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エイリアンズゲーミング  作者: 春木千明
1 エイリアンズ入団編

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第12話【入団試験5】

 フロッガーは振り上げた拡声器形の銃を地面に叩きつけると、そこから波形のエフェクトが伝播する。


 フロッガーのウルト『ラジカルハート』が発動した。

 フロッガーのウルトの効果は一定時間味方への追加HP付与。

 その量は七五〇。DPSキャラの大半である基礎HP二五〇に加算されると一〇〇〇になる。

 ウォーカーの使う『ガンマン』の基礎火力で例えるなら、通常攻撃七〇であるため、削り切るには単純計算で一五発を叩き込まなくてはいけない。


 およそ六秒間という短い時間だが、ヒールに回す時間を必要とせず、全員が勝負に出れる逆転のウルトだ。

 だが時間経過と共に付与したHPは減少して行くため、応急処置的な面が大きい。


 相手のカースドが発生した『ドメイン』の効果はスリップダメージとHPの吸収だが、ここまで増えた体力をこそぎ取ることはできない。

 先にウルトの効果時間が切れたのは敵タンクの方だった。

 『ドメイン』のフィールドが消滅すると、リッカーは攻撃をコマンダーに向けた。


「ブーストブースト! コマンダーやろうコマンダー!」


 それは作戦というにはあまりに不細工で、不格好にも見える動きだ。

 全員が一人の敵に目掛けて突撃をしていく様はまるで雪崩のようだった。

 必死にコマンダーは応戦するが、自動照準であろうとも、マガジン内にある弾で殺しきれないHPの奴らが数字の暴力にものをいわせて襲いかかってくる。


 コマンダーのウルト時間はもう五秒くらいはあったはずだが、一瞬にして屠られ使い損になってしまった。


「ガンマンガンマンガンマン!」

 アカリも次なる獲物を指定して走り出す。


「ちょっ、アカリさん早い! サポが一人でケンカ売りに行かないで!」

支援役(サポ)より後ろにいるんじゃねえ。火力役(DPS)が攻撃を休むな」

「キビシイ!」


 壁をスルスルと走っていき、撤退しようとしていた敵のサポート陣営に攻撃を仕掛ける。

 壁に張り付きながらの攻撃は敵の集中力を奪い、エイムを乱して完璧なベイトを果たしている。

 その間にウォーカーは射撃を続け、一人サポートを落とすことができた。


 だが敵も敵でやられるがままでなく、乗り気になって顔を出してきた味方のDPSに連続で殴りを入れてキルを発生させる。


 ただでは死なない。と、味方サポートに手を出そうとしていた所にリッカーとアカリが横やりを入れる。


 アカリはまず、敵サポートとタンクの分断をするために敵にノックバックを与える衝撃波攻撃『バーンアウト』を使って距離を取らせる。

 ちょうど丁字路に叩き込むようにして、ロンドンの町がチームを分断した。


 あとはただの殴り合いだ。

 一人取り残された敵タンクはリッカーとの一対一が始まる。

 だが違う点はこちらにはヒールを回してくれるサポートが残っていることだ。

 必死にあがくが、徐々にHPの格差は開いていき、虚しく散っていった。


 追加で敵のサポートも撃滅するべきかと思ったが、ここは欲張らず、一度護送車を押す方が良いだろうと、ウォーカーは思った。

 アカリもその考えのようで、護送車付近まで寄ってきたのだが、


「いえーい! 待て待てェ~!」

 暴走列車と化したリッカーは敵のスポーン地点まで殴り込みにいっていた。

 それにつられるように味方の残り二人も殴り込みに行くのだった。


「だははは! やば! あれ死ぬかもな」

 アカリはケラケラと笑って、ウォーカーと護送車を運ぶのだった。


「……なんつーか、ヤバいッスねリッカーさん。レベルが違うていうか、さっきのカースドがウルト使ってる時なんで生きてたのかさっぱりなんですけど」

「そりゃあそう。リッカーは超強いから」


この作品の他、前日譚として作った文庫本1冊分の作品『サラシナデイズ』も公開中です。

お時間があれば、作者ページから是非ご覧ください。

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