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エイリアンズゲーミング  作者: 春木千明
1 エイリアンズ入団編
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第1話【チャットバトル】

評価、ブックマークなど頂けると励みになります。

この作品の他、前日譚として作った文庫本1冊分の作品『サラシナデイズ』も公開中です。

お時間があれば、作者ページから是非ご覧ください。

 木原進きはらすすむは勉強が得意だった。

 高校に入学してからというものの、受けるテストで総合一位を取るのは当たり前。

 十分すぎるほどの自信と実績を持つ彼は、勉強が特技と言って差支えなかった。


 だが、運動面については壊滅的だった。

「おーい木原~! キャッチボールしようぜ!」

「バッチコーイごふぅっ!!」

「顔面でキャッチするなよ危ないだろう」


 野球の時間になればキャッチボールはままならず。


「先生! 木原君が溺れてます!」

「違うんだ高橋。あれは背泳ぎをしているらしい」

「水面に対して体ほぼ垂直ですけど!?」


 水泳の時間になれば上手く泳げず溺れていると勘違いされる。


「じゃあグラウンド二週してこい」

「先生! なんか脇腹の上の方が痛くなってきたんですけど!」

「運動不足のひとがなるやつだ。知らん」


 ウォーミングアップでさえもまともにできない。

 本当に壊滅的であり、どうしようもないと感じていた。


 特に学生においての運動のできるできないは目に見えて影響が強い。

 クラスの中で人気になっているのは決まって、運動部に所属している奴か顔が見えないくらいのマッシュヘアだった。


 勉強は目に見えない努力の結果、運動は目でわかる努力の結果。

 認めたくない気持ちがありながらも、進も自分の得意分野が他者から評価が得にくいものだということは理解していた。


 だが進はそんな事を気にも留めない。

 人との関係は煩わしいと思うからだ。


 つながりがあるという事は、しがらみを生む。

 誰かの顔色を伺いながら、自分が何をしなきゃいけないのかを考えることが鬱陶しい。


 その点、勉強は孤独な努力の結果だ。

 点数というスコアで人が努力を評価してくれる。

 ドライだが正当で、不倒で、絶対のものだった。


 そしてもう一つ、進の心をつかんで離さないものがあった。

 それがゲームだった。


「やっぱFPSは最高なんだけど! 結果がすぐわかって、対戦スコアで振り返れるとか本当によくできてるよな~」


 ゲームの世界はいつも簡単だ。

 勝つか負けるかのニ択しかない。


 ボタンを押せば思うように前に進むし、左右にステップを刻んでくれる。

 現実で自分がやったらどうだ? なぜか何もないところでいつもつまずく。


 ゲームの中なら思うように動ける。

 なんで負けたかを反省するのは、テストを振り返るのと同じ要領だ。


 進にとってはそんなドライな作りの物が心地よかった。


 最近は『ベータ・リンクス』というゲームにはまっていた。

 長い時は休日に八時間以上やり込んでいることもある。

 そんなある日の土曜日の一戦のことだった。


Tank:im trolling gg《利敵しまーすおつ》


 試合が始まって間もなく自分達のチームからとんでもないチャットが飛んできた。

 ゲームにはチャット機能というものがあり、これを活用することでチームと協力して戦うことができるのだが。


「はぁ? なんで!」


 急いでスコア画面を見てみるが、理由がわからなかった。

 味方は続けてチャットをする。


Tank:no heal heal gap 《回復こねえ。ヒール格差あるわ》

Tank:suck 《ヘタクソ》


 確かにタンクのキルデス比は一を割っており、死にすぎている印象はあったが、


「いやいや何言ってるんだよ。だってお前、一人で全員からフォーカス食らって死んでるだけじゃん! 暴言吐くなよ楽しくやろうよ!」


 タンク自身の自業自得だと、進は思っていた。


「あーもう、ちょっと民度悪いゲームだって言われてるのにこれじゃあまた悪い噂たっちゃうじゃん! サポートとかみんなやりたくないロールなのに、引き受けてるんだから、これじゃあサポートさんかわいそうだよ!」


 擁護しようとチャットを打ち込もうとすると、先にチャットが打ちこまれていた。


Sup2:lol u noodlehead《お前マヌケすぎ笑》


「サポートがケンカ買っちゃった!」


Sup2:get more kill noob 《もっとキル稼げシロウト》

Tank:look your DMG 《自分のダメージ量見てみろよ》

Sup2:im sup lololololol 《俺サポートなんですけど笑笑笑笑》

Sup2:KD 2-6 《キル2デス6》

Sup2:omg its yours 《いっけね、これ君のスコアだった》


「しかもめちゃくちゃ口が悪い!」


 その後はチャットバトルが始まり、五人一組で行うはずのゲームの中で二人が試合に参加しない。

 常に五対三の数的不利を抱え続けた結果、まともに試合をすることができるはずなく見事敗北。

 無意味な時間を消費したのだった。


「……一戦目からこれは気分が悪すぎる」


 FPSゲームが浸透してからもう何年も経つが、競争をするゲームである以上熱くなってしまう輩が一定数いるのも事実だった。

 それでも気を取り直してと自分に言い聞かせ、二戦目のゲームがスタートした。


「マジかよ」


 なんと、さっきの試合で一緒になった暴言サポートが一緒のチームにいた。

 そして敵方のタンクには、さっきの試合で利敵宣言をしたタンクがいたのだった。


Tank:suck healer 《ヘタクソヒーラー》

Sup2:cmon trash 《来いよゴミ野郎》


 全体チャットで再度ファイトが開催される。

 今度は敵同士となって試合がスタートした。

アニセカ大賞落ちちゃったんで、ブックマークと評価でよしよししてくださいTT

いつか見返してやりますんで

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