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エイリアンズゲーミング  作者: 春木千明
1 エイリアンズ入団編

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13/73

第13話【入団試験6】

 護送車は第二チェックポイントの半ばまでやってきていた。


「ウルト向こうは何残ってるかな」

 アカリは状況の確認をしようとする。


「タンクはウルト使ってたよォ」

「あとコマンダーも使ってましたね」

「オーケイ。こっちはフロッガーウルト一枚で返せたからかなりデカいな」


 ウォーカーはTabキーを押して全体のスコアを確認する。

 ウルトは時間の経過かダメージ、ヒールによって蓄積されていくため、スコアボードからある程度予想をすることができるのだ。


(俺のウルトはたまってるし、敵のガンマンも俺と同じくらいのダメージを出してるから多分ウルトたまってるだろ)


 ついでに確認すると、味方のもう一方のヒールはおそらくもうひと踏ん張りという所だろう。

 敵のサポートもウルトを撃った後のアカリと同じくらいのヒール量があったため、そろそろ頃合いだと踏んでいた。


「ウォーカーくんウルトは?」

「行けます」


「わかったー」と返事をするアカリ。そのまま何か話そうとしていた様子だったが、


「次来るよー。準備してェ~」

 リスポーン地点狩りをしようとしていたリッカーが下がってきて、第二幕が始まった。


 五人そろってのフォーカスを食らえば、いくらエリア有利が取れているとはいえ退かざるを得なかった。

 リッカーのHPが回復するころには敵もまた展開を終えて、高台とS字に曲がる道路の端と端で両チームは射撃を開始した。


「あと五秒くらいでバリアできるからそれに合わせていこう」

「リッカー次どうする? 回り道して高台側から落とすか直進か」

「前にサポートが固まってるみたいだし、ウルトがあるからそれに合わせて前を押したいかなァ」

「オーケイ。一応敵のサポートもウルトあるから、深追いしないくらいがいいかもね」


 ウルトは均衡を崩すキッカケ作りをしてくれるが、それは両者同じことだ。

 現にウルトを二つ消費した敵の攻撃に、こちらはウルト一つでカウンターが成功したのだ。

 慢心した行動をすると窘められる。それがこのゲームの特徴だ。


「じゃあ行くよォ」

【すべて薙ぎ払う】

 合図に合わせて、リッカーの使用キャラ『アームズ』のウルトが発動する。

 背中に背負っていた重火器を取り出すとアームズは両の手で深く握り込み構えた。


 銃口から青白い光をスパークさせながら、身の丈の三倍近いバーナーが柱のように噴出する。

 高出力のプラズマ砲だ。


 断続的に空気が炸裂する音が鳴り響かせて、リッカーは敵陣へ詰めていった。

 敵と自分の間にバリアを張って、被弾をなるべく抑えながら直進するタンクの動きに合わせて、再度アカリは『エンジェルビート』を移動速度強化に変えてチームを誘導する。


 触れればじりじりとHPを削っていくそれは、接触後もスリップダメージが加算されていくため、短時間の被弾も許されない。


 リッカーのプラズマ砲から逃れるように、敵は左右に移動をして、なるべく被弾を抑えようと動くが、速度のバフが乗っているリッカーの手から免れることは難しい。

 だから、敵も同じくウルトを返す。


【全ては輪廻の中に還る】


 敵サポート『バジュラ』のウルト『イノセンス』が発動する。

 修行僧のような風体の男が手印を結ぶと、金色の光が周囲を照らし出す。

 一定時間、範囲内の味方のHPを急速回復させ、瀕死の味方もHPが一〇を下回らない無敵効果を付与する絶対領域が展開された。

 リッカーのウルトに対する完璧な返しだ。


 両者のウルトの展開時間は一〇秒もなく終了する。

 それぞれ一人をピック出来れば十分な価値を持っていたが、いなし合いが上手くかみ合いあと一歩が取れない。 だが、それで終わる両チームではなかった。

「あ、これ敵ガンマンウルト来るかも」

 アカリの予想は少し遅れて的中することになる。


【俺の鉛弾にキスをしな】


 『ガンマン』のウルト『シックスセンス』は六秒の間、自身の銃弾の威力を三倍にする。

 基礎火力七〇の三倍で二一〇、ヘッドショットで二八〇。

 ほとんどのDPSとサポートの㏋は二五〇であり、胴撃ちで二発、ヘッドショットなら一発で落とすことができる。

 圧倒的な火力を誇るウルトだ。


 敵ガンマンもそれなりにこのゲームをやっているプレイヤーだった。

 ウルトの重要性も理解をしており、チームメンバーの考えと、相手チームの手札を数えていた。


 ウルトは先吐きが得であるのはこのゲームの常識だった。

 サポートはそれに対してカウンターを撃つようにウルトを使う。

 それを理解していた。


 敵のタンクかDPSがウルトを使えば、自分たちのサポートが後出しをする。

 それに合わせてこちらもウルトを発動させようと考えた。


 絶対的な火力の一撃であろうと、フォーカスをされたら一瞬で消えてしまう。

 それは先のコマンダーが実践してみせたように、このゲームは一人で動かせない。


 サポートが無敵時間を作るこの瞬間で、全ての敵を駆逐しようと待っていた。

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