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第九十四話 名古屋観光

 国道一号線は、豊橋で天地海山教のバリアの中に入る。そのため東名高速を使って、名古屋を目指す事にした。

 だが、その前に、やらねばならない事がある。


「とうさん、お金は大丈夫?」


「ふっふっふ、心配ご無用。ミサから五万円ほどもらった」


「えーーっ、女の人から力ずくで奪ったの」


「こ、こらこら、人聞きの悪い事を言うもんじゃありません。クーラ用のミスリルロッドと照明用のミスリルロッド、冷蔵庫にウォーターサーバーを売った代金だ」


「ミサさんも来たそうでしたよ」


「うむ、だが、やはり知らない土地だからな危険すぎる」


「私は大丈夫って事ですか?」


「ふふふ、あずさは、魔王城のメイドだからな。もう、強いのは分かっている」


「あっ、ウナギって書いてあります」


 浜松城の近くの道で、すぐに看板を見つける事が出来た。


「よし、そこにしよう」


 店では、炭でウナギを焼いていた。

 だが、おかしい。白焼きなのだ。


「あの、蒲焼きは無いのですか」


「すまないねえ。もうタレが品切れなのさ」


 そうか、たれに使う材料が手に入らないのか。

 これは、うまいうな重を食べようと思ったら、醤油など調味料から何とかしないといけないようだ。


「はいよ。おまたせ」


「あっ、ありがとうございます」


 俺とあずさは、パラパラと塩をふって、ウナギの白焼きを食べた。


「……」


 たしかにうまいのだが、あずさの異世界うな重の、ウナギの方が、身が厚くて濃厚でうまい気がする。


「と、とうさん、私のうな重のウナギの方が美味しいよね」


 あずさが小声で聞いてくる。


「うむ、あずさのウナギの方がうまい気がする」


 油でギトギトが好みでなければこっちの方がうまいのだろうが、俺とあずさはギトギトのウナギが好物なので、あずさの異世界うな重のウナギの方が勝ちだと思った。


「おかわりーー!!」


 あずさはお替わりをこの後三回した。


「おいおい」


 なんだかんだ言って、気に入ったんじゃねえかよー。


「しょうが無いわよね。美味しいのですから」


 まあ、一匹四百円と安いのでお金が足りなくなる事はなかった。

 物価が安い。俺は物価など安い方がいいと改めて思った。

 ウナギだけでおなかを満腹にしたあずさと、浜名湖で激豚君を回収し、高速道路の上を飛んだ。


 車の走っていない高速道路は、それだけで不気味な雰囲気がある。

 時速六百キロ程で飛ばしていたら、木曽川が見えてきた。

 どうやら名古屋を通りすぎてしまったようだ。

 名古屋の高速道路はややこしすぎる。


「どこで通りすぎたのかなあ」


「もっと、ゆっくり飛ばないとまた、変なところへ行ってしまいます」


 高速道路だろうと今はユーターンが出来る。

 Uターンをして線路と交差したところで、線路に降りた。

 線路を移動したらすぐに名古屋駅にでた。

 名駅に名物のでかい人形があったので、その前に激豚君を置いて、後は自力で移動する事にした。


「とーさん、ついでです。あそこに行きましょう」


「大須観音でありますか」


「そうです。あのコスプレパレードの大須観音です」


 毎年八月の最初の日曜日に行われるイベントだ。

 年々パレード参加者が少なくなっているあのパレードだ。

 なんとか昔のように、沢山の参加者が集まるように願っている。

 本当ならもうじき開催されるはずなのに、今年は無理だろう。


 俺とあずさは、誰もいない大須観音の境内を少し散歩した。

 その後少し、名古屋を空から見て、様子を目に焼き付けた。

 そして、今回の最終目的地、名古屋城に向う事にした。

 大須からは、北に移動するだけだ。


「立派なお城です」


「うむ、誰も住んでいなければ、今日から俺とあずさの家になる」


「えっ」


「さっき、上空から見たが、名古屋は丁度良い大きさの街だ。東京は都市が巨大すぎる。その点名古屋は、東京に比べれば都心部が小さい。まわりに農地も多い。最初に都市として回復させるなら、東京や大阪では無く名古屋だと思う」


「じゃあ、ここから始めるのですね」


「そう、ここから始まる日本復興だ」


「おいおいおい! お前ら、よそもんかーー。命は助けてやる。食い物を全部置いてさっさと消えなー」


 俺と、あずさが仲良く会話をしていると邪魔が入った。

 ガラの悪い連中が四人で俺達のまわりを囲んだ。

 少し前なら、おびえていただろう。だが今は、こいつらより迫力のある怖い方々ばかりを見ている。そこから比べれば全然たいしたことが無い。悪いけど全然怖くない。


「全部と言われても、何も持っていません」


「なにーーっ! そんなにふくれているんだ! 服の下に何か持っているだろう。だしゃーがれ!!」


「お疑いなら、調べてみて下さい」


 俺は両手を挙げて身体検査を受ける意を示した。


「ふんっ、おい、やれ」


 リーダーが、あごをクイッと動かした。


「へ、へい」


「あーーひゃひゃひゃひゃ」


 くそう、なんだこいつ、手つきがいやらしい。

 そして、くすぐったい。


「こ、こいつ、何も持っていません。ただのデブです」


 な、なにーっ、やかましいわ!


「こ、こっちは、なんか金属のように固い体で気味が悪い」


 クザンを調べた奴が驚いている。

 そりゃあそうだ。全身金属だからな。

 あずさをもう一人の男がいやらしい手つきで触ろうとした。


「嬢ちゃんが持っているようには見えない。検査は不要だ」


 リーダーが止めた。

 こいつ、ひょっとしていい奴なのか。


「くそー、腹減ったー。また、空振りかよー」


 一番若そうな奴がぼやいた。


「あんたら、手ぶらでどこへ行くつもりだ。このあたりには食べる物は何も無いぞ」


 リーダーはいい奴なのか、俺達の心配をしている。


「俺達は、お城に行こうと思っています」


「や、やめろ! それだけはやめた方がいい。城には俺達より数倍恐ろしい古屋一家がいる」


「そうですか。でも、ゼロって何倍してもゼロですよね」


「はーーっ! おまえ何を言っているんだ。ちょっと何を言っているのかわからねえぞ」


 四人が頭をかしげている。

 いい奴のようだが頭は少し足りないようである。

 さて、どうしたもんか?

最後までお読み頂きありがとうございます。


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[一言] 白焼きにも満足したみたいなあずさちゃん! まあどちらも美味い(*´∀`)♪
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