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第二百十四話 美しい娘

 まずは、敵の戦力について……!?

 俺はまだ織田軍について、ほとんど知らないことに気が付いた。

 織田家の大殿様ってどんな奴なんだ?

 誰かが調べているはずだが、報告が無いと言う事は調べが付いていないのだろう。織田家で秘密にされているということだ。


「わからんものは、しょうが無い。自分で調べよう」


 ハルラは……。

 うむ、見た事が無いな。

 そもそも、敵の大殿などわかるわけがないのか。

 よほどの重臣じゃなければ会うことも出来ないのだからな。

 俺は、落ちていた貝殻を三個置き、三角形を作った。

 大阪の位置と京都の位置、そしてその下に一個。

 その横に少し小さい貝殻を3個並べた。


「織田家の柴田と、新政府軍の桜木、そして木田家のゲンだ。恐らくこの三人が、ナンバーツーだ。桜木がやはり一番強いだろう。次がゲンで、その次が柴田か」


 桜木は西の最前線にいるだろう。

 柴田の怪我は重傷だ、一ヶ月では回復出来ないだろう。

 木田家のゲンは各地の治安、他の前線の守りを固めてもらうため留守番だ。これはゲンにしか出来ないからしょうが無い。

 もし、二月一日に桜木がいたら、木田家の被害は甚大になるな。

 いっそ撤退も視野に入れておかないといけないな。

 ナンバーツーの貝殻は、いったん全部取り除いた。


「やはり、奇襲を仕掛け桜木が戻っていないことを祈るしかないな」


 今の戦況は、京都で羽柴軍と新政府軍が交戦中だ。

 新政府軍は、四個連隊。羽柴も同じか。京都で交戦中。

 黒い駒と、銀色の駒を四つずつ並べた。

 この後ろに、伊達と上杉を置き大阪城を囲む、新政府軍を大阪城に戻れなくする為だ。

 俺は、青の駒を二個作り、黒と銀の駒の後ろに置いた。


「木田軍が現れれば、少なくとも新政府軍は大阪城を目指して動くだろう」


 伊達、上杉の青い駒の方に、黒い駒を4個動かした。

 京都は落ちるな。織田家のものとなるのか。


「そして、ここだ」


 俺は、砂に力強くバツを書いた。

 その位置こそ、遊郭の位置だ。

 ノブの手前、高層ビル群と言ったが遊郭だ。

 シノさんはここにいるはずだ。

 伊達、上杉が、新政府軍を防いでいる内に遊郭の女性を救い出さなければならない。


「ここには、冴子さんがいるはずだ」


 俺は、冴子さんを呼び捨てに出来なかった。

 スケさんとカクさんと響子さん、カノンちゃんの四人なら勝てると思っているが……。

 ノブにアンナメーダーマン、アクアブラックを渡そう、折角俺用に作ったのだが、仕方が無い。

 これで五人のアンナメーダーマン、アクアがそろう、五人いれば万全だろう。


「残るは新政府軍十番隊、恐らく親衛隊だ」


 ここには、真田隊五百人、尾張隊二百人、尾野上隊千人、藤堂隊五百人であたってもらう。

 ここがぶつかるのを見て、俺は大阪城に単身乗り込む。

 無駄な戦闘を避けて、天守閣へ一気に駆け上がる。


「最上階ではハルラが一人待っている。『ふふふ、アンナメーダーマンか! 来ると思っていたぞ!!』たぶん、美しい見た目のはずだ。ガウンのような服を羽織って、胸元はパカーッと空いているはずだ。

