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第九十三話 再就職

 あずさの瞳がキラリと輝き隠しきれないうれしさに、顔がほころんでいる。

 はぁーっ、やれやれだぜ。

 ここは、あずさのやりたいように任せますか。


「ある時は、駿河の商人大田大。またある時は、公開処刑の見物人。まーたある時は、正義のヒーローアンナメーダーマン。しかしてその実体は、木田家当主、木田とうその人です」


「なーーっ! ボケねえのかよーー!!」


「ふっふっふっ、私はいつも真面目です。ぼけた事などありません」


 あずさの奴、本気なのか。

 いつもボケまくっている気がするのだが、まあいいか。


「き、木田の当主……」


 重臣達の頭がまだ追いついていないようだ。


「きっ、木田の大殿様。はっははーーっ」


 重臣達が平伏した。

 木田の殿様は、有名なようだ。


「この事は、ここだけの秘密にしてくれ。あずさ! ここに今川を連れてきてくれ」


「はい」


 あずさは姿を消すとすぐに、今川と別に二人の男を連れてきた。


「あの、大田さん、ここは?」


 今川が、キョロキョロあたりを見回している。


「あー、ここは、浜松の天地海山教の教祖様の私邸だ。この人達は遠江、松平家の重臣の方々だ。俺の事は全て話してある」


「そうですか。で、大殿、私を呼んだ理由を教えて下さい」


 松平の重臣がザワザワしている。

 今川を見るのが初めてのようだ。


「今より、三河と遠江も面倒を見て欲しい」


「はああーーっ、面倒を見て欲しいって、まだこっちは焼津の調査も終っていませんよ」


「うむ、たまたまそういう流れとなった。よろしく頼む。新貨幣の流通と農業を中心に進めて欲しい」


「たまたまって大殿には、かないませんなー。全力で努めさせていただきます」


「うむ、頼む」


「はっ」


「で、そちらの方は」


 俺は、今川と一緒に来た、招かざる男二人に視線を移した。


「お久しぶりです。寺倉です。そしてこちらが侍従職の方です」


 そうか、それで、坂本さんの様子が変なのか。

 寺倉さんとは、現在江戸城を守る自衛隊のトップの人だ。


「で、何の用でしょうか」


「はい。坂本さんが警察をクビになったという事で、探していたところ大田商店であずさちゃんに会い、こちらにいると聞きまして、無理を言って同行させてもらいました」


「なるほど」


「坂本さん、是非、自衛隊に就職してもらえませんか」


「いえ、侍従職についてもらいたい」


 どうやら、坂本さんの争奪戦のようだ。

 俺と違って優秀な人は、仕事の方からやってくるようだ。

 うらやましいー!


「ありがとうございます。ですが、私はすでに、大田大さんの嫁になりました。他所へ行く気はありません」


 はーーっ、また、この人はややこしくなる言い方をする。

 坂本さんはよほど、大田大の嫁が気にいっているようだ。


「聞けば、相当理不尽ないわれ方をされたと聞きます。怒る気持ちは理解出来ますが、あなた無しでは、皇居が成り立ちません。どうか、お戻り頂けませんか。なんなら、警察を全員クビにして、坂本さんだけ警察官として戻って頂いても構いません。当然、大田大さんの嫁のままでも構いません」


「なっ……」


 坂本さんは驚いた顔をして目を見開き、その目にみるみる涙がたまった。


「坂本さん、どうやら坂本さんを理解してくれている人が、一杯いるみたいですね」


「は、はい。う、うううう。木田さん、私、私」


 とうとう、泣きだした。

 どうやら、坂本さんは江戸城へ戻ってくれるようだ。

 やれやれだぜ。


「どうぞ、あとの事は心配せずにもどってあげて下さい」


「は、はい」


 やれやれ、二度と嫁の代行など頼まないようにしよう。


「よかった。ですね」


 あずさが背中をさすりながら言った。

 はー、よかった。よかった。俺も胸をなで下ろした。


「ありがとうございます。では、大田大さんの嫁のまま、皇居へ戻ります」


「えっ」


 俺と、あずさとミサが驚いた。

 どうやら、坂本さんは大田大の嫁の座を降りる気は無いようだ。


「そういう手がありますのね」


 ミサが言うと、あずさがうなずいている。

 な、何だよそういう手ってのはよーー。


「ところで伊藤、あんたはここでやり過ぎている。国外追放だ。国外に出たら信濃を平定する部隊がある。そこに合流してもらいたい」


 俺は、伊藤に視線を移し話しかけた。


「はっ」


 伊藤は神妙な顔をして返事をした。

 伊藤の忠誠心は本物と思うのだが、少し気になる事がある。


「なあ、伊藤。大丈夫だとは思うがその後女性に対しては、どう思うのか教えてくれ無いか」


「はっ。実のところ、おかしな事に三次元の女性には興味が持てなくなりました。それどころか、何故か臭い、汚いなどという思いがあります」


「なんですってーーーー!!!」


 坂本さんとあずさとミサが恐ろしい表情で、俺の顔をにらみ付けて来る。

 いやいや、言ったのは俺じゃ無いですよ。

 そこにいる、伊藤ですからー。


「まあ、これなら大丈夫だろう。あずさ、今度は伊藤を柳川の所へ移動させてくれないか」


「はい、わかりました」


 あずさとサイコ伊藤とその部下の姿が消えた。


「ところで、大殿はこの後どうなさるおつもりですか」


「俺か? 俺は浜松を堪能したら、名古屋を目指そうと思う」


「そうですか」


 俺はあずさとクザンの三人で名古屋を目指す事にした。

 今回は、嫁役は無しだ。

 あずさが戻るのを待ち、俺達は名古屋を目指した。

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[一言] さぁ 次は名古屋!! 楽しみです!
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