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第四百十七話 証人

「クザン顔を出してやってくれ」


 俺は、静かに小さな声で言った。

 これで黒いアンナメーダーマンの素顔が丸出しになる。


「きさまーー!! 八兵衛、はかったな!! ……な……か…………思っていたのに!! くそーーっ!!」


 残虐大臣が言った。その顔に怒りがこもっている。

 そう、残虐大臣を連れ回していたのは、最初からこのためだったのだ。

 だが想定外の事が起きていた。わかっているとも。

 残虐大臣は、連れ回しているうちに変わっていた。

 さっきも、子供達にアイスクリームを笑顔で配っていた。

 兵士達に玉子丼を笑顔で配っていた。見ていたさ。


「きっ、貴様は昇宮!!!! 裏切り者めーー!! 生きていたのか!?」


 首相は驚いている。

 だが、すぐに何かを考えついたのだろう。

 落ち着きを取り戻した。


「そうだ。北海道国の昇宮海軍大臣だ!! あんた達は昇宮海軍大臣とその部下の兵士に、函館の街を襲うように命じた。そう、民間人から物資を奪い、それだけでは無く命までも奪うように命じたんだ」


「くっ、くっ、くっ。そんなことは知らん。身に覚えが無い」


 悪い笑顔だ。その顔は総理大臣じゃなくて、まるで悪党の親玉だぜ。


「…………」


 昇宮海軍大臣は、沈黙している。

 その表情は怒りから、悲しさを我慢しているような顔に変わっていた。


「それに、その男は既に、北海道国とは関係がない。北海道国を裏切った罪人だ。ふっふっふっ」


「なっ!? なにーーっ!! 俺達は裏切ってなどいねーー!! 命令通り函館で敵の体力を削っていた!! それなのに勝手に裏切り者にしたてあげ、部下やその家族まで処刑しやあがってーー!!!!」


 昇宮海軍大臣は、両手を握りしめその手が小刻みに震えている。


「ならば、なぜ、連絡をよこさなかった?」


「出来るかーー!! 道路は押さえられ、送った連絡の兵士は戻ってこねえ。兵士は、毎日すこしずつ減っていたのに、増員もねえ。出せるわけがねえだろう」


「ひゃああーーーっ、はっはっはっ……はーおもしれー!! そんなことは知っていたさ。軍艦もねえのに海軍大臣も海軍もいらねえだろ。だから、殺したんだ!! あっても無駄なだけだろ、節約だ、わかれよ!! くっくっく……」


 なるほどなあ必要無かったから、裏切り者のレッテルを貼って殺したのか。

 昇宮海軍大臣には同情するぜ。


「あーーはっはっは!!!! ふぁーはっはっはーーーー!!!!」


 大きな声で昇宮海軍大臣が笑った。

 だが、その笑い声はまるで泣き声に聞こえた。

 泣き声を笑い声で誤魔化しているように見える。


「八兵衛とやら、十田家だったか? たかが商人の使用人ごときが、しゃしゃり出てきて何様のつもりだ! 立場をわきまえよ!! 馬鹿が!!」


「ふー、参りました。やれやれです。ここまで腐っているとは……」


「ふん! 俺は、一国の元首だ。話を対等にすると言うのなら、帯広のゲン一家のゲンか、その上の木田家の当主でも連れて来いって言っているんだよ!」


「なるほど、そうですか。そうきましたか、ならばいいでしょう……」


 俺は、自分の事をばらす決心をした。


「お。お待ち下さい!!」


 スケさんとカクさんが俺の前に出て来た。


「えっ!?」


「ふふふ、こういう事は、おごそかにいかないといけません」


 スケさんと、カクさんが視線を合わせるとコクンと頷いた。


「静まれーー!! 静まれーー!! 一同の者!! ここにおわすお方をどなたと心得る!!」


 スケさんが言った。

 すでに、言うまでも無くだいたい静まっていましたよ。


「こちらにおわす方こそ、木田家当主、木田とう様にあらせられるぞーーーーー!!!!」


 カクさんは大声で言うと、少し引っ張っている。「ぞー」が長い。

 その言葉と共に、アンナメーダーマン達、忍者達、そしてアドが俺の前にゾロゾロ移動した。


「一同の者、頭が高ーーい!! 控えおろーーーー!!!!」


 スケさんとカクさんが声を合せて言った。

 俺の前に移動が終わっているアンナメーダーマン達が、ひざをつき頭を下げた。


「なっ!?」


 昇宮海軍大臣が驚きの表情になった。

 さらに憲兵隊の隊長、兵士の代表の二人も同じように驚いている。

 そして、ひざをつき頭をさげた。


「ふふっ、やっぱりね」


 総さんは笑顔になり、ひざをつき頭を下げた。


「なっ、なっ、ななな……」


 ノーパンしゃぶしゃぶの前に座っていた大臣達が、あわてて席を立とうとした。


「あわてて、動くんじゃねえ!! みっともねえ!!」


 首相が左手を九十度にまげたまま上にあげ、慌てるノーパンしゃぶしゃぶの前の大臣達を制した。


「うおっ……」


 ノーパンしゃぶしゃぶの前の大臣達が、一斉に動きを止めた。


「馬鹿が!! さっきまでは、十田家の使用人八兵衛、今度は木田家の当主木田とうだと、そんなことを誰が信じるか? 信じられるかって言うんだよ!! 証拠を見せてみろ!」


「ふむ、では、貴方は、木田家当主の事をどこまで知っているのですか?」


 カクさんが、笑いを我慢しながら聞いた。


「ふん、太った豚顔だ!!」


「どうですか?」


「た、確かに……じゃねえ! そっ、そんなもん、養豚場の豚だって同じじゃねえか!!」


 た、確かに。その通りだ。

 って、人を養豚場の豚と一緒にするんじゃねえ!! 泣けるぜ!!


「他には何か聞いていませんか?」


「ふむ……、そうだ!! 激豚、激豚のパンツをはいていると聞いた。どうだ、そんなもん、はいていねえだろ! どうだ!」


 北海道国の首相が勝ち誇った顔をしている。


「うわあっ!! なっ、何をする?」


 スケさんとカクさんが、俺の体をくるりと反転させるとズボンに手を掛けた。


「この激豚パンツが目に入らぬかーーーー!!!!」


「きゃああああぁぁぁーーーー!!!!」


 うん、俺は今日も元気に激豚パンツをはいていますよ。

 でもねえ、そんな勢いでズボンを下げたらお尻が半分出てしまいますよ。

 それを見てウェイトレスさんが悲鳴を上げて、くるりと後ろを向きましたよ。


 ――あー、おかげでウェイトレスさん達のミニスカートがひるがえって、真っ白なパンツが丸見えですよ。よかったノーパンじゃなくて……


 でも、あれ、見えてもいい奴じゃなさそうです。


「あ、あれは!! 激豚とプリントされている」

「ま、まさか、本当に木田の当主木田とうなのか??」

「あんな、変なパンツ、見た事が無い。間違いない木田とう様だ」

「はっははーーーーーーっ!!」


 ノーパンしゃぶしゃぶの前で動きを止めていた大臣達が、その場でひれ伏した。


「くっ……」


 北海道国の首相も観念したのかその場で崩れ落ちる様にひざをついた。

最後までお読み頂きありがとうございます。


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