表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
120/428

第百二十話 帰路

「ミサー、地図を出してくれー」


 私達は、とうさんが戻るとすぐに日本へ帰ることになりました。

 坂本さんの休暇が無くなってしまうからです。

 またクビになっては申し訳ないので、大急ぎで帰ることになりました。

 移動魔法なら一瞬ですが、まだ少し時間があるからと坂本さんの提案で、UFOに乗って帰ることになりました。

 その帰りのUFOに乗り込むとすぐに、とうさんがミサさんに言ったのです。


「はい、はい」


 言われたミサさんは、嬉しそうに胸の谷間から地図を出しました。

 えーっ!!

 と、とうさんは何てことをしているのでしょうか。

 事もあろうに、美女の胸の谷間を小物入れのように使っています。

 ミサさんは谷間から出したばかりの、ほっかほっかに温められた地図をとうさんに手渡しました。


 とうさんはそれを無造作に受け取ると、バッと広げるとUFOの床に広げます。

 結構大きな地図で、東海地方から関東まで入った一枚の地図です。

 その姿を見ていた美女達が、自分の胸を見ています。

 他の人に、あの地図をしまっておくことは出来なさそうですよ。

 ま、まってください。皆さんはあんな最低な仕打ちをされたいのですかー。


 どうやら、少しでもとうさんの役に立ちたいようです。


「小田原、駿府、豊橋、名古屋が、丁度よさそうだな」


 地図をのぞき込むとうさんの、黄色いジャージの背中が出てしまっています。

 それだけではありません、パンツの上が出てしまって、激豚が少し見えています。

 これだけの美女軍団を前にして、いつも通りの自然体です。さすがとしか言いようがありません。

 仕方がありません、そんなとうさんの為にコーヒーでも入れて差し上げましょうか。

 そう思って席を立とうとしたら、ミサさん以外全員が席を立とうとしました。


「うふふふ」


 席を立った全員が微笑みました。


「どうぞ!」


 そして、私に譲ってくれました。

 はーー、うちのとうさんはモテモテのようです。


 ……!?


 うそでしょ?

 うそよね。

 まさか。


 うちのとうさんは、デブで豚顔です。

 女性に好かれる要素は全くありません。

 なんだか、すごく嫌な予感がします。


 でも、女性に見向きもせず、地図を見ているとうさんを見て安心しました。

 口からトローーンとよだれが垂れています。

 きっと、色々考えるのが忙しくて、ツバを飲み込むのも忘れているようです。

 ふふふ、この外見なら大丈夫です。


「とうさん、よだれ、よだれ」


「うおっ」


 私が声をかけたら、地図に落としてしまいました。

 とても汚いです。

 まさか、こんな物をミサさんの胸にしまわせていたのですか。

 最低です。

 とうさんは、こぼれた物を手のひらで拭くとまた、地図に集中しました。


「とうさん、コーヒーを入れました」


「ああ、ありがとう」


 返事をしましたが、地図から目を離しません。

 コーヒーを取る様子もありません。

 横にいるミサさんが、手のひらを胸の前で広げて、クビを振っています。

 私もため息をついて、コーヒーをお盆にのせたまま、しばらく待つことにしました。


 ボーッとしていると、この旅行の事が思い浮かんできます。

 初日、せっかく皆さんが気合いの入った水着を着てきたのに、とうさんに無視されて半ばやけくそ気味で始めたビーチボール大会、全員が見た目も気にせずすごい格好で、夢中でボールに向っていく姿はすごくエッチでした。

 ミサさんは、胸が半分以上水着から出ていました。

 おかげさまで、とっても楽しかったです。


 豪華なホテルで一泊して、次の日になっても、帰ってこないとうさんを皆で心配しました。

 もう、そこからは旅行どころの騒ぎじゃありませんでした。

 とても心配したのですからね。

 この埋め合わせは絶対してもらいますから。


「後は……」


 とうさんは、地図に話しかけています。

 どうせ、沢山手に入った、トウモロコシとまぐろと小魚の事です。

 養鶏所の鶏たちの食糧が出来たから、養鶏所の増築の事か。

 冷凍マグロの運搬方法でも考えているのでしょう。

 少しは、私達の事も考えて欲しいです。

 私は冷めてしまったコーヒーをかたづけるついでに、機内食の準備を始めました。






 ハワイから帰ったとうさんは多忙でした。

 私が、どこにいるのかわからないほど、留守にする事が多くなりました。

 米の収穫、果物の収穫、農作物の収穫で、どこにいるのかわかりません。

 もう、何日も顔を見ていません。


「ひめーー!!」


 私は尾張の人からはそう呼ばれています。

 今、名古屋城の天守閣、とうさんの趣味の部屋から、尾張の街をボーーと眺めていました。


「はい、加藤さん、どうしました」


「殿はいつ帰るのでしょうか」


「私にもわかりません。何か御用ですか」


「はっ、その……」


 とても言いにくそうです。


「なんですか」


 私は言いやすくする為に、可愛い笑顔をして見ました。

 まあ、私程度の笑顔がそんなに可愛いとは思いませんが、せい一杯頑張ってみました。


「うおっ!! じ、実は、具足が不足していまして、増やしてもらえないかと……」


「なるほど、なるほど。わかりました。すぐに探して連れてきます」


 これで口実ができました。

 久しぶりに、とうさんに会えます。

 さて、どこから探していきましょうか。

 私は、久しぶりに水着を着てメイド服に身を包み、出かけることにしました。

最後までお読み頂きありがとうございます。


「面白かった!」

「続きが気になる、読みたい!」

「頑張って!」


と思ったら


下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。

面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!


ブックマークもいただけると本当にうれしいです。

何卒よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