第23話【地雷系元プロゲーマー4】
その後も好きなゲームなどの話題について話していたが、次第にエイリアンズのメンバーのことなどを話していた。
今まであった試合のことや、それぞれと一緒に遊んだゲームのことなど。
その中で何度もアカリのことを嫌ってる話題が出てきている。
主に言葉がキツイ。結果主義的。付き合いが悪いなどなど。
たくさんケンカしたことも話していた。
様々なネガティブキャンペーンが繰り広げられていた。
よほど先の練習での扱いが効いたのだろうと思ったが、同時に疑問に思うことがあった。
「そんなにアカリさんのことが嫌いなら、メイはどうしてエイリアンズに?」
実のところ、エイリアンズはストリーマー達の集まりというだけでプロゲーミングチームではない。
クラン内の人達とよく遊んだり、たまに動画の企画を作って挑戦してみるのが広報の基本だ。
だからプロゲーマー達のように所属チームから給料が発生するような形態はとっていないはずだ。
元とはいえ、プロゲーマーのメインなら、チームが決まるまでは無所属として活動をするはずだろう。
そしてチームが決まれば大会の出場を目指す流れになるだろう。
ましてやつい半年前まではチームで大会に出場していたのだ。
それがなぜ、今はストリーマークランに入っているのか不思議だった。
「……騙されたのよ」
「え?」
「騙されたのっ!」
そう言うとスピーカーからプシュッと飲料缶を開ける音が聞こえる。
ぐびぐびと飲む音も乗っていた。
ぷはー、と一息つくとメイはまた語り出した。
「私ね。プロゲーマーやめようかなって思ってたの……なんならゲームもやめちゃおうかなって。ゲームが好きだから続けてて、バーテックスは上手くなってプロにもなれたしG一に入る事も出来た」
声をわずかに震わせながら、メイは話を続ける。
「……でもね。やっぱり本当に強い人はいっぱいいて、私なんかじゃ勝てないなって思っちゃったんだ」
所々で抑揚をあえてつけるような話し方をする。
本来ならば聞くべき要所を捉えやすくするため、相手の気を引くためなどのパフォーマンスとして行うものだが、彼女のそれは自分が話しやすくするためのものだった。
「もちろん目指すは世界一だよ? けど口でいくらそう言っても、頭のどこかではいつも『できない』って気持ちが残ってて……なんだかだんだん、どうしたらいいのかわかんなくなっちゃったの。みんなが上手いって褒めてくれてたゲームも面白くなくなっちゃったし、楽しくやってた配信もやる気が出なくちゃって……」
変に笑って、取り繕って、話し続ける。
「そんな時にね。知り合いの子からエイリアンズのことを教えてもらって、向こうにも私のことを話してたみたいで、アカリから連絡が来たの」
「アカリさんから?」
「そう……『全部やめちゃうなんてもったいない。ゲームは上手いし、配信は面白いしファンも多いし、顔もかわいい。普通の人が欲しいと思っても手に入らないものをたくさん持ってる。それを使わないなんて世界の損失ですよ』って言ったの」
「……。」
「まぁ? そこまで言ってくれるなら? プロはちょっと休むけど、配信とゲームは続けでみようかな〜って。エイリアンズに入ってくれるなら暇な時に切り抜き動画とかも作ってくれるって言うし? そこまで言ってくれるならやってあげてもいいかな〜って思ったのよ」
手に持ったストロング缶の中身を一気にぐびぐびと飲み干して、机に叩きつけた。
「普通さぁ! そんなに言ってくるなんて私の大ファンなんじゃないかって思うじゃん! ようやく私のイージーライフが始まるんだと思ったら切り抜きの素材が足りないから配信しろとか、社会からは逃げてもいいけどゲームをすることから逃げるなとかとにかくキビシイの! うわーん! なんでみんな私を甘やかしてくれないの! 下手したらプロやってた時より叱られる! 私こんなにかわいいのに! なんで世間はこうも生き辛いの!」
わんわんと子供のように泣き叫ぶ。
完全に酔いが回っていた。
本日、練習中も合わせてストロング缶四本目である。




