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第三百六十八話 黒船襲来

 本当は一人になりたかったが、この四人は夏休みが始まると、いの一番に来てくれたのだろう。

 そんな人に出て行ってくれとは言いにくい。

 とはいえ、俺は三日間大人しく大阪城に居ると宣言してしまった。


「みんな、聞いてくれ」


 女性がいるのに部屋が暗すぎるので、少しだけ部屋を明るくした。

 といっても、屋根を透明にして外の光を入れただけだ。

 部屋にいながら、所々だが空が見えるようになった。

 夏の日差しは元気が良い。


「はい!!!!」


 良い返事が返ってきた。

 みんな、何を言うのだろうと瞳をキラキラ輝かせている。


「せっかくの夏休みだ、何がしたい?」


 無理だー。「一人にしてくれ、のんびりしたい」なんてとても言えなーい。

 そんな目で見つめられたら、世界の裏側でも連れて行ってやりたくなっちまう。

 とりあえず希望を聞いてみよう。


「えーーっ、せっかくの夏休みだから家でのんびりしたーーい」


 すごくテンションが低くなった。

 なっ、なんてことだー。

 これじゃあ、まるで俺だけがはしゃいで、みんなと遊びたい見たいじゃないかーー!!

 やれやれだぜ!!


「そ、そうか。じゃあ、のんびりしよう」


 そう言った瞬間、空を二機のジェット機が飛んで行った。

 のんびり出来る気がしない。


「……!!? ジェット機????」


「うむ、F-35Cだな。羽が少しでかい」


「どこから来たのかしら?」


 古賀さんは、日本のどこかと思っている様だ。

 北海道国には確かにF-35はあったが、F-35Cは日本には無い。

 C型は艦載機、つまり空母から飛んできたと考えなければならない。


「太平洋だな」


「えっ!?」


「ふふふ、黒船の襲来さ」


「く、黒船????」


「世界が、こんな状態なのに馬鹿が戦争をしようとしている様だな。ちっ、行かねばならないか」


「わくわく」


 わくわくを口で言う奴を初めて見た。

 しかも二人も。

 あずさとヒマリの目がキラキラ輝いている。やる気満々だ。やれやれだぜ。


「ふふふ、バムードとジグリオを発進させるときが来てしまったか。あずさ! ヒマリ! お前達は、ジグリオとバムードに、坂本さんはあずさと、古賀さんはヒマリちゃんに同行してくれ」


 バムードとジグリオは大阪城周辺の土木工事用の大型ゴーレムだが、当然戦闘も可能だ。

 あの連邦の白い奴と同サイズだ。

 形状は、もっと人間よりでシュッとしている。普段は龍の形をしていて、人型に変形する可変タイプの男の子が大喜びの大型ロボだ。


「はい!!!!」


 四人の息の合った良い返事だ。


「クザン、俺は、久々にシンアンナメーダーマンに変身する。オイサストシュヴァイン!! シュラ、フォリスさんも同行してくれ」


 あずさに同行しているクザンで、俺は変身した。

 いつものジャージではなく、ヒーローショウの時のアンナメーダーマンになった。

 ちなみにクザンはあずさの護衛。シュラは、ヒマリに同行している護衛だ。


 ジェット機は大阪の街を目視すると、来た方向に帰って行く。

 その後を、追いかける事にした。まさか、自分たちが追いかけられるとは思っていないだろう。

 当然、レーダーの照射も反射しないようにステルスモードだ。

 こっちは、さらに透明化まで出来る。

 ステルス性能ではこっちが上だ。






「艦長、報告します」


「うむ、どうした」


「はっ!! 日本はやはり異常です」


「ほう。続けよ」


「はい。東京、名古屋、大阪を偵察しましたが、どの街もそのまま人が住んでいるように綺麗なままです」


「ふむ、なるほどな。わしが日本を最後にした意味がわかってくれたか?」


「はい。いままで見てきた国は、母国をはじめ全ての国が、都市の建物は破壊の限りを尽くされ見る影もありませんでした」


「恐らく、まだ大勢人が住んでいるはずだ。食糧の補給も十分出来るだろう」


「反抗されませんか」


「ふふふ、こっちには十分の兵器がある。何千人いようが充分戦える」


 そんな事を、言っていそうだ。

 巨大な原子力空母がいる。


「とうさん、あれ!!」


 既に戦闘を始めているあわてんぼうがいる。

 まわりは全て海、まるで太平洋のど真ん中にも見える。

 まあ、実際はど真ん中ではなく、ずいぶん日本列島よりだが、まわりが全て海だからそう感じると言う事だ。

 次々艦載機が、墜落していく。

 パイロットは脱出して無事なようだ。


「おいおい。もう始めているのかよう」


 柳川の天紫改と、ゲン一家の偵察用機動陸鎧が空で戦っている。

 東京から追いかけてきたのだろう。


「おのれーー、日本人めーー!! 真珠湾に続いてまた奇襲作戦かーー!!!!」


「おいおい、アメリカ人めーー! 真珠湾、真珠湾と言うが奇襲作戦で攻撃したのは軍艦だぞ。しかも奇襲奇襲と言っているが、あんたら知っていただろ。日本が奇襲をする事なんざあよう」


「うるさい! 卑怯者の日本人めー! アメリカ人を大勢殺して反省はしないのかー! 悪党めーー!!」


「とーさん……」


「ふふふ、あずさ、ヒマリも、仕掛けてきたのは、アメリカさんだ。存分に楽しんじゃいなさい」


「はーーい!!」


「あーなんだっけ、そうそう、大勢殺しておいてだっけ、それをいうならてめーらは、あの戦争で何をした。市民への攻撃じゃねえのか。空襲だけじゃなく原子力爆弾なんて物まで使いやあがってー、どれだけ市民が死んだか。いまだにあの原子力爆弾は正義だったなんて、寝言っている奴がいるそうじゃねえか。市民を狙う攻撃をしたら、その時点でその国は正義を失っているんだよ。反省するのはてめーらの方だ。反省して、死んでいった市民に謝れって言うんだよこのやろーー。いつも死ぬのは、ひもじい思いをした、底辺に暮らす人達じゃねえか。もうじき原子力爆弾が落ちた日が来る。悪いのは全面的に落とした奴で、落とされた日本がいつまでも落とされるような事をしてすみません、なんてあやまるのはおかしいぞ。わかってんのかー!」


「やかましい。糞日本人がーー!! わし達がこの程度の戦力で来ていると思っているのか? んっ? ひゃははははははーーーー!!!! やれーー!!!!」


 空母の艦長が何かを指示した。


「はああああーーーーーー!!!!!!」


 海から何かが打ち上がった。


「ひゃはははは、これで日本の主要都市は火の海だーー!!!!」


「まさか、オハイオ級原子力潜水艦か!? いかん弾道ミサイルか。また、やるのかお前達はーー」


「ふぁはははは、我がアメリカ人は世界の上級国民だ。日本人などという下等国民など猿同然、もともと人類とは思っていないのだ。同盟国などと汚らわしい。死んで反省しろーーー!!!!」


「まいるぜ! アメリカ人が全部お前と同じ考えとは思いたくねえが、弾道ミサイルを持っているというだけで、そう考えているともとれるなあ」


「ひゃははははははーーーーーーー!!!!!!」


 原子力空母から、艦長の高笑いが聞こえる。

 似たような笑い声を、日本の政治家からも何度かきいたなあ。

 人をさげすんだ嫌な笑いだ。


 これ、夏休みの初日だろー。

 とんだ夏休みの初日だなあ。やれやれだぜ!!

最後までお読み頂きありがとうございます。


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