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禁書庫司書の受難  作者: 睡魔ASMRer
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ヘルエス流拘束術

 多分3章と同等くらい長くなります。今月中にはギリ終わらなさそうです。

 「ヘルエス、勤務ご苦労様。」


 アスティナとケビンが紋章を見せながら禁書庫前にやってきた。


 「ヘルエス、例のあれできてるらしいから受け取ったらブラウン家に立ち寄ってね。私の侍女待機させておいてあるから。」


 買い物から1週間経っておりどうやら服が出来上がっているらしい。


 ヘルエスが家へ足を運び始めたその時、ガイアが慌てたようにやってきた。


 「ヘルエスやっと見つけた。すまん助けてくれ。ファミールがピンチなんだ。郊外の冒険者ギルド前!」


 ワクワク感が一気に消え去った。


 「興醒めってこのこと言うのね……。というかファミは強いでしょ?何でピンチなのよ。」


 ヘルエスは呑気に説明を求めた。


 「武装した謎の兵が30人ほどで隊組んで冒険者ギルドが襲われて俺らそれの助けに入ったんだけど数が数でかなり劣勢強いられてる。」


 殺しちゃえば、ヘルエスはそこまで言いかけた時に察した。


 相手が分かってない……情報がいる。


 「捕えろってことね。王国軍は?」


 「戦後で数が足りてなくてジークが再編中らしい。かき集めてるまでの間だけでも頼む。」


 急を要している、そう判断したヘルエスは飛行魔法で飛んだ。


 今いる文官省から約4キロ、ヘルエスからしたら4分かからない距離である。


 やがて冒険者ギルドが見えてきた。完全に包囲され斧で扉を破ろうとしている。その扉は氷ついており振り下ろされる刃から建物全体を守っていた。


 ヘルエスが着地体勢に入った瞬間、爆発した。


 爆薬まで使い出したのだ。


 爆炎に突っ込む直前で軌道を真下に修正、何とか無傷で着地できた。


 だが着地先は敵陣のど真ん中である。


 「貴様誰だ!」


 唐突に隊列のど真ん中に人が落ちてきたら誰しも驚くだろう。


 だが一瞬の驚きはあれど彼らの反応は違っていた。


 「魔女だ!魔女が現れたぞ!捕えろ!」


 ヘルエスは彼らの目的が魔法を使える女性全般であることを察した。


 冒険者ギルドを手始めに襲ったのもおそらくそのためだろう。


 「捕える?笑わせないで貰えますか?」


 ヘルエスの感情は酷く冷め切っていた。


 初級魔法・烈風波・30連


 全員に1発ずつ建物から遠ざかるようにとりあえず吹き飛ばした。


 「ヘルちゃん!?助かった!ありがとう。」


 2階の窓からファミールが顔を出す。


 狙ったように弓兵が構え出したのをヘルエスが見逃すわけもなく。


 中級魔法・風刃


 発生地点、弓、魔法を使えるものでなければ察して避けることのできない不可避の刃は弦を切り裂き弓本体すらも真っ二つにした。


 飛ばされてた兵士は起き上がると同時にヘルエスへ突撃、囲まれてた魔法使いに本来なす術なき状況、ヘルエスにとって単調すぎるその行動は欠伸がでる思いであった。


 初級魔法・烈風波・五連発動


 跳んで建物の屋根上へ移動すると中に入った。


 「ファミ、何事ですか?」


 「見ての通りよ。数人捕まってるわ。何とか追い出して防衛戦。」


 「捕まった人たちは?」


 「既にどこかへ連れて行かれてるわ。良くて奴隷ね。」


 ファミールは淡々と報告をした。


 「じゃああいつら捕らえた後追っかけなきゃいけないのか。」


 そこまで語ったところでガイアが遅れてやってきた。


 「ヘルエス、とりあえずどうする?足止めならできるけど。」


 「お、良いところに。ガイア、捕まった人たちの捜索任せました。」


 「んな無理難題できるか!」


 即答であった。


 そもそも逃げた方角すら分からないのに探せ、おまけに相手は馬に乗ってます。


