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禁書庫司書の受難  作者: 睡魔ASMRer
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就任式

 あの社交界の後ヘルエスは貴族社会に引っ張り凧になっており暇と言ってられないほど忙しくなっていった。


 空いてる時間は使用人の指導の下、礼節に磨きをかけたりもするようになった。


 面会、茶会、商談、時には既婚者なのに婚約を求める者まで現れる始末であった。


 ヘルエスは貴族との付き合いの中、開いた時間を利用してとある宝石店へ訪れていた。


 「あんたか。できたぜ。こっちが紫色の魔石を砕いて作ったイヤリング、こっちが真っ赤な魔石がはめ込まれたブレスレットだ。」


 注文しておいてある二種の装飾品を提示された。


 「知らせを受けた時は驚きましたよ。

 クティン連邦国の店に頼んでいた素材が4ヶ月で運ばれて尚且つ完成したっていうんですから。」


 ヘルエスは後1ヶ月半も経てば復職することになる。


 そしてそれには間に合わないと踏んでいたからだ。


 「相手方がどうも例の呪い騒動による魔女狩りで商売相手が激減したらしくてな。

 真っ先に受けてくれたよ。一体いくら払ったんだ?」


 ヘルエスは自信が稼いだお金は使い切っていた。


 「さぁいくらでしょうね。前回の魔石の削岩代、今回の加工代、合わせておいくらですか?」


 提示された額の小切手を手渡した。


 「こりゃガブン家の……わざわざ遠い王都まで……え、あんた、いや貴女様はまさか。」


 ここで店主の脳内でヘルエスの存在が合致した。


 「では私はこれにて。」


 ヘルエスは足早に店を出ると砕いた大元の魔石の残りを取り出して魔力を流し込み影の中へ潜って帰宅の途につくのだった。


 



 


 



 1ヶ月半後、招集を受けヘルエスはヘルミウスの元へ向かった。


 ようやく他国との交渉が終わりヘルエスが力を振るうことが可能になったのだ。


 「……という事で今回は前回と違い特殊で任命式もある。6日後、正装で登城するように。」


 復職にあたり様々な所説明を受ける。


 「承知いたしました。杖は要りますか?」


 「装飾品以外着用不可だ。持ってくるなよ。」


 ヘルミウスは余計な口を出したヘルエスに対して釘を刺した。


 「最初の勤務はいつですか?」


 シフトは禁書庫前からの転移門先で確認していたためあらかじめ聞く必要がある。


 「7日後、昼からだな。だが勤務時間はかなり減るだろう。まぁそれも6日後には分かることだ。」


 ヘルエスは何のことかさっぱり検討がつかないものの復職できるただそれだけで満足だった。


 「私のために働きかけして下さりありがとうございました。」


 ヘルエスは一礼して退室した。


 そして6日後、王城にて任命式が執り行われた。


 そこでヘルエスは気がついた。


 この任命式はヘルエスの就任目的ではなく新たな司書の隊長任命式であることに。


 そうヘルエスは外堀を埋められ逃げられなくした上で禁書庫司書の隊長に選ばれていたのだ。


 無論王様の前で異論はおろか勝手に発言することは許されない。


 これはヘルエスが復職するまでの半年間学んだ内容でもあり尚更下手な発言は出来ずヘルエスは受け入れる他なかった。


 こうして歴代最強の禁書庫司書は誕生したのである。


 全ての任命式が終わり謁見の間から退出後ヘルエスは一緒に登城していたアスティナとジークに問いただした。


 「聞いてないのですが。なぜ私が隊長に?私司書の中で1番若い新参者ですよ?なぜ?」


 唐突のことで頭の整理が終わらない。


 「隊長は若い偉いでは決まらない。実力だ。前隊長、アスティナと実力が乖離しすぎたためお前が抜擢された。

 まぁ法律関係はこのためだ。じゃなきゃ任務でそういう細かな所を知ってもらわねば困るからな。」


 ジークはヘルエスの疑問に答えた。


 それと同時に復職と同時に決定し避けられない事なのだと思い知らされた。


 ジーク、アスティナ、ヘルエスの3人で城から出た直後、毒矢が飛ばされる。


 その程度の攻撃当たることはなく影に飲み込まれた。


 「へぇそれが例の魔力かしら。あ、その耳飾りがそうなのね。面白〜い。」


 物見遊山、まるで観光かのような緊張感の無さ、だがこの3人誰が狙われようと弓矢程度掠る事はない。


 ドテッと鈍い音がしたためそちらへ足を運ぶと逃げようとした所を影に足首を押さえられて転けた哀れな実行犯がそこにはいた。


 「こいつはこちらで尋問しよう。ヘルエス、先程の矢は証拠として提出してくれ。」


 ヘルエスから矢を受け取るとジークは手慣れた手つきで紐で縛り上げ衛兵の元へ突き返しに行った。


 残された2人は会話を続ける。


 「君が初めて来た時は凄い魔法使い程度だったのに強いからさらに成長しちゃって……。

 私の立つ瀬ないわ。」


 悲観するアスティナをヘルエスは慰めた。


 「アスティの魔法の速さは私では真似できません。そこはアスティの強みじゃないですか。そりゃどっちが強いかなら私だって迷わず言えますが今でも尊敬、してますよ。」


 ありがとう、慰めに対してアスティナから出た言葉はこれが最後だった。


 止まった会話に気まずさを覚えたヘルエスは質問する。


 「隊長って何するのですか?」


 現隊長から元隊長への質問である。


 「隊長だからこうって仕事は基本的にないわ。


 文官省で会議がある時は出席する事と他国に渡った禁書の回収くらいかしら。


 ほら後一冊ほど行方分かってないからね。


 それの回収責任は隊長に残されているわ。」


 ヘルエスは拍子抜けに感じてしまった。


 そして一言。


 「なら簡単ですね。」

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