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禁書庫司書の受難  作者: 睡魔ASMRer
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事件の顛末

 ヘルエスは再度森へと入る。今度は北北東、少し館から距離を置いてだ。館から村へ向かうルートはギリ見える位置を維持しつつ北東方面へ進路を変える。


 ジークは大岩の裏にて待ち構える。村から500ほど離れた位置で。


 ガイアは2人の間を行き来しながら補佐を行う。もし魔法使いと思しき奴が現れたらガイアが位置把握を行いつつヘルエスが後方から挟む形となる。


 ヘルエスは館の姿が視認できる距離まで近づいた時にローブを羽織った人が出てきた。


 そいつの手には身体とほぼ同じサイズの大きな杖が握られていた。


 暗闇に紛れガイアが監視をしながら報告を絶え間なく続けて挟み込みを狭めていく。


 3人に指名手配中の魔法使いはとても苛立っていた。一向に村人が運ばれて来ないからである。


 速やかに事を済ませる。それは犯罪である認識を持っており最善であるためだ。


 その苛立ち故に意識は散っていた。


 影に隠れたガイアの手によって地面に引きずり込まれる瞬間まで……。


 ズリュッ


 「っは!?」


 泥に足が沈むように土に足がハマったことが合図となった。


 「フン!」


 横一線薙ぐように振るわれた剣を咄嗟にしゃがんで紙一重で避けるだが避けた影からガイアが飛び出しながら殴り命中する。


 「っつっ!クソが……。エア・ドア・デリバ・マサディ!ッガッッ。」


 咄嗟に魔法を発動、小さな円形の小窓のようなものが空中に生成、直後にジークによって剣の柄で後頭部を強打されていた。


 刹那の出来事によって薄れる意識の中現れた小窓に本を2冊投げ込む。


 初級魔法・烈風波


 ほんのわずかに出遅れたヘルエスにより本の周囲に風が巻き起こった。


 1冊は小窓へ、もう1冊は明後日の方向へ飛んでいく。


 魔法使いの気絶と同時に小窓は消滅した。


 ガイアの合図から僅か10秒の出来事であった。


 ジークは片手で身柄を抱え上げもう片手で本を開く。


 「ハズレだ。一旦村に戻るぞ。」


 ヘルエスは杖を回収、ガイアが本を受け取り村に戻った。


 村に戻ると尋問は一通り終えていたようである。


 「こいつ起きたら尋問。それまで交代で休息とする。」


 丸一日以上活動していた一向に休息の時が訪れた。


 



 朝日が昇り2日目が訪れた。


 「うっ。」


 「さてと色々聞かせて貰おうか。」


 魔法使いの起床にたまたま居合わせたジークによって尋問が始まろうとしていた。


 そう、していたのだ。


 「尋問か?無駄だね。あばよ。」


 魔法は封じれないことはない。


 それは基本的に魔道具を頼りに魔法を発動するからだ。


 ヘルエスのような例外は極めて稀である。


 だが魔力操作を封じる手立ては無い。


 故に発動一歩手前まで魔石に刻まれている場合は……。


 魔法使い、フルアーマー小隊、全員のブレスレットが光を放ち始めた。


 「ちっ。退避!」


 ジークは舌打ちしながらも動き出した。


 魔法使いの腕を切り落とし落とした腕を蹴り上げ詠唱開始。


 「ロク・ウォル・ガド!」


 岩がドーム状に迫り出してジークと魔法使いを包み込む。


 「なっ。」


 あまりの判断の速さに魔法使いは動揺を隠せてはいなかった。


 村への被害は甚大であった。


 サガルデ村の4分の1が消し飛び死者多数。


 一向は記録に新たな犠牲を刻み込み帰路に着くのであった。


 一方その頃ガイアとヘルエスは館を調べていた。


 「証拠と呼べる物何もないな。」


 「ないですね。」


 「ヘルエス、俺には敬語は要らねえよ。新任同士だろ?」


 「ねぇガイア、君って人間?」


 何も無い、それは疑問解消の機会に転じられた。


 「……。」


 突如として静寂が訪れる。


 「不謹慎だったわね。余計な詮索してごめんなさい。」


 居た堪れず謝る。


 「亜人ということだけ明かしておくかな。」


 まさか答えて貰えるとは思えず思わず目を見開くヘルエス。


 「そんなに驚くことかい。」


 「いやまさか答えて貰えるとは思ってなかった。ありがとう。これからもよろしくね。」


 ドゴオォーーン


 手を取り合うそんな時にその爆発音が響き渡るのだった。


 「「嫌な予感。」」


 言葉がハモるように行動も揃う。


 2人は急いで村へと戻るのだった。






 一向はそれから王都へと帰還した。兵士1名、馬一頭の犠牲はあれど本一冊の回収そのものには成功していた。


 ジークが本当に回収したかった魔導書そのものの回収は叶わなかったものの成果としてはまずまずといったところ。


 それ以降、犠牲になる村は出なかった。拷問の結果ベスティア帝国に雇われた者の仕業であることが判明し国際世論による圧力、監視の目がついたことが大きかっただろう。


 またリカントの集落丸ごと奴隷化されていた件もベスティア帝国に対する疑いを強めた。


 帝国はこの件については否定することでなんとか体裁を保てていれた。


 穏やかに時は流れて約1年が経とうとしていた。


 再度歯車が狂い出す。

一応一章これで終わりです。

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