魔道具
「ヘルエス、準備はいかがですか?」
翌日、グロリアがヘルエスの寝泊まりしていた部屋にやってきた。
「おはようございます。こちらは大丈夫です。」
アルバも連れ3人が向かった先は1つの部屋、ここには転移魔法陣を昨日のうちに敷いてあった。
「オプン・ゲト」
昨日のうちに込めた魔力を使い長距離転移を行う。
現れたのはベスティア帝国、帝都の公園の中である。
戦争末期、ガイアが仕掛けた杭より魔法陣を複数個送りつけてからの転移で一気に帝都へ攻勢をかけた残りがいくつか残っていたのだ。
到着後景色の判別が済むより早くに地面の感覚がなくなり影に潜った。
「このまま帝都を抜けたら先日の打ち合わせ通りクティン連邦国までお願い致しますね。」
グロリアがヘルエスに確認を取った直後に影を加速させた。
ものの2分で荒野側の門番横から飛び出した。
「!?何者!?」
急に真横に現れたヘルエスに反応したもののその頃には横にはおらず上空へ飛び立っていた。
「今何か通ったよな?」
「さぁ?ハエか?」
彼らは反応が遅すぎた。
ヘルエス達が向かう先は魔法科学大国、クティン連邦国のとある魔道具店である。
荒野を北東方面へ翔け抜ける。
荒野は丘へ、丘から山岳へ、山岳から山岳へそしてまた山岳へ越えて越えて越えて、山岳を抜けると大規模な都市が見えてきた。
「ようやく見えてきましたね。」
グロリアは影からヘルエスへ語りかけてきた。
「いくら帝都から来れたとはいえ長かったですよね。
とにかく情報集めましょうか。」
ヘルエスは街から1キロほど手前で着地した。
そして歩いて旅の者を装い街へ入る。
ヘルエスは迷わずに1つの店へと足を運んだ。
「すみません。ここ魔道具を扱っているって聞いたのですが……。」
「あ?嬢ちゃん魔法使い?」
「いえ、この男を探してましてね。この店に現れたことは調べついていてどういう取引したのか、その後の行方に繋がる情報ないかを聞きにきました。」
「なんだ客じゃねぇのか。帰んな。こちとら不景気で苛立ってんだ。シッシ」
「じゃあ何か買うんで情報貰えますか?」
「何買ってくれるんだ?」
「この男が買った物と同じ物買います。あります?」
「ないな。似たような物なら……これだな。高えぞ?」
出てきた物は1つの指輪だった。
出された物に手を触れ魔力を流してみる。
するとどうだろう、ひたすら吸われ続けるだけといった感覚だった。
「とりあえずこれ買います。」
何かまでは分からないものの似た物ということで買うことにした。
サクッと会計を済ませてポケットに突っ込んだ。
「毎度あり。でまぁこりゃ砕いた魔石と一緒に鋳造し鍛錬した特注の鋼で作られた指輪、あいつが買っていったのはこれの最良品、魔力を溜め込む性能があって砕かれると溜まった魔力が身につけてる本人に還元されるって代物だ。」
説明を受けすぐに使用用途が浮かんでくる。
「男の他の情報は?」
「あ?知らねぇよ。そんなペラペラ喋る客じゃなかった。」
そこは概ね予想通りであった。
「情報はねぇがいくつも買っていってたな。それっきり魔法使いの来店がめっきり減って困ってんだ。なんか色んな都市が魔法で消されてるらしいしな。
そのせいか客足パタリと途絶えて腹立つぜ。」
主にこの呪い現象の被害国は西側諸国でありそれでも東の山奥の街まで噂が広がっているんだという実感が湧いてくる。
そしてその被害に遭っていたのはヘルエスだけではないということだった。
「情報ありがとうございました。充分です。ではこれにて。」
「おい嬢ちゃん!いくつかの国では魔女ってだけで火炙りにされ拷問の末処刑されてるらしい。あんたも気をつけな。」
心配をかけるその声にヘルエスは手を上げ応えて店を去った。
「これからどうなさいますか?」
店を出たのを見計らってグロリアが尋ねてきた。
「今後の襲撃予想地点15箇所一旦全て回ります。」
ヘルエスは呪いの襲撃を受けた地域や一部の陸路の傾向から候補を絞っていた。
というのも襲撃された所は戦時下で王国側の貿易を支えていた経由地点が多かったこと。
そして陸路、海路でみればバース帝国の1港町が消されたのも山岳部の道路がいくつも呪いによって通れなくなってしまったのも全て王国側の物流面への打撃と見れなくないからだ。
実際は他の道がいくつかあるから支障という支障は運ぶ時間が長くなったことくらいだろう。
経済的損失は大きくなかった。
そこから導き出された地点が約20箇所、そのうち15箇所に目星をつけていたということである。




