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エイリアンズゲーミング  作者: 春木千明
1 エイリアンズ入団編

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19/73

第19話【試験結果】

「ナイスGG! お疲れ様~」


 ゲームは攻守交代をしてチェックポイントの進捗具合を競う仕様だが、防衛側に着いたウォーカー達は第一チェックポイントで敵を完封して勝利を収めた。


 あっけない勝利だった。

 強ポジを一切譲ることは無く、フォーカスが合って各個撃破されていった。


 何より特筆すべきだったのはリッカーの防衛能力だ。

 HP管理はもちろんのこと、敵の後衛部隊(バックライン)を攪乱してキルチャンスを作り出す。

 アグレッシブに動いて敵を翻弄していくが、それでいて危険さを感じさせない安定感。


 その後も数戦やっていたが、勝率は七割をキープできた。

 元プロゲーマーの実力は伊達で無かった。


「いやぁ楽しかったねェ~」

「めっっっちゃ疲れたよ」

「相変わらずアカリはスナイパーに運がないねェ。ヘッドショットもらいすぎてティルトしてるのは面白かったよ」

「格付けしてやらんと試合が進まないと思ったからね」

「だとしてもキルするたびに屈伸死体撃ちはバッドマナーじゃないですかね」

「知らんっす。盤外戦術も立派な作戦です。これで意地になってキャラ変えてくれたらラッキーじゃないですか」


「考え方が畜生すぎる」と、ウォーカーは声には出さなかった。


 ゲームが終わるとアカリはウォーカーに対して敬語に戻っていた。

 ゲーム内では報告をコンパクトに行うために心がけているのだろうとウォーカーは勝手に捉えていた。

 普段は紳士的な態度の人を狂人に変えてしまう魔力がこのゲームにあることは太陽が東から登ってくるくらい常識だからだ。そんなことにいちいち口出ししたりはしない。


 ところで、とアカリはリッカーに声をかける。


「どうだったウォーカーくん。中々いい子だったでしょ?」


 それを本人の目の前で話しをするのはいかがなものかと思う。さすがのウォーカーも、大ファンであるリッカーの前で「ビミョーかもォ!」とか言われた日には心肺が停止してしまうかもしれない。


 自分自身の中では悪くなかったと思う。

 スコアも十分に出せていた。

 強いて言うならリッカーのタンクが強すぎて、ダメージを与える前にほとんど削られている状態でのバトンパスのような感じで、キャリーしたという感じでは無い。


 それでも十分に実力は発揮できていたと信じている。


「そうだねェ。エイムはすごいし、キルもちゃんと取れてるねェ。DPSとしてはいい感じじゃないかなァ? アカリが良いなら合格でしょ」

「じゃあOK! 合格おめでとうウォーカーくんエイリアンズにようこそ~!」

「あ、ありがとうございます」

(ノリ軽ッ)


 数日おいてから合格通知というわけではなく、その場で即採用されるのはコンビニバイトの面接の時を思いだす。

 これから飛び込む新しい世界の相手方が、もったいぶって期間を開けてくれる方が逆に安心感のあるあんな感じだ。

 ダメ出し食らった方がまだ居心地がいいとさえ思える。

 嬉しい反面、不安感が残る空気を感じていた。


「じゃあ後でエイリアンズのバズコードグループの招待送っとくから入っておいてくださいね。あ、もちろん関係ない人とかに広めないようにして下さいよ。そうなったら誰であろうと即クビですからね」

「はい。そこは承知してます」


 ピコンと軽快な電子音と共に、メッセージが二件ウォーカーのもとに届く。

 後でと言わず、すぐに承認した。


「あと、来週から練習スクリムが始まるからね。今週の土日とかって空いてます? 先にメンバーと顔合わせできればって思うんですけど」

 勉強以外やることのないウォーカーにとってはノータイムの質問だ。

「空いてます。大丈夫です!」

「オーケイ。じゃあよろしくお願いします」


 段々と計画を練られていくところでようやく実感してきた。

 これから、エイリアンズとしての活動が始まるのだと思うと緊張する。

 だがそれと同じくらいに期待をしている自分がいる。


 憧れの人達と横に並んで戦えるのだ。

 こんなにも嬉しいことは無い。


 その後もアカリは一通り、クランの事での注意点を話していた。

 とりあえず最初の内は困ったことがあれば、自分にメールをしてもらうようにと言っていた。

 しばらくはアカリが先輩役として付いてくれることはありがたかった。

 例えばリッカーと二人きりで話せと言われても、今のウォーカーにそこまでの精神力はない。

 仲介役もしてくれるのであれば、心強いと思った。

 

「と、まぁ……話すのはこのくらいですかね~。この後はどうっすっかなぁ~」

「どうするかな? って何かしようと思ってたことでもあるんですか?」


 ボソリと誰かの声が、ノイズキャンセルで弾かれたような音が聞こえたような気がしたが、ウォーカーはあまり気に留めなかった。


「そうだね~。スクリム練習した後とかは反省会とか改善点とかを話したりするんですけどね。さすがに今日は時間も時間だからやめとくべきかなぁ~って」

「反省会! 良いですねなんかプロっぽい!」

「……、」

「て言っても今日は三人パーティでしたから別にやらなくてもいいかなぁ~なんて」

「やるなら聞いてみたいです。反省会!」

「…………、」

「え~そう? じゃあ軽くやっとく?」

「…………オレは明日早いし、先に寝ようかなァ」

「そう? じゃあまた土日にね。おやすみ~」


 グループチャットから先に抜けたリッカーは画面の外でつぶやいていた。


「ウォーカーくん。がんばれ」


 直ちにPCを落として、何も見なかったことにするのだった。


「じゃあ、二戦目のところから見て行こうか」

「はい!」

「まず開始二〇秒のところね。リッカーがダイブして敵のヘイトを全部買ってる場面があったでしょう?」

「はい!」

「まずこの時点で位置が悪くて、左の通路使いながらとっとと階段上って上を取りに行ってほしくてじゃないとここだけで時間かかっちゃいますからね。あと、動きが結構弱気になって下がり気味になってる場面が多いからもっと強気で良いと思うよ」

「……はい」

「で、ここの上取るのに時間使いすぎてて敵にファーミングされちゃった。まあここは置いといて、護送車(くるま)運ぶのは基本的に後回しで良いから、まずは敵の位置を下げさせなくちゃいけない。ここで敵のタンクは下に降りてて、チーム構成的に上を取り返すのが難しいから上を取ったまんま撃ち続ければ超有利。もう固定砲台って気持ちで良いよ。ここにトランスフォーマーとかニンジャとかがいたら話は別だけどねそう言った場合は俺のこと呼んですぐカバーしに行くから。この橋下を越えさせるのが難所のマップだから敵が下がったらひどく追い込まなくてもいいよピックは時間かければできるから。それとここーーーーー」


 この後二時間ほど拘束された。

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