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第二百十八話 激突

「うわああーっ!!」


 大阪城のまわりの荒野が明るくなると、大阪城から喚声が上がった。

 突如現れた軍団に驚いているようだ。

 城から数人の伝令が京都方面へ走り出した。

 だが、その伝令が京都に着くことは無かった。

 すべて、途中で古賀さんの影の軍団に打ち倒され、近くの部隊に捕縛された。


「……!?」


 まてよ、これってすでに俺の布陣は、意味がなくなっていないか。

 京都方面から、大阪城防御に戻ってくる、新政府軍の二番隊、九番隊、十一番隊、十二番隊に備えるために、大阪城から京都までの荒野の中央に、上杉軍と伊達軍を布陣させている。

 だが、伝令が京都守備隊に届かなければ、援軍が来ることは無い。


 今川家尾野上隊は城の真東で川を堀に見立て、陣を築き始めた。

 一夜城ならぬ半日城を築こうというのだ。

 ここに、ノブ達救出班もいる。

 そして城の南側に、真田を中心に左翼を尾張加藤隊、右翼を尾張東隊、後方に藤堂隊が続き、大阪城へ近づいていく。


 大阪城の守備隊も落ち着きを取り戻し、向ってくる南側の木田軍の殲滅のため準備を終えたようだ。


「そろそろ、戦いが始まりそうです。戦いが始まったら、ノブ達に救出に向うよう指示をして下さい」


 俺は、後ろに控える、各部隊の伝令の中から、尾野上隊の伝令に指示をした。


 大阪城のわずかに残っている南外濠の内側から銃撃が始まった。

 それを合図に、城から新政府軍の十番隊が突進してきた。


「うおおおおおーーーーーー!!!!」


 大きな喊声を上げながら、新政府軍十一番隊が勢いよく走ってくる。


「木田軍真田隊、突撃ーー!!」

「加藤隊突撃ーー!」

「遅れるなーー東隊突撃ーー!」

「藤堂隊突撃ーー!!!」


「うおおおおおおおおおーー!!!!!!!」


 木田軍からも喊声が上がった。

 敵新政府軍の城からの銃撃は激しかったが、木田軍で倒れる者はいなかった。

 そして、両軍が近づくと銃撃は止まり、歩兵同士の肉弾戦が始まった。


 あらかじめ南側を攻める部隊には、時間をかけるように指示をしてある。

 それは、ノブ達がとらわれの女性達を救い出すまでの時間稼ぎをしてもらうためだ。

 ここで戦闘が行われている間は、こちらに人々の関心が集まり他への注意が散漫になる。それを狙って、時間をかけるように指示をしたのだ。


 敵の十番隊は城外に三千人程出してきた。

 対する木田軍は、真田隊、加藤隊、東隊、藤堂隊を合わせても総勢千人だ。

 数の上では圧倒的に不利だが、善戦している。


「報告します」


 古賀さんが、俺に近づいて来て耳元で言った。


「何ですか?」


「はい、丹波方面より、五千人程の部隊が大阪城を目指し南下してきました」


「えっ!?」


 すげーなー。

 俺の想定外の事がすでに二つ起っている。

 すごく幸先が悪い。

 一つは京都から援軍が来ると思っていたのに来ないこと。

 もう一つが、全く想定外のこの援軍だ。

 ひょっとすると、ハルラに俺が殺されて戦いが終る前触れなのかもしれない。背中に冷たい物が走った。


「いったい、どこの部隊ですか?」


 俺は古賀さんに聞いた。


「はい、旗印は明の文字があるとのことです」


「めい……それとも、みん……か? まさか明国と言う事もあるまい」


「恐らく、織田軍明智隊ではないかと」


 さすがは古賀さんだ。それに間違いない。


「そうか。明智隊か。ならば上杉、伊達軍の両軍にその事を伝え、前面に立ち塞がってもらって下さい。こちらからは先に、攻撃をしないよう伝えて下さい。ですが、明智隊が攻撃を仕掛けてきたら、その限りではありません。存分に戦って下さい」


 伊達家の伝令が走った。




「尾野上隊ちょーー!!」


「どうした?」


「大殿より伝令です!」


「ふむ。で、なんと?」


「はい。救出隊、城南部での戦闘が始まり次第、出発せよとの事です」


「響子さん、南部での戦闘は始まっています。そろそろ出番ですよ」


「わかりました。ノブ君行きましょう」


 私は、ノブ君の顔を見つめました。

 ノブ君は、右前方のビルを真剣な顔をして見つめました。


「はい!」


 ノブ君は拳を握りしめ、緊張した表情で返事をしました。

 私達は、尾野上隊の作りかけの陣を出て透明になりビル群を目指します。




 衛兵に後ろから近づくと次々に倒し、遊郭に向かい走りました。


「皆さん、助けに来ました。一緒に逃げましょう!!」


 私は一つ目の遊郭の扉を開けると、中に向って叫びました。

 でも、中にいる女性は、動こうとしません。

 冴子さんがいれば話しが違うのでしょうが、何故か冴子さんの姿がありません。


「皆さん、逃げましょう」


 カクさんが近くの女性に言いましたが、反応がありません。

 考えてみればそうですよね。

 突然、誰ともわからない人に助けに来たと言われても何の事かわからないはずです。


「シノさーーん!! シノさーーん!!」


 ノブ君が、大声を出しました。


「……」


 中からは返事がありません。


「シノさーーーーん!!!!!!」


 とうとう、カノンのカノン砲が炸裂しました。

 大きなホテルを改造した遊郭の壁がビーーンとしばらく鳴ったまま止まりません。


「大きな声だねえ。シノさんって、あの自衛隊上がりの正義感の固まりみたいな人かい?」


「そうです。そうです。その人です。どこにいますか?」


 ノブ君の顔が笑顔になりました。

 よかった。シノさんを知っている人に、いきなり会うことが出来ました。

最後までお読み頂きありがとうございます。


「面白かった!」

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