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第二百九十一話 初めての機動陸鎧

「おおーーっ、すごーーい。天夕改です。後ろに天竜、いえ眼帯があるから独眼竜でしょうか? と、いう事はあの天夕改は、ゲン様の専用機でしょうか」


「正解です。お久しぶりです、廣瀬さん。相変わらずの洞察力ですね」


 廣瀬さんとは、古賀忍軍ろ組の組頭です。

 頭も身体能力も飛び抜けている、古賀忍軍を代表するお方です。


「赤穂さん、何故あなたが? 北海道では無いのですか?」


 富山湾の船着き場の、青い巨大船の前で廣瀬さんが、大きなおっぱいをブルンブルンさせながら作業をしています。

 そうそう、おっぱいも古賀忍軍で一番です。


 私は廣瀬さんの後ろに焦点を合わせました。富山湾は雲一つ無い青空と、真っ青な海がとても綺麗です。風が爽やかでとても気持ちいいですね。

 そして、港に並んで立っている天夕改と独眼竜に視線を移します。


「あれできました」


 私は、少し自慢そうに天夕改を指さしました。


「ええーーーっ!! ……いいなあ、まじで」


「……」


 羨ましさを越えた何かを感じて恐いです。まじでの言い方が、まじすぎて恐い……です。

 私は何も言いませんでした。いえ、言えませんでした。


「しかし、かっこいいですね。そして美しい。二人並ぶと違いが良くわかります。赤い天夕改は、独眼竜より少しスリムですね」


 廣瀬さんが言うと、二人がキラリと光ったように感じました。

 木田家では、機動陸鎧を人で数えます。

 時々間違える人もいますが、大殿がそう言うので皆真似をしています。


「兄弟は、突き詰めた形状のものは女性の下着姿のように美しいと言っていた。クワガタムシやカブトムシ、零戦や大和なんかも美し過ぎると言っていた。大和って奴は、あれで小さいんだとよ。あの主砲であの大きさは無駄をそぎまくった究極の美形なんだとさ」


「うふふ、大和の美形は良くわかりませんが、天夕改と独眼竜の美しさはわかります。でも、なんだか女性の下着姿に見えてきました」


「ちげーねえ。廣瀬さん、出港まではまだかかるのかい?」


「いいえ、大陸の家族の方の手荷物の最後があそこですので、あの方達が乗ってしまえば出港です」


 あと、五家族ほど乗ればお終いのようです。


「ふーーん、まだ少しあるなあ。どうでえ、二人で天夕改と天竜、いや独眼竜か、乗ってみるかい」


「えっ!?」


 廣瀬さんと私が目を白黒させました。


「少し、時間があるから模擬戦でもどうかと思ってなあ」


「やります。私は天夕改がいいです」


「ほう、じゃあ、赤穂さんが天夕改だ。廣瀬さんは独眼竜だな」


 うふふ、私は少しズルをしました。

 天夕改は独眼竜より戦闘特化しています。

 でも、これ位ハンデが無いと、廣瀬さんに私ごときでは勝てないですからね。


「よし、準備ができたら、ちゃっちゃといこうか」


「はい!!」


 廣瀬さんと私の声が合わさります。


「おりゃあーーー!!!」


 私から仕掛けてみました。

 でも、やはり軽くかわされました。


「すげーな。恐るべし古賀忍軍だ。初めて乗る機動陸鎧であの動きか」


 伊達様が驚いています。

 でも、初めて動かす機動陸鎧ですが、操縦して動かすというより、着ているという感じで動かしやすいです。


「今度はこちらから行きますよ。うおおおーーー!!!!」


 廣瀬様の攻撃です。

 よけようと思ってもすべて、手で受けないとかわせません。

 そして、攻守の交替も出来ません。

 ずっと攻められっぱなしです。

 さすが、廣瀬さんです。


「ま、まいりました」


 私は降参しました。


「さすがは赤穂さんです。丁度終ったみたいですね」


 廣瀬さんは、私が船への乗り込みが終るタイミングで降参したと勝手に思い込んでくれたようです。

 本当は手も足も出なかったのですが、そういう事にしてしまおっと。


「ふーーっ、楽しかった!!」


 廣瀬さんと私の口から自然に出ました。


「ならば、そのまま二人が船に積んでくれ!」


「はい!!」


 船の甲板に二人を並べました。

 富山湾の太陽を反射して、二人ともとても美しく輝いています。


「素敵、大殿の次にほれてしまいました」


「!?」


 私と廣瀬さんの声が合わさりました。

 ま、まさか、同じ事を言ったのでしょうか?




「出航ーーー!!」


 廣瀬さんが大声を出すと、静かに青い巨大船が出航しました。

 この巨体で船は猛スピードで突き進みます。

 翌日には、大陸へつながる島に到着しました。

 島には目的の滝川一益はいませんでした。


「後は、部下に任せて私達は参りましょうか。道案内は私がします」


 廣瀬さんはそう言うと独眼竜にさっさと乗り込みます。

 なんと廣瀬さんが動かすようです。


「じゃあ、こっちは赤穂さんに任すぜ」


 ゲン様が言ってくださいました。

 お優しいですよね。

 はーーっ、もう私の天夕改ちゃんと言っても良いでしょう。


「なななななな、なんですかこれわーーーーーー!!!!!!」


 私はついうろたえて大声を出してしまいました。

 だって、どう見てもゾンビです。

 何千もいます。

 大地を覆い尽くしています。


「よっし、俺と伊達はここで降りる。二人は機動陸鎧でゾンビ退治だ。滝川と入れ替わってくれ」


「えーーーーーっ!!」


 やられました。

 ゲン様は最初からこうする予定だったようです。

 ゲン一家のボスは恐るべき策士です。


 ――ぎゃあああああ!! 気持ち悪ーーい!!


 ゾンビにどうにかされる事は無いのですが気持ち悪すぎです。

 せっかくの美しい天夕改ちゃんのボディーが汚れてしまいます。


「おおロボだ! 援軍か? ゾンビは後ろの川に放り込んでくれー!」


「うふふ、わかっていますよ。呂瞬様!!」


「おお、廣瀬殿か。ありがたい。意外と多くて手を焼いておったのだ」


 どうやら、触覚のような物が付いているのが呂瞬様と言うらしいです。

 体の大きな立派な武将のように見えます。

 呂瞬様は、川を背にして背水の陣で戦っています。

 川を渡る橋の向こうに陣をかまえています。


 ――呂瞬様って誰? まあそんなことは、どうでもいいですか!


「滝川一益!! ゾンビはその二人に任せてこっちへこーーい!!」


 川の向こうの陣の中から、ゲン様が呼んでいます。


「誰だー!! 俺様をよびすてにするのは!! 糞馬鹿野郎!!」


 ひーーっ! 口が悪すぎですよー!

 ゲン様ですよ。

 ゲン様!!


 ぎゃーー!!


 な、なんなんですか。なんなんですかー! あの男は?

 極悪人が、かわいく見えるような、極悪悪魔のような顔です。

 浅黒い顔色はゾンビ顔負けです。


「けっ、一益め! おもしれ奴だなあ!!」


「……!??」


 伊達様が、どうしていいかわからずに、ゲン様と一益を交互に見てオロオロしています。

 ご愁傷様です。ナームー!

 大人しくゾンビを川に放り込みましょう。はーこっちで良かった。

最後までお読み頂きありがとうございます。


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