杖と剣
注釈、お宅訪問時間は朝、その後の集合時間は同じ日の夕方になります。
硬質的な杖先には複数の魔石やら宝珠が埋め込まれており杖独特の先細り感は無く杖先から一気に細くなっている杖。
「えぇよりによってそれ選ぶ?それ曰く付きだし剣だよ?」
シャルの顔が微妙そうな顔へと変貌を遂げる。
軽薄、薄ら笑みを貼り付けたような顔、みてるだけで苛立つその顔から明るさが消え失せていた。
「そんなにですか?」
指摘した瞬間に頬を叩き苛立つ顔へと途端に戻る。
「はは、銘不明、生産国不明、売り主不明、遺品としての引き取り……剣の杖ってだけで敬遠されるのにねもうね曰く付きとしか言えないね。」
とは言われてもこれが魔力の通りが非常によく瞬時に扱えそうな魔法が1番多かったのは間違いなかった。
「売り主不明ってどういうことですか?」
シャルは面倒そうに解説し始めた。
「遺品整理って事で売りに出されてね。売り主は王国民ではなく過去に調べたんだが肌や言葉からルーツが連邦ってことしかわからなかった。名前も無くなった親族と思われる人も誰も出てこなかった。
商家の情報網そんなにやわじゃないんだがな……。」
話半分にしか聞いてないヘルエスは剣らしいそれを抜いてみることにした。
キン!と鋭い音が響き渡り光りを解き放った。
「綺麗……。」
細身の刀身に複数の線が掘られており分岐したり繋がったりするそれらの線から光は放たれていた。
「ほぉー綺麗だねぇ。でそれで良いなら名前も付けなよ銘もないわけだし。」
銘?と首を傾げるヘルエス、見兼ねたシャルは思案して提示してくれた。
「ダストトレイルなんてどうよ流星の道標!」
「分かったそれにする。」
銘とか気にしないヘルエスにとっては即答即決である。
「曰く付き処分できるとはな。万々歳。さぁてガイアはっと……。」
姿を探しても見当たらない。というか気配が無かった。
探すヘルエスの背後、ぬるっとガイアは現れた。
「ぶへぇ!」
「あ、ごめんなさい。」
ヘルエスに反射で蹴られるガイアは手から杭のような針のような剣のような物を落とす。
「なんだ向かってきてたのか。その剣でいいのかな?んーそれもまたそれで曰く付きではないが曲者だねぇ。」
「うっす。お願いします。」
睨み付けてくるガイアにヘルエスはそっぽを向きつつ訪問は終わりを迎えた。
ヘルエスは家に帰るとそこには役人が立っており書状を手渡された。
「おはようございます。ジーク様からの書状でございます。」
受け取ると裏面をチェック。文官省の印が押されており偽造でないことを確認してから中身を開く。
「司書としては珍しく外回りの任務となります。司書としてではなく1軍人としての雇用となりますのでご留意ください。それでは失礼します。」
中身は禁書奪還作戦への招集令状でありその中の名前、ジークフリート・ブラウンの文字をただ茫然と眺めるのであった。
日が傾くのに合わせ早速頂いたも杖もとい剣ことダストトレイルと共に防衛省へと足を運んでいた。
ガタイの良い男が5名がジークの前に並んでいた。
「遅くなってすみません。わたしが最後ですかね?」
全員の目線が一斉にヘルエスへと集まった。
(うぅ威圧感……この人たちそれなりに強そう。)
「いや集合時間まではむしろまだ余裕のある。気にするな。それに後1人来る予定だ。」
その瞬間、悪寒が走る。何度取られたかわからない不覚、その度に動く足、そしてそれはまたクリーンヒットするのである。
「ンゴホっ!」
ガイアであった。
なぜいつも背後に現れるのだろうか。その疑問がヘルエスによぎるのであった。




