第15話【入団試験8】
書き溜めするのですこし更新が落ちます
敵のバジュラのウルト時間が切れるタイミングに合わせて発動させたウルト。
六発の強力な弾丸がリボルバーのシリンダーに装填される。
マウスは軽く、掴むというよりは摘まむように。
五本の指で支え、包み込むように。
掌を動かすように、目的の場所へと移動させる。
それはまるで射撃訓練の的を射抜くかのような落ち着いた撃ち方だった。
ただ、一般のそれよりも速く。
そして何より精密だった。
敵味方ともに陣形が崩れ、正面から雪崩れ込んでいるとはいえ、距離感もそれぞれの位置も規則性はない。
不揃いに並んだその『頭』達を、一発、二発、三発、と次々に銃弾が貫き、続々と敵をキルしていった。
敵側のガンマンは四発目の弾丸でヘッドショットをもらいデスをした。
思わず驚きの声をあげていた。
それはこの『ガンマン』というキャラを使う者同士として、その腕に驚かされたからだ。
字のごとく一瞬の出来事だ。
ガンマンのウルト時の発射レートは一秒間に三発。
その最大速度でヘッドショットをするという、理論値を叩き込むそのプレーは圧巻だった。
「おぉ!? ナイス! そのまま全部取り切っちゃえ!」
リスポーンはまだできないが、キルログから状況を見ていたアカリがその様子を見ていた。
「ウォーカー行くよォ! 前出るからついてきて」
リッカーはシールドが回復するのに合わせ、進軍を始める。
残りHPは半分まで削られていたが問題ない。
リッカーが戦うには充分な体力だ。
ウォーカーは残り二発の弾丸をカースドに向けて放とうとするが、回復したシールドで防がれる。
だがその攻撃とリッカーの射撃が合わさり、シールドは瞬く間に破壊されてしまう。
ガードをすることができなくなったカースドは、最後の足掻きにとスキルを全て振り絞る。
動きを遅くさせスリップダメージを与える『ミステリーサークル』を展開して距離を取ろうと図るが、ウォーカーのガンマンが継続的に射撃を繰り返してダメージを着実に与えていく。
『ミステリーサークル』を避けてリッカーも射撃攻撃を入れ、じりじりと詰めていく。
最後の足掻きに『シフトチェンジ』を発動させてウォーカーを殴り殺そうとかかるが、リッカーはそれを良しとしない。
自分ではなく、ウォーカーを守るようにシールドを展開させ、自身の体を盾にするようにしながらカースドとの接触を阻む。
数秒間の殴り合いの末、ウォーカーとリッカーが護送車を率いて、第二チェックポイントを制圧完了した。
「上手いねェ! 今のウルト。全部ヘッドショットだったの?」
「なんか上手くいきました」
「マジでナイス。本当に今ので完全に逆転して取り返してたよ。相手のガンマンもビックリしたろうなウルト返されて」
「メンタルブレイクしてるかもねェ」
「理解らせちゃった、ってコト?」
「格の違いだねェ」
「冗談言ってないで早く戻ってきてください」
ロンドン第三チェックポイントの舞台は工場だ。
工場内は曲がり角を一度挟んでから最終地点は一直線ストレート。
可能であれば壁を挟んで勝負できるため、最初の曲がり角で足止めをすることができると防衛側にとってプラスになる。
また高台が三ヶ所あり、進行してくる敵を迎え撃ちしやすいため、攻撃側の突破力が試される。
前二つのチェックポイントと比べると、行動可能なエリアが狭まっており、要所を取られると瓦解するまでが早い傾向にある。
アカリは敵のリソースを数えていた。
「バジュラとガンマンがウルト使った。カースドとコマンダーが使ってから少し経つからそろそろ溜まるかな。敵の『ホークアイ』は何やってんだ? さっきの当たり合いでウルト使ってたらウェーブとれたかもしれないのに何で出し渋ったんだ?」
「さァ。次頑張ろうと思ったんじゃないかなァ」
「だとしたらもったいなさすぎるだろ。味方が二個ウルトはいてるんだから完全に取りきれた方がいいでしょ。時間稼ぐ方が良いんじゃない? こっちもタンクとDPSとサポがウルト使ってるんだし、残り二つは時間かけていなせばいいでしょ」
「……アカリさんって敵に対してもキツイんですね」
「アカリはいつもこんな感じだよォ」
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