 俺は、いつものヘルメットと黒いジャージだ。

『待たせたか?』

『この俺様が、てめーなんぞ待つと思うのか! うぬぼれるな!!』

 口調は激怒をしている様に言いながら、顔は笑っているはずだ。

『ちっ、だろうな』

 俺は、ヘルメットを外す。

 敵の大殿様に、顔も見せないのはやはり失礼だ。


『何と醜い顔だ。おおよそ、人間には見えんな。化け物だ! 気持ち悪りい。女には苦労したのじゃないか。俺の仲間になれば、いくらでも美女を自由に出来るぞ。どうだ?』

 うむ、ハルラなら絶対こう言う。

 俺はこの言葉にグラッとくる。

 何なら、仲間になっちゃおうかと思うんだ。

 何しろこれまで女の人には全く縁が無かったからなー。

『ふふふ、俺は、人々の幸せを望む者だ。俺みたいな醜い男に、あてがわれた女性は、それだけで不幸になる。断らせてもらうぜ』グラッときていたことは隠して、平静を装い言うんだ。

『ひゃあーはっはっは! てめー見てーな豚は最初から仲間にする気なんかねえんだよ! 死ねーー!!』

 そう言って、襲いかかってくるんだ。


 俺は、最初から仲間にする気はねえんだって言葉に、ショックを受けるんだ。

 だってよう、小学生の頃から、遠足の班分けや、運動会の班分けなんか、いつも仲間はずれだったんだ。フォークダンスなんか触っても貰えなかった。それを思い出し動けなくなる。

『ぐああああーーーっ』

 ハルラの手刀が俺の胸を貫くんだ。

 口から大量の血が噴き出し、意識が遠のく。

『きたねー!! 豚が俺の服を汚すんじゃねえ!!』

 そう言って、ハルラは俺の死体をいつまでも蹴り続けるのさ」


「ええーーーっ!! 死んじゃったーー!!!」


 後ろから声がした。

 あずさだった。


「い、いたのか」


「はい」


「しまったなー。口に出ていたよな?」


 俺は、波のBGMと星の照明が心地よすぎて、途中から声を出していたようだ。


「とうさんには、勝てるイメージは無いのですか?」


 あずさは俺のヒザの上に座ってきた。

 小さな時の指定席だ。

 でも、今はかなり大きくなっているぞ。まあ、いいか。


 俺は水平線を見つめた。

 空が星で明るくなり、海が真っ暗で水平線がはっきりわかる。


「俺には、全く勝てる気がしない。何しろ異世界の魔王を殺した勇者様なのだからな。せめて、相討ちでもいいから何かないかな」


「私を連れて行ってくれるのなら、一つだけありますよ」


「なんだって!? 教えてくれどんな方法だ」


「それは、言えません。いいえ。言ったところで無駄です。私にしか使えませんから」


「……」


 恐らく、何か秘密がありそうだ。

 何を隠しているのだろうか。


「うふふ、私も小学校では仲間はずれでした。ガイコツって呼ばれて嫌われ者でした」


 あずさが嬉しそうな顔をして、上目遣いで見つめてきた。

 こいつ、体のまわりにキラキラ星が輝いていないか。


「嬉しそうにするな! 寂しくなかったか」


「うふふ、全然。だって家に帰れば、私の帰りを楽しみに待っていてくれる人がいたから。いつも帰ると、同じ場所で同じように待っているのですから。どれだけ私の事が大切なのって、少しひいていました」


「はああーーっ!!」


 それは、「お前が、俺がいないとパニックになるからだろうがーー!」と言いたいところだが、あずさはそんなことはわかって言っているはずだ。


「くすっ」


 あずさが、笑った。

 お返しにギュッと抱きしめてやった。

 あずさの視線が真っ直ぐになった。どうやら水平線を見つめているようだ。

 あずさのおかげで、ハルラの言葉に惑わされることは無くなったはずだ。


「これで、ハルラの最初の攻撃は避けられそうだ」


「じゃあ、勝てますね」


「そうだな。全力を出し尽くす事が出来そうだ。なあ、あずさ。どうせもう眠ら無くても大丈夫なのだろう」


「はい!?」


「マグロ漁に行かないか?」


「いいですね」


 こうして、二人だけでマグロ漁に出かけた。

最後までお読み頂きありがとうございます。


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