勝率を下げてしまうことを指していたのだった。


「そう。だから本当なら全員が三キャラくらい使えるようになってくれた方が一番なんだけど、このゲームはキャラが多すぎてそれは難しいところがある。練習したキャラが全部相手に相性悪いケースもあるからね。まぁそれは他のチームも一緒だよ。だからまず大切なのは、チームがどうやって戦うのかってところだと思ってるよ」


 エンジンがかかって来たのか、だんだんとアカリの言葉に勢いが乗ってくる。

 最初は事務的に話していたかのようだったが、しゃべることが楽しくなっていたようだ。


「でも大丈夫。カウンターになるキャラとかは俺ら慣れてる組で対処する予定だから心配しないで。だから自分達のできることを全力でやってほしい」


 理論的に、整然と、自分たちの行うべきことを説明していく。

 それは勝つために何が必要なのか、そのためにどうするべきなのかを準備する。

 まるで指揮者のように自分たちの向かうべき道を指し示す。


「あ、ちなみにウォーカーくんには一〇キャラくらい覚えてもらう予定だからがんばってね」

「え!?」

「大丈夫できる。てかできるようになってくれ」

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