きっかけ
そんな私は今日も授業を聞き終え、終礼を終わらせ、寄り道をする気力もなく家まで一直線に向かい、部屋に入り鍵を閉め、いつも通り絶対領域を創り出し宿題を済ませ、ヲタ活に時間を溶かそうと自分のPCでまず何をしようか考えた時、
ピンポーン
と鳴り、私は少し驚いた
何も頼んでないはずと思いながらその玄関の扉の覗き穴まで足音をあまり立てないように抜き足差し足で向かい、その奥を覗き見ると、そこには私の通っている学校の制服を着たすこし筋肉が目立っている身長は高めであろう男がいた
そのとき私は驚いたが、それと同時に戸惑った
私は知っての通り学校、家でも普段から誰とも話していないため、もはや声の出し方すら忘れかけていた
勿論これはあくまで例えとして言ってるだけだから声自体はだせる、だせるのだが、問題はそこではない
対話ができないのだ
というよりも人と面を向かって高校生以来話したことはほとんどない
しかしそんなことを考える暇を時は待ってくれず、もう一度と言わんばかりにピンポーン、と鳴った
私はもうパニックになり、もうどうにでもなれと思いながらその玄関ドアをすこし勢い付けて開けた
するとその男はその勢いに驚いた表情を見せながらも
「これ、忘れ物だよね」
と言い、私が常備しているハンカチを見せた
正直言うと、驚き、とても嬉しかった
学校では影が薄いほうのはずだし、それに加えて私は普段から誰にも話したことがないため、無愛想な人だと思われていた
そんな印象を植えづけられている私に忘れ物とハンカチを渡してくれた
この人は多分どんな人にも仲良くできるタイプの本物の陽キャだ、などと思いながらそのハンカチを受け取り、
感謝の仕方がわからず、ただドアを少しずつ閉めながら軽く頭をペコペコと下げた
そのドアを閉め切ったあと、私は後悔をしていた
しっかり感謝の気持ちを示したかった、伝えたかった
正直あの純粋な気持ちに尊敬すらしていた気がする
他にも世間話とかもしたかった
だけど、こんな私だからそんなことなどできるはずもなかった
そして今までに感じたことのない感情を感じた
誰かを恨んでいる
他の誰でもない、自分にだ
自分の無力さに憐れんですらいた
そのあとトボトボと部屋に戻り、これをきっかけに目標も立てた
目標は
陽キャになる
スライドお疲れ様っす