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第百四十八話 すごすぎます

「上杉殿、こちらです。ゆっくり行きますので、ついてきてください」


 ほっぺたが落ちそうな位、美味しいマグロ丼を食べ終わると、黄色いジャージを着た豚顔の木田家の当主様が案内を始めました。


 センスの欠片も無い、黄色いジャージに、変な大きな白いポケットのついたジャージを着ています。しかも、誰が縫ったのか、ポケットは縫い目がまばらで歪んでいます。飴ちゃんなら全部落ちそうな程、まばらな縫い目です。そんな男を私は、初見で正直気持ちが悪いとさえ思いました。


 顔が豚なら、声は森山さんのような渋い声なら良かったのに、少し高いデブ声です。当然体はブヨブヨのデブです。

 私はこの男を豚カレーと呼ぶ事にして、当主候補から外したのです。

 それがまさかの木田家の大殿様とは。


「大殿、我らもお供してよろしいですか」


「馬鹿もーん、俺が黄色いジャージの時は、駿河の商人大田だ。皆さんの方が偉いので、ちゃんとして下さい」


「はっ、も、申し訳ありません」


「だからー、ま、いいです。でも外では気をつけて下さい」


「はっ」


 伊達の赤鬼が、頭を下げました。いつもと、まるで雰囲気が違う。

 私達上杉家の者は、この茶髪の暴れん坊、独眼竜を赤鬼と呼んでいます。

 それが、大人しく言う事を聞いています。

 不思議な感じがします。

 いったい豚カレーは、この暴れん坊をどうやって手なずけたのでしょうか。


「この駅は地下鉄なのに地上なんですよね。昼間はライトが入りません」


 特に会話もないまま、駅に着いた。


「あ、あの仙台は電気があるのですか」


 私が驚いていると、同行してきた男達が笑っている。

 一人だけ、メイド服を着た赤いロボットコスの女性が混じっている。


「いいえ、ハンドパワーです」


「はあー?」


「ふふふ、魔法と言っても信じてもらえなさそうですし、見ていてください」


 そう言うと豚カレーは、ポケットに手を突っ込んだ。


「ウォータークーラー!」


 大山さんの様な声で、ポケットから大きな物を出した。

 ポケットには収まりきらない大きな物だ。


 いやいや、その前に豚カレーは、どう見てもその妹の方のコスプレでしょう。

 しかも、声が似すぎています。

 どこから突っ込んで良いのか分かりません。


「相変わらず、大田さんはすごいですなー」


 人相の悪い詐欺師の様な男が言った。


「ふふふ、藤吉様、飲んでみてください」


「かー!! うまい。よく冷えた富士の湧水ですな」


 この男は藤吉と言う名前のようです。


「ふふふ、ここに欲しいと思っていたのですよ。上杉様もどうぞ」


「えっ、あっ、はい」


 私に振ってきたので、飲むことにした。

 青く美しい金属の筐体に、金色の模様が美しいウォータークーラーだ。

 うわっ、うまい。


「どうですか」


 豚カレーが私の顔を嬉しそうに見てきました。


「う、うまいです。この水はどの位出てくるのですか」


「ふふふ、この大田の生きている限り出続けます。どうですか上杉様これが駿河大田商店の商品で、私の力です」


「す、すごい!! すごすぎます!!」


 私は驚いていた。

 これが、未来のアイテムでも、魔法のアイテムでも、どちらにしてもすごすぎる。


「あ、良いタイミングで来ました」


 豚カレーが言うと列車が入ってきました。

 さっきのウォータークーラーと同じようなデザインが先頭で、客車は銀色の鉄製の列車だった。

 この列車もあのポケットから出したのでしょうか?

 だとしたら、すごい! すごすぎです!!


 ホームの端に移動して、扉の無い先頭の機関車の横に来た。


「さあ乗りましょう。扉を開いてください」


 豚カレーが列車をさすりながら言うと、何も無い機関車に乗り口が出来た。

 中に乗り込むと、ふたたび豚カレーが機関車をさすり言った。


「外を見せて下さい」


 すると、機関車が消えてしまった。

 私達がまるで、宙に浮いているような気持ちの悪い感じになっている。


「これじゃあ、宙に浮いているようで気持ち悪いから、横の半分だけでいいですよ」


 豚カレーが言うと、窓の所だけ透明になった。


「すごいですね。古賀さんはこれを使って、透明になっているのですねえ。さすがです。あっ、古賀さんというのは駿河忍軍の首領です」


「す、駿河忍軍! 透明?」


 上杉家でも、情報収集はしていますが、忍者と呼べる者はいません。

 しかも、この口ぶりでは透明になれるらしい。

 透明の忍者なんて恐ろしすぎる。


「どうせ、ここにも一人くらい、いるのでしょう。姿を見せて下さい」


「はっ」


 声と共に、黒い忍者服の者が四人現れた。

 忍者は全員女性のようで胸にふくらみが有り、ミニスカートをはいている。


「じょ、女性ですか? 危険ではありませんか」


 この崩壊した世界では、女性は危険が多い、いや、危険しか有りません。私も女ですが、男装をして女性と言う事を隠しています。


「大丈夫です。この忍者服が優秀なので、おおよそ危険は回避できます。銃弾でもなんともありません」


「ふっ、ふっ、ふっ。何を隠そう、この忍者服も大田商店の商品です」


「す、すごい。すごすぎる」


 私は、またしても驚いている。

 すでに何度驚いたかわかりません。


「安全確認がすんだら、出発して下さい」


 豚カレーが言うと列車が動き出した。

 まっ、まさか、この列車は、機関車がそのまま動いているのでしょうか?

 きっと、この列車も豚カレーが生きている間中走り続けるのでしょう。


 ふふふふ、すごすぎます!!!!

最後までお読み頂きありがとうございます。


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