 いくら影移動で馬よりも早く移動できるとはいえ宛を外した瞬間距離取られまくって探すのが困難である。


 「ガイア、君、私に借り、あるよね?」


 ヘルエスは取り逃した件をチラつかせて脅した。


 ガイアが返答に詰まったのを確認してヘルエスとファミールは持ち前の頭脳をフル動員させて思考した。


 思い浮かぶはジークの発言、戦争の影響か魔女に対しての反感、これが今回の件に関わっているとするなら狙いはヘルエス本人で尚且つ戦争で被害を受けた国、ベスティア帝国、港経由の貿易国のバース帝国、ベスティア帝国の東、川を挟んだ貿易国のアディオン共和国である。


 「ベスティア帝国、バース帝国、アディオン共和国、この三国が最優先。」


 ヘルエスが自身の記憶から可能性の高いやつを見出した。


 「じゃあ陸路ならバルス山脈、ベスティア平原から高原、海路で南端直行のガブンね!

 ガイくんよろしく。」


 「とりあえずガブンから行くよ。人がいればその分速度出せるし……。外れた時のために山脈の地図よろしく。」


 そう言い残してガイアがヘルエスの影から出発した。


 「さて後は捕えるだけですか?私がやるんで防衛任せました。」


 ヘルエスは薬を取り出してダストトレイルの刃に塗り込んだ。


 これは禁書狩りの際にシャルから譲り受けていた痺れ薬こと麻痺毒である。


 ちなみに解毒薬など家に置きっぱなしである。


 「ごめん任せるわ。弓には気をつけてね。」


 窓を開けると実際に飛んできた。


 初級魔法・烈風波・二重発動


 矢は風に阻まれ高速回転して明後日の方向へ吹き飛んでいった。


 「全員切り傷与えれば勝ち確定、楽勝です。」


 一言残して飛び出した。


 敵の全員の意識がヘルエスに集中する。


 「かかれ!捕えろぉ!!」


 一斉に飛びかかってきた。


 ヘルエスはその中でも1人狙いをつけて地を蹴った。


 初級魔法・烈風波・二重発動


 両足の裏に発動させ急加速、当然敵側は初見でその動きについてこれるわけもなくすれ違い、そのすれ違い様にヘルエスはお腹付近目掛けて一閃していた。


 「ぐあぁ……うっ……。」


 汚い悲鳴の後、ばったり倒れたのを見て敵は見るからに動揺していた。


 その隙に近づき突きを放つ。


 「ぐっ……この……。」


 何か言いたげ反撃したげな敵は力無く倒れ伏す。


 「毒だ!毒盛ってやがるこの魔女!気をつけろ!」


 隊長と思しき人間が声を荒げる。


 初級魔法・烈風波・三連発動


 ヘルエスにとってはその中で1番強かろうが1番偉かろうが等しく雑魚である。


 隊長は体勢を崩しながらヘルエスの元へ飛ばされて一閃。


 音も立てずに崩れ去った。


 後は言うまでもないだろう。


 ヘルエスが駆けて切り裂き敵がヘルエスに吸い寄せられては切り裂き敵は数が減るに連れ散り散りになりそうなると有利なのはヘルエスに傾いていく。


 30人全員の拘束まで僅か5分の出来事であった。


 終わり次第2階の窓に3回ノックした。


 「終わりました。縄持ち合わせてますか?」


 「へ??」


 ファミールは何が起こったのか理解が追いついてなかった。


 「終わったので冒険者ギルドに縄ないかなと思いまして……。」


 再度同じことを話した。


 「凄い……毒盛ったにしては手際良すぎない!?シャルさんみたい……。」


 実際シャルがいれば針飛ばして終わりでありおそらくヘルエスより早く片付いたであろうが他人からすればどっちも意味不明な早さであった。


 その後ギルド長直々に縄を持ってきてもらい長い握手の末建物の中にいた人総出で縄で縛っていく。


 ヘルエスは縄の縛り方を学びつつその光景を眺めていた。

 拘束術の構想そのものはシャルの背景を作った時点(3話目)で考えていたものの使う相手、状況は今日まで考えていなかった無計画さをここで暴露いたします。

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