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第三百五十九話 忍び寄る影

先程まで戦場だった所が、たのしいバーベキュー会場に早変わりして、全員が羊肉をお腹一杯食べています。

大殿は本陣前に、大きなテーブルを出して、そこで食事する人達を、目を細めて眺めています。


「こっちだ」


一人の兵士が大友様の横に案内されました。

どうやら、大友様の家臣のようです。


「どうした?」


大友様が声をかけました。


「ほ、報告します」


「うむ」


「立花山砦、陥落!!」


「なに!? して、我軍は?」


「はっ! いち早く離脱し、被害はほとんどありません」


「……」


大友様は恥ずかしそうに顔を赤らめて、大殿を見ました。


「さ、相良軍はどうじゃ?」


兵士に、相良様が聞きました。

兵士は大友様を一瞬見ました。

大友様は悪意ある笑顔をして、うなずきました。


「はっ! 相良軍は、大友軍より先に離脱、被害は皆無と推察いたします」


「……」


相良様も恥ずかしそうに大殿の顔を見ました。

顔はもう、ゆでだこのように真っ赤です。


「最後まで、竜造寺家と安東家の生き残りの兵が勇敢に戦っていましたが、新政府軍の猛攻の前に陥落しました」


「ふむーー!! わしの所の兵が残っておったのか」


常久様が、鼻から大きく息を吐きました。

鼻の穴が大きく開きヒクヒクしています。


「くっ……」


大友様と相良様が、常久様の顔を見て悔しそうです。


「桃井様!」


私の横に、姿を消した部下が来ています。

どうやら立花山砦を落とした新政府軍の様子の報告でしょう。


「大殿! よろしいですか?」


「うむ」


「姿をあらわして、大殿に報告して下さい」


「はっ! 報告します」


古賀忍軍の忍者装備の部下が三名姿をあらわしました。


「うむ、皆に聞かせてやってくれ」


大殿が優しい表情で、三人に言いました。


「はい! では、私めから。砦を落とされた竜造寺家は捨てがまり戦法を取り、撤退を開始しました」


「捨てがまりだと、何故そんな……」


大殿は捨てがまりが、何だか知っているみたいですね。

私は良くわかりません。

でも、黙って聞いていましょう。


「はい。竜造寺様は、福岡の住民を逃がすため、時間稼ぎのため、少数の部隊を残しながら国道を撤退しました」


「残された部隊は?」


「生死不明、恐らく玉砕しているものかと……」


大殿は、暗い顔をしています。

どうやら、捨てがまり戦法とは撤退している部隊が、決死隊を残して時間稼ぎをしながら撤退する戦法のようです。

壮絶な戦法ですね。残される部隊にはなりたく有りませんね。

こんな戦法を使うなんて九州の人はおかしいです。

でも、不謹慎かもしれませんが、勇敢でかっこいいです。


「して、市民は?」


「はい。それは、私が見てきました」


別の配下が答えました。


「うむ、教えてくれ」


「はい、では。市民は撤退してきた大友軍、相良軍に護衛されながら、久留米を目指していますが、家財道具に食糧などを持っているため足取りが遅く、途中で追いつかれる可能性が高いと思われます」


「ふむ」


「ですが竜造寺軍は、久留米と福岡の間に陣を築き、雄藩連合で再度市民を守るべく決死の戦いの準備をしています。市民はここを越える事は可能かと思います」


「なるほど、ここが竜造寺の長坂の戦いか」


大殿がいいましたが、私には意味がわかりません。

でも、まあ、知らなくても大丈夫でしょう。


「おお、だれか、伝令をだせ、久留米防衛の戦いには、命がけで当たれと」


大友様が、大声で言いました。

数人の兵士が、走り出しました。

手には、山盛りの料理を載せた皿を持っています。

食べながら、行くつもりのようです。


「赤池、相良軍の指揮はお前が取ってこい! 死守するんだ。物資もすぐに送る」


「はっ!!」


赤池様は、大殿にどでかい皿を出してもらって、皿一杯に料理をのせて走り出しました。

食べながら走っています。


「次は私の番ですね」


「うむ、頼む」


「私は肥前の有馬様の様子を見ていた者です。肥前有馬様は福岡の西、長垂山の麓に砦を築き新政府軍を迎え撃つ準備をしています」


「ミサ!」


大殿はミサ様を呼びました。

ミサ様がやっと出番かと、大きな胸を揺らしながら大殿に近づきます。

ミサ様が地図を出しました。


「おおおっ!!」


少しどよめきが起ります。

私達からすればいつもの光景ですが、九州の方には新鮮だったようです。

ミサ様は九州の地図を、深い胸の谷間から出しました。


「むう、生暖かい。さては、尻にしいたな!!」


いやいや、今見ていましたよね!

こぼれそうな胸の、その谷間から出すところを。一部始終見逃さずに見ているのを、私は見ていましたよ。


「もう、小芝居はいいから、さっさと見なさいよ!!」


ミサ様は、相変わらず大殿に辛口です。

大殿にこれだけ言えるのはさすがです。うらやましい。


「なるほど、ここで迎え撃つのか。有馬軍への増援は?」


「現在の所、どこも無いようです」


「なるほど。良くわかりました。皆さんありがとうございます」


「はっ、はい。いいえ、もったいないお言葉!」


三人はうれしそうな顔をして、姿を消しました。


「とのーー!!」


大友様の家臣の方が走ってきました。


「どうした?」


「はっ、有馬様、竜造寺様から使者が来ています」


「よし、通せ!!」


何だか食事会が、慌ただしいですね。

次々来客があります。

今度はなんでしょうか?

最後までお読み頂きありがとうございます。


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