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第二百七十四話 日本へ

「し、柴田様!! あれを見てください!」


「おお、すさまじいなあ! 廣瀬殿は実力を隠しておったようだのう」


「皆、ストップ!!」


 もう少し眠っていてほしかったのですが、柴田様と前田様が目を覚ましたようです。


「申し訳ありません。起こしてしまいましたか?」


「いや、いや。すっかり甘えて休ませてもらった。もう大丈夫だ」


「そうですか。それはよかったです」


 私は部下に、ゼスチャーで姿を消して船に戻るように指示しました。


「ところで廣瀬殿、あんたがほしくなったのだが」


「えーーーっ!!!」


 こ、こんな所で愛の告白ですかー。

 私が真っ赤になってもじもじしていると。


「違う、違う。そういう意味ではありません。俺も柴田様も妻子がいる。柴田家に仕官しないかという意味です」


 はっ!! しまった。

 そうですよね。柴田様や前田様が、私のような女を口説くなんてことはあリえませんよね。

 やらかしました。どうやってごまかしましょう。


「ふふふ、さすがは廣瀬殿だ! やさしいのう」


「えっ?」


「そうだろう。もしわしが、廣瀬殿と同じ立場で同じ事を聞かれたならば即断る。それはもうスッパリとな。こんな落ち目な柴田軍など、見捨てて当たり前だ。それを真剣に考えてくれた。それだけでも廣瀬殿の人柄がわかるというものだ」


「あの、お二人だから本心を言います。私は柴田軍が落ち目などと微塵も思っていません。むしろ、きっと多くの人を救う救世主になると信じています。ですが私には、日本にお慕いする方がいます。心から尊敬できる慈悲深く優しいお方」


「それは、アンナメーダーマンのことか?」


「へっ!? な、ななな、なんでわかるのですか?」


「ふふ、そうか。廣瀬殿ほどの女性が……アンナメーダーマンのことをなあ。よし! わしと前田が全面的に応援しよう。なにもできんがな。がはははは」


 柴田様は大きな声で笑うと少し寂しい表情をしました。


「ま、まさか!? 廣瀬様が大殿を好きだなんて!!」


「えーーーっ!! な、ななな、なんであなた達がいるの?」


「だってさっき、姿を消してこっちへついて来なさいとゼスチャーで合図をされたではありませんか」


「違います。船にもどって待機と言ったのです」


 どうやら部下には私のゼスチャーが通じていなかったようです。

 おかげで、私のお慕いする方がバレてしまったようです。

 はぁーーっ、やれやれです。


「すまぬ。廣瀬殿、話の途中だが聞かせてほしい」


「はい、前田様。なんでしょうか?」


「うむ、そ、その妻子のことなのだが」


 さっき、妻子という言葉が出たので、思い出してしまったようです。

 心配でしょうね。


「そうですね。その事も大殿から言われていました。柴田様及び、その家中の方の家族には危害を加えない事を約束する。安心してくれと言っておられました。また拠点が出来て、生活出来るようになれば、連絡をくれれば希望者には移住を許可すると言われました」


 うふふ、大殿は、ちゃんと心配の無いようにしてくれていますよ。お優しいのです。


「連絡と言われても」


「ああ、その事でしたら炊飯器のお米や、魔法瓶の玉子とふりかけは使えば減って、仕舞いには無くなります。補充のために月に一度、定期的に来ますので連絡はその時に取ることが出来ます」


「そ、そうか」


「ただ、移住は本人の意志を尊重する。行きたい者は行かせるが、行きたくない者まで行かせることはない。そう言われました」


「ふふふ、アンナメーダーマンらしいのう。だが、それで良い。こんなゾンビだらけの所には、来たい者だけが来ればよい。わかった」


「それでは、私は日本に帰ります」


「なに、もう帰るのか!? ならば仕方が無い、達者でな」


「柴田様こそ、お元気で」


 私達は、後を柴田様にお任せして日本へむかいました。




 船を海王丸の対岸に停泊させると、近くの上杉家の警備兵に大殿の居場所を聞きました。

 大殿は高岡市の城跡にいるとのことでした。


「止まれーー!!」


 高岡の城跡には警備の上杉家の兵士が大勢います。

 姿を消して、直接入っても良かったのですが、城跡のどこに居るのかもわからないので、警備の兵士に聞くことにしました。


「私達は古賀忍軍ろ組の廣瀬です。大殿に報告したいことがあります。お取り次ぎを」


「なに、おーーい。誰か、古賀忍軍の廣瀬の顔を知っている者はいないかーー!」


「廣瀬さん、どうぞ。案内します」


「桃井様、ありがとうございます」


 警備の中には、古賀忍軍い組がいたようです。

 い組の組頭で副首領でもある桃井様が私達を通してくれました。

 そして、案内までかって出てくれました。


「大殿は体育館にいます。こちらです」


 広い体育館の中央に大殿がいました。

 大殿のすぐ後ろにはミサ様、その横に上杉謙信様が控え、十田助三郎様、十田格之進様、十田響子様、十田楓音様が控えています。

 大殿の横にはフォリスという赤い体のアンドロイドのようなメイドが立っています。

 フォリスさんの反対の横には柳川様がいます。

 きっと、アドちゃんとカンリ一族の誰かが姿を消して近くにいるはずです。


 体育館の壁際には、大勢の上杉家の兵士が誇らしげに立っています。

 きっと、大殿の近くで警備が出来て名誉な気持ちなのでしょう。わかります。


 そして、大殿の前には、多くの知らない顔の人が控えています。

 お客様でしょうね。


「おお、廣瀬さん、桃井さん」


 大殿が、私を見つけて名前で呼んで下さいました。


 えっ!?


 名前を呼ばれただけなのに桃井様の顔が赤くなっています。


 ――嘘でしょー!!


 やれやれです。

最後までお読み頂きありがとうございます。


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