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第百四十一話 ポロリ回

 祭りは屋台村の通りでは無く、駅前から続く広い道で開催する予定だ。

 屋台村で食事を済ませたら、そちらの様子を見てみよう。

 そして先日、熊田にからまれた屋台に到着した。


「あら、いらっしゃい。大丈夫だったかい?」


 女中さんは憶えていてくれたようだ。


「ええ、まあ」


「それは良かった。心配していたんだ。今日はまた、綺麗な女性と、すごくかわいい子達だねえ」


 女中さんがミサと娘二人を見て言った。


「あらー」


 ミサと娘達が嬉しそうに、頬を赤らめた。

 昼の屋台は、お客さんはまばらだった。

 席につき、注文を済ますと、本来の目的である街の様子を見ようと、まわりを見回した。


 人相の悪い男達が、腰に剣をつけて通りを二人組で歩いている。

 まるで、時代劇で見る江戸の街のようだ。

 鉄と、少量のミスリルの合金の剣には、一つ細工がしてある。

 それは、最初に抜いた人を持ち主と認め、それ以降は持ち主以外には抜けないようにしてある。


 この荒廃した世界では、今、武器は貴重品である。

 殺傷能力の高い剣などは盗まれる確率が高いと考えたのだ。

 剣を持つ侍のような男達は、よく目立つ、それがあちこちにいる。


「治安が良くなったのか、悪くなったのかわかりゃあしねえ」


「ふふふ、良くなっているよ。強盗や、窃盗は無くなった。ヤクザ者同士の喧嘩も無くなったからねえ。あんた達が来た日と比べると大違いさ」


 注文の料理を並べながら、女中さんが教えてくれた。


「おーーーい、えーーっと」


 少しエッチな服を着た女性が、手を振りながら駆けてきた

 俺をどう呼んで良いのか困っているようだ。

 俺は、大きな白いポッケが腹の真ん中にある黄色いジャージを着ている。

 ミサは、街に溶け込むように長袖の黒のトレーナーにジーパン、娘達は中学のセーラー服だ。

 シュラは、相変わらずのメイド服だ。


 俺が、黄色のジャージを着ていると言う事は、名前はおおたふとしだ。

 文字では大田大と書く。


「ブタミです」


 ミサが言った。


「誰がブタミだよ! 駿河の商人大田大です」


「ブ、ブタミーーー!!! あーーはっはっはっはーー! うけるーー!」


 超うけたようだ。

 この人は、見覚えがある。

 確か、木田産業の本社で働いていた元柳川のお店の人だ。


「大田さん、ご一緒してもよろしいかしら?」


 俺達は、四人用のテーブルに椅子を一つ付け足して座っていたが、女中さんが隣の机をくっつけてくれた。


「どうぞ!!」


「ふふ、これならあと二人は大丈夫ね。お店から呼んできます」


 お姉さんが、戻ったお店を見て驚いた。


「メンズエステ、柳川」


 窓と扉に書いてある。

 俺と、ミサの声がそろった。


「うふふ、柳川さんが喜んでいましたよ。風俗一号店だそうです。そして、俺は風俗王になるって言っていました。今はまだエステだが、木田さんに頼んでお風呂をつけたら、本格的に始めると言っていましたよ」


「俺、行ったことねーから、出来ねえよ」


「二人とも子供の前ですよ」


 ミサに怒られた。


「うわっ」


 俺は驚いた。

 少し離れた料理を取ろうとした、おねーさんの胸元がペロンとなって、中身が見えた。世に言うポロリだ。

 思わず拝みそうになった。


「あらっ!?」


 ペロンとなった胸元を押さえて、見えなくしてくれた。

 これは、恐らくエステをしながら、見せる為の制服だ。

 やながわめーー。


「嫌々、やらされている訳じゃねえんだよな」


「ふふふ、この位は趣味ですよ。こんな物でも喜んでくれる男性がいるなら、楽しいじゃ無いですか。嫌な客は用心棒も完備されていますしね。それに……」


「こら、こら」


 ミサが、手を振りながら話しをさえぎった。

 あずさとヒマリを気にしてくれている。


 お店を見ると、扉の前に剣を装備した男が立っている。

 迷惑な客は強制排除ということなのだろう。

 女性はこんな物と言ったが立派で美しかった。

 大きさは、ミサより小ぶりだが、その位が丁度良い。


 一緒に来た、女性達も皆綺麗だ。

 きっと、こんなおねーさんにマッサージをしてもらえば天国へ行けるのだろう。しらねーけど。

 だが料理は、モリモリ食べている。食欲は旺盛なようだ。




「ここにしようぜ」


 観光客だろうか、俺達の横の席に座った。


「すげーーなー。日本の首都みてーだな」


「だろーー」


 うむ、確かに日本の首都と言っても良いくらいの人がいる。

 街のゴミは、俺が毎日綺麗にしているし、美しくていい都市になっている。

 今は、お侍さんが治安を守ってくれているし、最高の都市かもしれない。なんなら首都にしてしまおうか。


「でもよー、来るのは明日でいいんじゃねえ」


 三人のややオタクぎみの男達だ。


「馬鹿か!! 『遠足は家に帰るまでが遠足だ』と、言うだろあれにはまだ続きがあるんだ。『そして、遠足はおやつを買って用意する前日からすでに遠足なんだ』ってね」


「なるほど、祭りは用意をしている前日から祭りと言う事なのか」


「そうさ!! 確実に前日から祭りなのさーー!!」


 なんだか滅茶苦茶盛り上がって、でかい声を出している。

 まるで、俺達に聞こえるように言っているみたいだ。


「あの、記念撮影よろしいですか。綺麗なお姉様方、そして、我らがアイドルピーツインのお二人」


「あのねえ、プライベートだよ」


 ミサがあきれたように言う。


「お祭りですからねえ」


 あずさは、分かっているようだ。嬉しそうに言った。

 あれは、この撮影の為の前振りだったのだ。

 このオタク達に一本取られたようだ。

 この世界にはSNSはすでに機能していない。

 そういう心配もいらないだろう。


「じゃあ、ドラミのコスプレのおじさん、撮影オネシャース」


 誰が、○ラミだーー!! 

 オネシャースって何だよ。若造めーー。


「おねしゃーす」


 あずさとヒマリが笑いながら、真似して言ってきた。

 すでにノリノリのようだ。

 オタクの若造は、年期の入ったポラロイドカメラを出してきた。

 若造と、セーラー服姿のピーツイン、ミサとメイド服のシュラ、綺麗なエッチな服のお姉さん三人の集合写真を撮らされた。


「あーあ、もうこれでこいつともおさらばかー」


 フィルムが残り二枚で、二枚とも撮影して、一枚をあずさに渡した。

 あずさは、フィルムを持っていたようで、新品を二つ渡していた。

 あずさは、胸に抱きしめている。集合写真が嬉しかったようだ。


 って、おい!! 俺が入っていねーじゃねえかよー!!

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