表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
200/428

第二百話 心を打つ質問

 爺さんと別れて、夜の山道を戻っていく。

 途中で俺自身の透明化のため、あらたにアンナメーダーマンアクアのスーツを作った。

 全体が、青色で、シャチのような黒い模様を付けた。

 性能は、スケさん達と変わらない。


「アクアシャ……」


「アクアブラックですね」


 俺がアクアシャチと言おうとしたら、響子さんがブラックとかぶせてきた。

 アクアブラックか。まあいいか。

 俺は姿を消して、山の中の落ち武者隊に近づいた。

 落ち武者隊は、夜と言う事もあってグースカ眠っている。まあしょうが無い、疲れているのだろう

 翌朝、早朝に起きるのかと思ったら、昼まで眠っている。こいつらの危機感のなさには感心する。


「良し、朝飯にしよう」


 ブル伍長がリーダー気取りで全員に言った。

 すでに、昼飯だぞ。


「みろー、このカバン。食い物が入っているぞ」


 俺が置いていったバックパックの中身を見た男が大声を出した。


「おおすげー! チョコレートに、キャラメルもあるぞ!」


「じゃあ、チョコレートを全員にくばれー」


 ブルが言った。

 全員の手にチョコレートが配られた。

 するとこの落ち武者達は、ペロリと一枚ずつ食べてしまった。


「おいおい、このまま何日さまようのか、わからんのにそんなに食ってどうするんだ。一欠片位にしておけよな」


「うふふ、たいした距離じゃ無いから大丈夫じゃ無いですか」


「響子さん、距離は無いですが、それだけに敵の警備も厳重になります。なかなか、この包囲を抜けるのは大変なはずですよ。昨日の夜までなら敵に会わずに移動出来たの出しょうけど、すでに昼だからなあ」


 俺達は、姿を消して落ち武者隊の様子をうかがった。


「よーーし、ぼちぼちいくかーー。出発だーー」


 ブル伍長が号令をかけた。

 全員が、のそのそと立ち上がり隊列を組み歩き始めた。

 季節は冬だが、何年かに一度位の暖冬なのだろう温かい。

 木々がザワザワ揺れる。

 隊列はいきなり西に向った。


「おい、バイパスだ。すぐ近くじゃねえか」


 ブルは、バイパスを京都に向うつもりらしい。


「見ろ、見張りだ、すごい数だ。バイパスは使えねえぞ」


 チンが、驚いた顔をして言った。

 どうやら事の重大性にやっと気が付いたようだ。


「お、おい。見つからないように静かに戻るぞ」


 ブルが指示をすると、さっきまでと違い、木々をザワつかせないように、気をつけながら歩き出した。

 最初からやっておけよな。良く見つからなかったもんだ。

 運だけは良いようだ。


 結局、元の場所まで戻って来た。

 貴重な時間を使って何をやっているのだか。


「よ、よっし、次は南へ行くぞ」


 ブルが号令をかけた。

 今度は全員、静かに移動を始めた。

 だが、その分遅くなる。

 一時間弱でまた舗装道路を発見する。


「道だ!! 道がある」


「見ろ、あそこに見張りがいる」


「くっそ!! だめだ! いける先がねえ!」


 全員が、トボトボもと来た道を戻りだした。

 戻った頃には、日が暮れかかり薄暗くなる。

 時間は十六時を少し回ったぐらいだが、あたりはもう薄暗い。

 昼間は少し歩いたら汗をかくぐらいの暖かさだったが、今日の夜は急に冷え込んできた。


 彼らの脳裏に絶望が浮かんできた事であろう。


「うう、寒いぞー!!」


「腹が減ったー!」


「食べ物は節約しろ。晩飯はチョコレートひとかじりだけだー」


 ブルが叫んだ。


「ふ、ふざけるなーー。そんなんでもつわけねーだろー」


「馬鹿野郎、死にてーのか。一日でも長く持たせるんだ。もう助けを待つしかねえ。食ったら眠るんだ。体を寄せ合って暖を取るんだー」


 ブルがそう言うと、全員体を寄せ合って眠ってしまうようだ。


「おいおい、夜のうちに見張りの隙をついて逃げようとは思わねえのか。駄目な奴らだなあ」


 思わず俺の口から出た。

 時間が立てば立つほど、逃げる事は難しくなる。

 分かっているのだろうか。


「くそーーっ!! 寒い!寒くて眠れねえ」


「腹が減ったー」


 翌朝は、薄暗いうちから目を覚ましたようだ。


「全員、食べ物は配給制にする。それぞれに配るから、それだけで我慢してくれ」


「くそー、何だよ。これだけかよー!」


 不平は出たが、皆納得して、食事を済ませた。


「今日は、手分けをして、逃げ道を探そう。東西南北に部隊を四つに分けて偵察だ」


 夕方薄暗くなると、各部隊が帰って来た。


「どうだった。報告しろ」


「駄目だ、敵の警備が厳重すぎる。すでに別の部隊の兵士が何人も捕まっていた。殺されている奴もいた」


「そ、そうか」


 あたりが重い空気に包まれた。

 皆静かになり、声を出す者がいなくなった。

 こうして、ブル達は、ここでさらに数日を過ごした。

 数日が過ぎると、食べ物の配給がさらに少なくなり、とうとう不平が爆発した。


「てめー!! 食い物はねえ!! 逃げ道はねえ!! 一体どうするつもりなんだ!」


「そうだ! そうだ! こんなことなら、あの豚の言う通りにしていれば良かったんだ!!」


 あの豚って俺の事か?

 助ける気が失せるぜ!


「だったら、好きにすれば良いだろう。俺はもう知らねえ!!」


「何だと! この野郎!! ぶっ殺してやる!!」


 険悪なムードになった。

 まあ、頃合いでしょうか。

 俺は透明化を解除して出て行ってやることにした。


「あー、お取り込み中、済みません。ここに俺のカバンがありませんでしたか? 忘れてしまって」


「うおーー!! 豚だーーーー!!!!」


 全員が歓喜の声を出した。

 まるで、獲物を見つけたみたいだ。


「おいおい、食うなよ!!」


 俺は、食われそうな危機感を憶えた。


「て、てめー、何しに来た」


 ブルは、まだこの期に及んでも威張っている。


「ああ、忘れ物を取りに来ただけだ。すぐに帰る」


「ま、待ってくれ助けてくれ!!」


 チンは、ブルよりはまだましなようだ。


「俺の言う事など聞きたくなかったのでは?」


「聞きたい、聞かせてくれ」


「そうですね。時間もあることですし、これでも食べて話しますか」


 俺は持って来たカバンから得意のゆで卵を出した。

 ついでに、富士の湧水の水筒を出した。


「うめーー!!」


 こいつらには、マヨネーズはもったいないので塩にしてやったが、うまそうに食っている。

 まあ、ここのところまともな物を食っていなかったので、さぞかし美味しいだろう。


「では、まずは何から聞きたいのですか」


「じ、爺さん……金城軍曹は無事なのか?」


 なるほど、最初の質問は良いですね。

 少し心を打たれました。

 この質問をしてくれたことで、俺はこいつらを助けても良いかと思えるようになった。

最後までお読み頂きありがとうございます。


「面白かった!」

「続きが気になる、読みたい!」

「頑張って!」


と思ったら


下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。

面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!


ブックマークもいただけると本当にうれしいです。

何卒よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