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第三百十九話 校庭のお風呂

 そのまましばらく軍議に参加し、夕食を済ますと俺は近くの使っていない学校に移動した。

 時刻は十八時を過ぎているのだが、冬とは違いまだ昼間のように明るい。

 校庭に、まずは銭湯を造り宿舎を作った。

 しばらくしたらミサ達が来るはずだから作っておいた。


 俺が校庭に来たのは、具足と武器を作るためだ。

 と、言っても九州にはたいした武装は無い。新政府軍も一番隊と二番隊、そして十番隊以外はたいした装備を持っていない。

 すでに俺の手持ちの金属は鉄以外不足気味だ。

 そこで、九州には鉄合金製で我慢してもらおうと思う。


 最初に指揮官用の黒い具足を作った。

 最初の四つは島津四兄弟専用、名前は薩摩黒鋼島津胴丸具足と名付け、前立て物に島津の家紋をあしらった物を作った。

 最後の一つは安東常久殿専用で、名前は筑前黒鋼安東胴丸具足と名付け、前立て物は戦国時代の安東常久殿が使えていた立花家の祗園守家紋を使用して前立て物とした。


 祗園守家紋中結びのデザインは斬新で美しい。別名柳川守と言われるものだ。疫病や厄災から守る意味合いまであるありがたい物だ。


「あー、いたいた。うわあ、すごーい」


 ミサ達が食事を済ませて、食後のお茶まで済ませてやって来たようだ。


「こ、これは美しい」


 島津四兄弟と安東常久殿まで来た。


「いま、指揮官用が出来たところだ」


「島津の家紋! ま、まさかこれは……」


「うん、こっちの四つは島津家。こっちのは、安東常久殿専用だ」


「おおおーっ!!」


「あー、付ける前に風呂に入って来てくれ! せっかくの新品が汚れる。こんなこともあろうかと、風呂はそこに作っておいた」


「な、何と風呂ですか」


「うん、男湯と女湯が別れているから間違えないようにな」


「行きましょう」


 謙之信とスケさん、カクさん、フォリスさんを残して、全員行ってしまった。


 プロトタイプは出来たので、量産タイプを作る。

 量産タイプは、サスリル鋼で銀色に輝く具足だ。

 島津家には精鋭用五百人。安東家には四十一人作る予定だ。

 さらに武器として、棍を作ろうと思う。

 盗られるといけないので、具足に収納されるようにする。


 数人分作った所で、男達が風呂から出て来た。


「こ、これは?」


 義久が銀色の具足を見つけるとすぐに聞いてきた。


「これは、配下の具足だ。島津家に五百、安東家には四十一作る予定だ」


「おおおーーー!!!!」


 五人が喜んでいる。


「装着方法だが、オイサスト! シュヴァイン! と言えば装備できる。解除はアプザーゲだ。やってみてくれ」


「オイサスト!!!!! シュヴァイン!!!!!」


 五人がそれぞれ言った。

 おっさん達の服が収納されて、パンツ一丁になりその体を繭玉のように鎧が包んだ。


「おおおーー!!!!! すっ、すごい!!!!!」


 五人の鎧武者が出来上がった。


「まさか、これは女性がやると……」


 歳久が言った。


「うん、想像通りだ。だから木田家では水着を着てもらっている。配下の女性に使用させるのなら、ちゃんと水着を着けてもらってくれ」


「……」


 おーーい、なんで返事をしないんだよー。

 まさか、お前達……。気持ちはわかるけどなー。


「はぁー! いいお湯だった。あそこが宿舎ね。一足先に休ませてもらうわ」


 ミサは、薄着のままで歩いてくると宿舎に歩いて行った。

 他の女性陣もそれにならって歩いて行く。

 全員お風呂上がりで、いい香りがする。しかも、薄着でセクシーだ。


「美しいですなあー」


 五人がうっとり見つめている。


「俺は、作業を続ける。邪魔だからお前達は、帰って眠ってくれ」


「ははっ!!」


 五人は具足を付けたまま帰って行った。

 しばらく、謙之信とスケさんとカクさんの三人が作業を見ていたが、作業に集中している間にいつのまにかいなくなっていた。

 フォリスさんだけは、ずっと静かに見守っていてくれる。

 でもきっとアドは、いるはずだ。


「アド、配下と交替で風呂に入って来てくれ、俺もきりのいいところで風呂に入る」


「わかったニャ!!」


 丁度半分出来たところで、俺は風呂に向った。

 ここで、女湯に入るなどとお約束はしませんよ。

 指差呼称で男湯を確認する。


「男湯ヨシ!! 御安全に!!」


 俺は男湯に入った。

 一応、浴室も確認する。

 うむ、誰もいない。

 大事な所は誰もいなくても隠す。

 そして、いざお風呂へ。


「ニャは! かかったニャ!!」


 どうやら、姿を消して潜んでいたようだ。

 姿をあらわした幼女は、全裸だった。

 まあ、合法ロリだからいいか。


 ……。


「じゃ! ねーんだよ!! ここは、男湯だーー!! 出て行けーー!!」


「すみませーーん」


 ――おーーい!


 古賀忍者さんまでいたのかよう。

 そんでわざわざ、裸を出してから行くんじゃねえ。

 せめて水着はつけてくれよなーー。

 はあぁーっ、まいるぜ。


「はーーっ、いいお湯ニャ!」


 そんでお前は出て行かないのかよ!!

 いっそ、すがすがしいわ!!


「まあ、名湯榊原温泉の湯だからな。最高のはずさ」


 俺は風呂から上がると、続きを仕上げ時間が余ったので、校舎の屋上にのぼった。

 東の空が少し青くなっている。

 もうすぐ日の出だ。日の出の時間も早くなったものだ。

 だが、気温はずいぶん低い、寒がりの人なら寒いと感じるのじゃ無いだろうか。俺にとっては丁度気持ちがいい気温だ。


 銀色の具足が朝日を反射してキラキラ輝き出すと、島津久美子御一行が宿舎から出て来た。

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